ワタナベアニ

写真家・アートディレクター。着ぐるみの中は繊細です。1964年生まれ。「ロバート・ツル…

ワタナベアニ

写真家・アートディレクター。着ぐるみの中は繊細です。1964年生まれ。「ロバート・ツルッパゲとの対話」 https://www.amazon.co.jp/dp/4908586071/

マガジン

  • Anizine

    写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

  • 写真の部屋

    人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

  • エジさんが来る

    エジさんという人が、役に立たない英語を教えてくれます。

  • PDLB

    PDLBについて。

  • 博士の普通の愛情

    恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

ウィジェット

  • 商品画像

    ロバート・ツルッパゲとの対話

    ワタナベアニ

最近の記事

くだらない結論:Anizine

「来年の1月末に本が出ることになったんだよ」  「ああ、写真の本ね」 「そうそう。もうほとんど書き終えた」  「脱肛だね」 「違うよ。それを言うなら脱稿だし、こうして会話しているときにそんな漢字を間違えるオヤジギャグなんて成立しないだろう」  「書かれているメディアに依存してしまったかな」 「わざとらしい行動は嫌われるから気をつけた方がいいよ」  「ソーシャルメディアの大根役者、っているよな」 「いるね。芝居が大根」  「英語だとhamっていうらしいぜ」 「それは昔、俺がお前

    • 出来事のピーク:写真の部屋

      先日、パリのカフェでぼんやりと写真を撮っていました。見晴らしがいい店なのに目の前に大きな観光バスが停車し、中から観光客がぞろぞろと降りてきます。 手前には客の女性が座っていたのですが、こういうときは次々と出てくる人が選べますから、じっくりと待ち構えて一番いい人を撮ります。 この女性はコートが白く、目立ちすぎだと感じました。では次の人はどうでしょう。

      • 数える:エジさんが来る

        「マスター、この前、日本の曲を聴いていたら『幸せを数えたら片手にさえ余る』という歌詞があったんですよ。とても違和感があります」 「懐かしいなあ。ばんばひろふみの『SACHIKO』だね」 「ええ。英語で happiness は数えませんからね」 「幸せがひとつある、というのは歌詞の世界ではありうるけど、日本語でもあまり数えることはないね」 「日本人からすると、可算と不可算の使い分けはややこしいみたいですね」 「まあ、そういう習慣がないからね。複数形ですら使わないし」

        • 飛行機マニア:Anizine

          ただ眺めていて面白いものがあります。私の場合はそのひとつが飛行機です。人間の欲望と叡智が詰まっている巨大なフォルム。海を渡ってどこか遠い場所に行くことができるというロマンと、それを可能にするメカニズム。 よく「あんなに重たい金属の塊が空を飛ぶなんて信じられない」と2023年になってまで言う人がいますけど、人類は核を融合したり、もっとスゴいことをやっていますのであまりANAクロなことは言わないで欲しいと思います。

        くだらない結論:Anizine

        人気の記事

        人気の記事をすべて見る すべて見る

        写真を撮る人へ。

        くだらない会社にいたら自分はダメになる。

        サボらない癖。フリー全文。

        「ギャラなしでもやります」は、アウト。

        マガジン

        マガジンをすべて見る すべて見る
        • Anizine
          ワタナベアニ
          ¥500 / 月
        • 写真の部屋
          ワタナベアニ
          ¥500 / 月
        • エジさんが来る
          ワタナベアニ
          ¥600 / 月
        • PDLB
          ワタナベアニ
          ¥5,400 / 月
        • 博士の普通の愛情
          ワタナベアニ
          ¥500 / 月

        記事

        記事をすべて見る すべて見る

          本は書店などで偶然目に触れることはありますが、興味がなかった人に届く数は多くありません。noteで4万人程度のフォロワーしかいない自分など、ジャスティンに比べれば存在しないも同然(あとから始めた平林監督は5万人超)。ただ売れればいいというものではありませんが、騎士団長を殺したい。

          本は書店などで偶然目に触れることはありますが、興味がなかった人に届く数は多くありません。noteで4万人程度のフォロワーしかいない自分など、ジャスティンに比べれば存在しないも同然(あとから始めた平林監督は5万人超)。ただ売れればいいというものではありませんが、騎士団長を殺したい。

          自画自賛は落とし穴:PDLB

          ブランディングにおいてするべきことは抽象的でわかりにくいものです。その場合に一番簡単な方法は「するべきでないこと」を排除していき、外周から囲い込むことです。 あるサービスや商品をブランディングしたいというとき、説明を受けるのですが、当然のことながら作った側はその優位性を語ります。これがいかに画期的か、斬新か、客に喜ばれているか、を言うのですが、ほぼ耳を傾けなくていい情報です。なぜかと言えばそれを言うべき立場にあるのは顧客だからです。ここでも何度か書いていますが、大事なのは冷

          自画自賛は落とし穴:PDLB

          コミュニケーション収支:Anizine

          質問されるのが苦手です。初対面の人と話すとき、矢継ぎ早に質問をされると疲れてしまいます。お互いを知り合うために相手のことを聞くのは大事だと思いますが、バランスが極端に「知りたい側」に偏ってしまうとインタビューのようになってしまいます。その不均衡は、持っている情報力の差にあります。 たとえばオリンピックの金メダリストに会ったとき、優勝したあの瞬間はどんな気持ちでしたか、とか、毎日何時間練習するんですか、など、知りたいことは多いでしょう。でもそこはグッと我慢しなければなりません

          コミュニケーション収支:Anizine

          沈殿する台北・パリ:写真の部屋

          今月は台北とパリへ。どちらも短かったのですが、考えることの多い滞在でした。 カメラを持ってどこかへ行き、ただただ写真を撮る。たったそれだけのことなのですが、やっていることが単純だからこそ「できなかったこと」への後悔ばかりが残っていきます。あのときはこうしたほうがよかった、こうできたはずだ、という反省ばかりです。その瞬間は全力で考えて試しているので仕方がないわけですが。 何かを作っていると、毎日自分が変化しているのがわかります。撮った瞬間より、セレクトしている瞬間、ほんの数

          沈殿する台北・パリ:写真の部屋

          写真の本:写真の部屋

          ゲラが出ました。まだまだ直すところはたくさんあります。

          写真の本:写真の部屋

          双子のベルナデッタ:博士の普通の愛情

          僕は添乗員をしている。ここ数年は『例の状況』で稼働がなかったが、やっと以前と近い仕事量になってきた。とは言え、ドル・ユーロ高に加えて各国の物価上昇はとてつもなく、日本からの海外への観光客はまだそれほど多いとは言えない。 大勢の旅行客をまるで修学旅行での先生のように仕切っていた。実際のところ海外旅行に慣れていない高齢者に同行するというのは修学旅行どころではなく、幼稚園の遠足のようなものだと言ってもいい。旅慣れた人からしたら信じられないような出来事が朝から晩まで起きる。ホテルの

          双子のベルナデッタ:博士の普通の愛情

          掴むもの、手放すものを選ぶ

          先週のパリは、ほんの一週間でしたが、古くからの友人や初対面の人たちと会うことができました。毎回、パリにいるたくさんの友人全員と会うことは不可能なので、お互いにタイミングが合えばというくらいでいいのだと思っています。特に今回は複数の仕事をリモートで進めていたのでホテルのあるサントノレを離れることができず、近くに来てもらっての食事ばかりでした。 『インドで考えたこと』という堀田善衛さんの本がありますが、椎名誠さんスタイルで言えば『パリでわしも考えた』という感じで、グにもつかない

          掴むもの、手放すものを選ぶ

          人間のマニュアル:Anizine(無料記事)

          パリから戻り、羽田空港からそのまま打ち合わせの場所へ。本のゲラを確認して、翌日は不在の間に進行していた仕事の撮影をしました。普通ならそんなきわどい進め方はしないのですが、パリに行くことが決まってから来た仕事なのと、普通ではないことが起きるのが仕事なので、特に何とも思いません。出演者のスケジュールを数人合わせるというのは至難の業ですから向こうも大変です。結局二日に分けて撮影することになり、今日、無事に終わりました。ホッと一息です。 こういう日常を何十年も過ごしていると、効率と

          人間のマニュアル:Anizine(無料記事)

          父さん、あなたの息子が本を書きましたよ。育ててくれてありがとう。

          父さん、あなたの息子が本を書きましたよ。育ててくれてありがとう。

          6桁万円の袋とじ:Azinine

          昔、袋とじの推理小説がありました。結末で犯人がわかる謎解き部分はページを切らないと読めない作りになっていて、「もし結末を知りたくなければ返品して返金されるが、あなたはどうする」という自信満々なシステムでした。このような試みは今のnoteなどの仕組みに似ています。途中まで誰でも読むことができるコンテンツの結末が知りたければ、読者はコンテンツメーカーに対して誠意を見せないといけません。誠意とは何かね。お金ですかね。 『お金』というのは万人に対して等価値を持った数字の記号ですが、

          6桁万円の袋とじ:Azinine

          すねかじりの中年:PDLB

          サブカル的なものには年齢制限があると思っています。大人になるというのはサブカルチャー、カウンターカルチャーではなく、メインカルチャーを作り出すことが義務になってくるからです。「大人が決めたことになんか従わないぜ」「Don't trust anyone over thirty.」と言っていられないのです。 年齢を重ねてはいるものの、いつ自分がメインストリームやオーセンティック側に行けばいいのかわかりかねている人々を見かけます。まともな大企業の大きな会議の席に、短パンにサンダル

          すねかじりの中年:PDLB

          フランスで英語:エジさんが来る

          アメリカ人のエジさんは今日も喫茶店『ボストン』へ。マスターがカウンターの奥で何やらメモをしています。 「マスター、おはようございます」 「いらっしゃい。昨日まで店を閉めていてごめんね」 「どうかしたんですか」 「パリに遊びに行っていたんだよ」 「いいですね、パリは私が一番好きな都市のひとつですよ」 「英語っぽいなあ。日本では一番、と、ひとつは一緒には使わないから」 「Paris is one of my favorite cities. ならいいですかね」 「それならいい」

          フランスで英語:エジさんが来る