ワタナベアニ

写真家・アートディレクター。着ぐるみの中は繊細です。1964年生まれ。「ロバート・ツル…

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写真家・アートディレクター。着ぐるみの中は繊細です。1964年生まれ。「ロバート・ツルッパゲとの対話」 https://www.amazon.co.jp/dp/4908586071/

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  • Anizine

    写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

  • 写真の部屋

    人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

  • 博士の普通の愛情

    恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

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    PDLBについて。

  • エジさんが来る

    エジさんという人が、役に立たない英語を教えてくれます。

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    ロバート・ツルッパゲとの対話

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仕事をする関係:Anizine・写真の部屋

またまた平林監督のマガジンの尻馬に乗るホース・ライディング案件です。関係ないですが、horse riding っていうのはイギリス英語で、米語では horseback riding と言います。皮肉っぽいイギリス人が「アメリカ人は『乗馬』という言葉だけを聞いても馬のどこに乗るかがわからないから、彼らは horseback riding と言う必要があるんだ」と言っていました。心底バカにしてますよね。 無駄な知識が増えたところで本題に戻りますが、平林監督は「その人に好かれたか

    • 母を知らない子(解決編):博士の普通の愛情

      保険会社の人が言います。 「この話、どういうことかわかりましたか」 「いえ、全然わかりません。ゆりこママという人は死んでいるんですよね」 「説明しましょう」

      • 母を知らない子:博士の普通の愛情

        保険会社勤務の知人が言っていました。 「犯罪というもののほとんどは、お金か男女関係が原因なんです」 ずいぶん前に聞いた話なので恋愛が「男女」に限定されていますが、愛憎の関係ということでしょう。犯罪とは欲望を具現化したものなので、人間の生きるうえでの原動力は、そのふたつに集約されていくのだと言えそうです。 そのふたつが重なることもあります。それが今回のお話で、保険会社勤務の知人から聞いた不思議なストーリーです。 北海道のあるベッドタウンにごく普通のファミリーが住んでいまし

        • 平林監督と五明さん:Anizine(無料記事)

          尻馬に乗って、また平林監督の話です。彼は元々ストラテジーの人だったのですが、ある程度仕事をしてきたことで昔の「ガツガツしたムード」が少し薄れてきたように感じていました。一応先輩なので先輩ヅラをしてみようと思います。ヅラって顔の方ですよ。頭頂部ではなく。 今日、銀座の森岡書店でグランジ五明さんの展示を観てきました。五明さんというのはスゴい人で、心から尊敬しています。最近とても気になるのはネットなどで「質問をしまくる人」を見る機会が増えたことです。特にThreadsはフォローし

        仕事をする関係:Anizine・写真の部屋

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        記事

          0820_本日の6枚:写真の部屋

          ここには毎日撮っている、どこにも使うことのない「用途なき写真」を載せています。 出かけるときは必ずカメラを持っていて、仕事場を一歩出たところから撮り始めます。仕事場の前には色々な花が咲いているのでだいたい撮ります。直前にスタジオにいたりすることがあり、カメラが日中の設定になっているかという確認の意味もあります。スタジオではISO100、シャッタースピードが1/125近辺であることが多いので、外で何かを見つけて咄嗟にシャッターを切って失敗しないようにするためです。 目の前に

          0820_本日の6枚:写真の部屋

          3/4チップス:Anizine・PDLB

          あるフリーランスの友人が言っていたことです。 「会社員にはもう怖くて戻れない。会社がつぶれたりリストラされたらそこで終わりだから。就職したときに経営状態がよかったとしても、時代が変わる中で、数十年前に選んだ会社に自分の運命を預けるなんて恐ろしい」 フリーランスになってわかったのは、自分の全収入が途絶える可能性に何も手を打っていないのは無防備過ぎるということです。 昔なら「あら、いいところにお勤めね」という信頼があったはずの会社がいくつも経営破綻を起こしているのはご存じの

          3/4チップス:Anizine・PDLB

          写真は仕事になるか:Anizine・写真の部屋

          noteのフォロワーが5万人くらいいるのでご存じの方も多いはずですが、平林監督の言葉にはいつもドキッとさせられます。 これ、言い方がとても難しいのでみんな触れにくいところなんですが、最近よく「フリーランスで仕事をしたい」という内容の投稿に、でもまったく稼げない、とか、2万円と約束したのに払ってくれない、などというのを見かけます。でもそれは当然なんです。 自分が好きなことを仕事にしたいと思ったら、他の人も多分そう思っていて、その膨大な人々の中で自分にはどんなアドバンテージが

          写真は仕事になるか:Anizine・写真の部屋

          趣味と仕事:写真の部屋・Anizine

          漁師ではないのに釣りをする人は「魚を釣ること」を楽しんでいるのでしょう。それが趣味というものです。 私にはいわゆる趣味と呼べるものがなく、絵を描いたり文章を書いたり、写真を撮ったりという、こどもの頃から好きだったことのすべてを『仕事』に変えてきました。そこには趣味であることへの物足りなさがあったのだと思います。あるとき、友人が仲間のオリジナルTシャツを作っていました。「ああ、そういうのも面白そうだな」と感じたのですが、趣味でする気にはなりませんでした。ブランドを作り、ロゴや

          趣味と仕事:写真の部屋・Anizine

          ヤンゴトある:Anizine

          やっていないことや、できない理由を他人から聞かされるのが嫌いなんだなあと、ふと思いました。周囲の「あっという間に軽々と何でもやっている尊敬すべき人々」に慣れてしまっているからこそ、自分もそうでなくてはならないと反省します。いつやっているんだろうというほどの圧倒的スピードで次々と何かを作っては発表する人がいて、その労力は凄まじいものだと想像できます。 たとえばその「展覧会をやります」という投稿に「僕は学校の課題で忙しいので行けません」などとコメントする人がいます。作る労力と観

          ヤンゴトある:Anizine

          足りないパーツ:エジさんが来る

          いつまで経っても進歩が見られない気がするのですが、へこたれずにやっています。時々「あ、こういうことか」というのが理屈ではなく感覚でわかるようにはなってきたので、コップに注いだ水が貯まってきたのではないかという期待もしています。 自分が日本語を覚えたときのことが記憶にないので、新しい言語を身につける方法がわからないのだと思います。子どもは生きるための欲求の主張によって言葉を獲得していきますから、「英語ができなくても生きていける」という環境には切実さがなくて、よくないんでしょう

          足りないパーツ:エジさんが来る

          ビジネスにはゲートがある:写真の部屋・PDLB

          私は写真を仕事にしているので、写真はビジネスです。しかしそれと矛盾することなく、趣味としても朝から晩まで写真を撮っています。ミュージシャンはライブのステージに立って仕事として演奏をしますが、自宅のソファでもビールを飲みながらギターを弾いたりするのと同じですね。 ちょっとカッコよく表現しましたが、趣味とビジネスが重なる仕事とはそういうものです。ふたつの境界線は、誰でもデジカメさえ買えば写真が撮れるということで垣根が下がったと思われがちですが、実はそうではありません。写真を撮る

          ビジネスにはゲートがある:写真の部屋・PDLB

          RAWは生卵:写真の部屋

          デジタルカメラが作り出す無加工のデータがRAW、生卵のようなものです。ここから目玉焼きもオムレツも作れます。自分が最適だと思うJPGのパラメータがあるならいいですが、カメラ内で加工されたJPGという目玉焼きは、あとから(完璧には)オムレツに変えられません。ですから私はRAWを使っています。 また「全部RAWで撮っていたらHDDがいくらあっても足りないじゃん」という言葉も聞きますが、それは本棚が足りないから本は買わない、というのと同じで本末転倒です。

          RAWは生卵:写真の部屋

          批判は何も生まない:Anizine

          歌う人がいて 歌を聴いて救われる人がいて 歌うことで自分が救われる人もいて 素敵な歌があるよと教えてくれる人がいて いい歌を教えてくれてありがとうと言う人がいて 私も歌ってみようと勉強を始める人がいて、 そして、

          批判は何も生まない:Anizine

          趣味の世界:写真の部屋

          普段、仕事で使うカメラは SONY のα1がほとんどで、ブツ撮りでもロケでもスタジオでの人物でも便利に使えるからです。何度も書いていますが、私はカメラ機材に何も興味がなく、用途に合わせた数台の機材を使い分けているだけです。どんな道具でも同じだと思いますが、必要以上にモノに執着すると本質を見失うことがあります。私たちの評価は撮影した写真によってしかなく、(カメラ趣味以外の)メディアに載るときに機材の名前が書かれることはありません。素晴らしい映画を観たときに、観客は撮影に使われた

          趣味の世界:写真の部屋

          友人がインスタで近所の焼き鳥屋の話をしていたので「今日の夜、行くか」とメッセージを送ったら「ごめん。今モルディブにいるんだ」と返事が。リゾートにいるなら、わかりやすく雰囲気をカモシ出してくれないと困る。パーン!

          友人がインスタで近所の焼き鳥屋の話をしていたので「今日の夜、行くか」とメッセージを送ったら「ごめん。今モルディブにいるんだ」と返事が。リゾートにいるなら、わかりやすく雰囲気をカモシ出してくれないと困る。パーン!

          結界のK:Anizine

          寿司屋の一人息子が事故で亡くなりました。店の近所で起きたトラックの横転事故に巻き込まれたのですが、あまりに突然のことでしたから、大将の悲しみを目にした常連客はいたたまれなかったといいます。 三宿の交差点でホノカを待っていたシンジはアルバイトの給料日前であまりお金がなかったので、ガストか世田谷公園前のデニーズに行こうとしていました。インテリアショップの前のガードレールに腰掛けていると、足元の植え込みに黄色い蛍光色のマジックテープで止めるタイプの財布が落ちているのに気づきました

          結界のK:Anizine