掌編「ブーケと抜け殻」
やばい先輩が結婚した。
教会の並べられた椅子。背もたれ直滑降、ほぼ90度の椅子に座り(いや座るというよりお尻を置く台みたいだ。わたしは置き物になりきる)、風景と化した先輩を眺める。決められた動作。段取り。慣れたスタッフと緊張の所作。
交互に指輪を持ったり、置いたり、署名したり。エセ日本語をすらすら垂れ流す牧師だか神父だかの誓いの言葉がなめらかに流れていく。視界の画角の左上には豪華なシャンデリアの偽物がぶら下がり、上から2段目、右から3番目の電飾がチカチカしていた。本物なんて