マガジンのカバー画像

偏読書評

89
「偏食」ならぬ「偏読」気味の本好きによる、文芸やマンガ作品紹介。
運営しているクリエイター

#コンテンツ会議

【お仕事】『Numero TOKYO』10月号掲載 村田沙耶香さんへのインタビューと新刊『地球星人』について

【お仕事】『Numero TOKYO』10月号掲載 村田沙耶香さんへのインタビューと新刊『地球星人』について

8月28日発売の『Numero TOKYO』10月号(扶桑社)。

巻頭特集「Beauty Rules 美しい人よ」の中で、芥川賞作家の村田沙耶香さんへのインタビュー記事を書かせていただきました。

ちなみに(編集さんがつけてくださった)記事タイトルは「『美しい』は変化する! 新しい価値観を手に入れるには」で、見出しを引用させていただくと……

少しずつ多様性が認められる世の中になってきた。となる

もっとみる
〈偏読書評 番外篇〉今週、度肝を抜かれた装幀と、これからの装幀の役割について

〈偏読書評 番外篇〉今週、度肝を抜かれた装幀と、これからの装幀の役割について

今週、仕事用・私用ふくめて入手した本の中で、度肝を抜かれた書籍の装幀をいくつかご紹介します。

まずは本谷有希子さんの短篇集『静かに、ねぇ、静かに』(講談社)。インスタグラムやネットショッピングなど、SNSに人生を翻弄されてしまっている人々を描いた3篇が収録されています。ちなみにタイトルをローマ字表記にすると「Shizuka ni, Ne-e, Shizuka ni」(=頭文字を並べるとSNS)と

もっとみる
〈偏読書評〉食べる前に読む! うなぎ絶滅後の人類を描いたポストうなぎエンタメ:倉田タカシ『うなぎばか』

〈偏読書評〉食べる前に読む! うなぎ絶滅後の人類を描いたポストうなぎエンタメ:倉田タカシ『うなぎばか』

明日、7月20日は土用の丑の日。Twitterでは《うなぎ絶滅キャンペーン》さんが、連日せっせと様々なうなぎ情報を発信しています。

自分は食べ物として、うなぎは嫌いではないのですが、数年前に強烈な自家感作性皮膚炎を患ってから、味噌や醤油など発酵させた大豆食品を食べると蕁麻疹まみれになってしまうため、うなぎの蒲焼を食べられない身体となってしまいました。

じゃあ白焼きでも食べればいいじゃない、と思

もっとみる
【お仕事】マンバ通信「マンガで(ひとまず)満たす『◯◯◯欲』」第3回「こんな職場で働きたい欲」

【お仕事】マンバ通信「マンガで(ひとまず)満たす『◯◯◯欲』」第3回「こんな職場で働きたい欲」

マンガを語りたい人たちのキッカケ作りをお手伝いするサイト『マンバ通信』での連載「マンガで(ひとまず)満たす『◯◯◯欲』」第3回目がアップされました。

毎回ひとつの欲望をテーマに設け、その欲望と飢えた心を満たしてくれる(であろう)マンガを、やや独断も交えながら紹介していく「マンガで(ひとまず)満たす『◯◯◯欲』」、今回は「こんな職場で働きたい欲」をテーマに……

■古典も世界史もどんとこい、「オタ

もっとみる
【お仕事】マンバ通信「マンガで(ひとまず)満たす『◯◯◯欲』」第2回「誰か俺のことも褒めてよ欲」

【お仕事】マンバ通信「マンガで(ひとまず)満たす『◯◯◯欲』」第2回「誰か俺のことも褒めてよ欲」

マンガを語りたい人たちのキッカケ作りをお手伝いするサイト『マンバ通信』での連載「マンガで(ひとまず)満たす『◯◯◯欲』」第2回目がアップされました。

毎回ひとつの欲望をテーマに設け、その欲望と飢えた心を満たしてくれる(であろう)マンガを、やや独断も交えながら紹介していく「マンガで(ひとまず)満たす『◯◯◯欲』」、今回は「誰か俺のことも褒めてよ欲」をテーマに……

■天国でセカンドライフを満喫する

もっとみる
〈偏読書評〉続・壮絶すぎる過去を、軽やかな「笑い」と「救い」へと昇華する漫画力:『ほとんど路上生活』

〈偏読書評〉続・壮絶すぎる過去を、軽やかな「笑い」と「救い」へと昇華する漫画力:『ほとんど路上生活』

かねてより(勝手に[1][2])応援してきた、川路智代さんの『ほとんど路上生活』。6月2日に待望の単行本が発売されました!

『ほとんど路上生活』の内容については、もう私がご紹介するのも何なので(好きすぎるあまり、うまく紹介できないので)amazonに掲載されている内容紹介を以下に引用します。

最凶最悪の父親から逃亡した先は宴会場!?
DVかつギャンブル狂の父親に耐えかね、一家は「夜逃げ」ならぬ

もっとみる
〈偏読書評〉持ち主の“物語”を妄想させるiPhoneホーム画面収集本:『somebody’s room』とは

〈偏読書評〉持ち主の“物語”を妄想させるiPhoneホーム画面収集本:『somebody’s room』とは

このところ漫画作品に関する投稿が続いてしまったので、今回はちょっと趣向をかえ、個人的にイチオシのアートブックをご紹介します。

昨秋、「過去と未来のまんなかで変わり続ける いまの『本』を考える2日限りのブックストア」というコンセプトで開催されたブックフェア『TRANS BOOKS』。

このブックフェアの運営委員会のメンバーでありアーティストの飯沢未央さんと、同じく運営委員会のメンバーでありグラフ

もっとみる
〈偏読書評〉読書欲と食欲を激しくそそる、手土産X文学コミック:『おもたせしました。』

〈偏読書評〉読書欲と食欲を激しくそそる、手土産X文学コミック:『おもたせしました。』

5月15日に最終巻となる第3巻が発売された、うめさん(小沢高広さん/妹尾朝子さん)による『おもたせしました。』(新潮社刊)。

先日の画像投稿にも書きましたが、作品が完結してしまったのが淋しいです……(というか、なんで俺好みの作品に限って、すぐ作品が完結してしまうんだ……俺、厄病神なんじゃろか……)。

と、しょんぼりしていたら、うめさんがこんなツイートを……!

「どうせなら1巻全部」って! 編

もっとみる
【勝手に宣伝】6/2発売 『ほとんど路上生活』

【勝手に宣伝】6/2発売 『ほとんど路上生活』

以前から勝手に激推ししている川路智代さんの『ほとんど路上生活』。6月2日(土)の単行本発売日まで、あと数週間です!

川路さんのTwitterでは、気になる単行本のデザインが少しずつアップされています。

チラシのデザインも素敵だったのですが、カバーデザインはさらに素敵……!

ちなみに本体表紙は人生ゲームとなっているらしく、川路さんいわく「かなり世知辛めです。。。是非遊んで欲しい!」とのこと。壮

もっとみる
〈偏読書評〉読書欲を静かにそそる、“文芸的”なコミック:『書店員 波山個間子』

〈偏読書評〉読書欲を静かにそそる、“文芸的”なコミック:『書店員 波山個間子』

「ずっと更新していませんでしたが試しに」と、最近noteでの投稿を復活された、漫画家の黒谷知也さん。

復活を(勝手に)記念して、今回は自分が特に好きな黒谷さんの作品『書店員 波山個間子』(KADOKAWA刊)をご紹介したいと思います。

ちなみに自分が初めて読んだ黒谷さんのマンガは、TwitterのTL上に流れてきた『芥川龍之介4コマ』。そこまで美化されていない芥川の描写がなんかいいな、と感じて

もっとみる
【小話】素敵本屋さんの素敵トートバッグ

【小話】素敵本屋さんの素敵トートバッグ

本屋さんの素敵トートバッグといえば、まず個人的に思い浮かべるのが、フランク・ザッパの名言「So Many Books, So Little Time」がプリントされた、サンフランシスコのGREEN APPLE BOOKSのトートバッグ。

(↑ 12年くらい前に買ったものなので、汚れとかに関しては、見てみぬふりをしていただけると助かります……)

でも、このところ日本の本屋さんからも、ショップオリ

もっとみる
〈偏読書評〉ミステリとしても楽しめる、大人のためのおとぎ話:『おばあちゃんのごめんねリスト』

〈偏読書評〉ミステリとしても楽しめる、大人のためのおとぎ話:『おばあちゃんのごめんねリスト』

2016年12月に日本で公開され、スウェーデンでは国民の5人に1人が観たという映画『幸せなひとりぼっち』。第89回アカデミー賞では外国語映画部門とヘアスタイリング部門にノミネートされていたこともあり、映画は観ていなくても、そのタイトルに聞き覚えのある人も多いかもしれません(ちなみに現在ハリウッドで、トム・ハンクス主演でのリメイクが決定しているのだそう)。

そんな大ヒットを巻き起こした映画の原作を

もっとみる
〈偏読書評〉続・大人だって絵本を読んでいいじゃない:『いきもの特急カール』

〈偏読書評〉続・大人だって絵本を読んでいいじゃない:『いきもの特急カール』

先週、木内達朗さんの絵本『いきもの特急カール』を紹介する投稿をアップしたものの、後半は気持ち悪い自分語りになってしまい、作品の魅力を全く伝えきれていなかったので、再投稿です。しつこくて、すまん(っていうか、承認欲求の強いババァで、すまん。猛省)。

『いきもの特急カール』のテクストが、大人仕様にもなっていることは先週の投稿で書いた通りですが、今回は大人でもつい見入ってしまう(へたしたら、ずっと見続

もっとみる
〈偏読書評〉大人だって絵本を読んでいいじゃない:『いきもの特急カール』

〈偏読書評〉大人だって絵本を読んでいいじゃない:『いきもの特急カール』

卒業・入学・就職シーズンが近づき、新刊ラッシュで書店がにぎわう季節。新生活のスタートにあわせて自己啓発本を買う、意識の高い人も多いと思いますが、買うものリストにぜひ加えて欲しい絵本を今回はご紹介します。

ご紹介するのは1月に岩崎書店から刊行された絵本『いきもの特急カール』。半沢直樹シリーズの装画、英国のロイヤルメールのクリスマス切手(2006年)、スターバックスのホリデーキャンペーン(2007年

もっとみる