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【句作_08】たんじつに
●2023
▼師走
朝日浴び布団こねこねこね仔ねこ
古本と君の思い出消えて冬
カッコつけ本音を隠す余裕(ない)さ
短日にかすみ目こすり足あせり
立ち漕ぎで出前届ける若サンタ
叶わねどツリー光らす夢と恋
イヴ明けのやつれサンタの見る夢は
持て余す眠気とおでん午前四時
ささやきに耳くすぐられ室の花
逸る足こらえて向かう年の暮れ
以上、「たんじつに」10句。
おだやかな年末年始をお
【句作_06】あきのはま
●2023
▼神無月
半袖に未練はあれど火の恋し
安寧を希い折る彼岸花
永遠の余韻残して星流れ
言葉尻齧り齧られウロボロス
咽び泣き紫煙立ち籠む苦い闇
恨み言送れぬままに長き夜
パケ死んだ子どもの目に映る紅葉
銀杏の実 競って拾うよく似た顔
歪でも香る花梨と横恋慕
巻貝の階段降り秋の浜
▼霜月
代官の蔦に群がる犬の海
そぞろ寒 布団の海に猫潜り
以上、「あきのはま」12
【句作_05】ほしめぐり
●2023
▼葉月
〆切と湿度に溺れ虫の闇
耳鳴りを響かせながら夜仕事
夜なべして溶ける若さと寿命かな
星飛んでみんな等しく雲の上
炎天下そしらぬ顔でドレミ歌
散るまでがワンセットの恋と芍薬
君づけで呼ばれ売られておにやんま
▼長月
夢うつつ空白のまま午前五時
彼岸花あの口ぐせを夢で聞き
穴惑 頭痛のようなドリル音
月すらも見れないまま乾く唇
ウーファーの誌情も籠り秋湿り
【お仕事】Numero TOKYO「年末年始に読みたい本(2020-2021)」
雑誌『Numero TOKYO』(扶桑社)でのブックレビュー、12月分が「おすすめ! 年末年始に読みたい本」として公開されました。
今月ご紹介しているのは……
📕 酉島伝法さんによる痛快ディストピア『るん(笑)』(集英社)
📗 コルソン・ホワイトヘッド氏の2度目の(かつ2作連続の)ピュリッツァー賞受賞作となった『ニッケル・ボーイズ』(早川書房 藤井光さん訳)
📘 時間SFとしてもミステリ