ヤングアダルト

月の砂漠のかぐや姫 第183話

 青い光に飲み込まれてしまった冒頓の視界は、太陽を直接見た時のように真っ白になり、何物の姿形も見えなくなってしまいました。 「クウゥッ・・・・・・」  鋭い痛みを発する両目を押さえながら苦しげな声を出す冒頓の耳に、母を待つ少女の奇岩の声が聞こえてきました。 「お前のせいで、わたしは長い間…

短編小説 ● キスしたあいつの武勇伝

2021年4月 | ヤングアダルト | 幼なじみ | 22枚 | 7800字 私が何を書いても校内放送に採用してくれない放送部の部長が「次は絶対読む」と言うから、私は幼なじみの彼に起きた中学生時代の恥ずかしい武勇伝を書くことにした。はたして放送されるのか? キスしたあいつの武勇伝 「うそつき。私が何…

ヤングアダルト本紹介 『焼き肉を食べる前に』

『きみトリ』著者の舟之川聖子です。 『きみトリ』で本の紹介をしたのがうれしくて、またいつかああいうコーナーを持ちたいなぁと思いながら、きょうも図書館のヤングアダルト(YA)コーナーで本を物色しています。 実は、わたしは図書館司書の資格も持っていたりします。司書として図書館で働いてい…

就職内定にウイニングランした、5年後の今。

「普通に就職する。」の「普通」って、「普通」じゃない。 何かの本で読んだ言葉をぼんやりと思い出す、「ずっと同じ仕事するのって、イチローみたいな天才がすること。」 この辺の解釈が就活中のボクには足りていなかったんだと思う。というか、理解が上手くできていなかったと言うべきかもしれない…

心がしんどい時の優しさ

嫌だなぁ…。 と思う事があっても何も言えず心に押し込む。 辛いなぁ…。 って思っても話を聞いてくれる人がいないから心に押し込む。 何にも考えたくないなぁ…。 って思っても子供の窓口は私だし。 離れたいなぁ…。 って思っても離れられないし。 聞きたくないなぁ…。 って思っても聞こえ…

無駄を愛した先にある希望

勤めている会社の見込んでいた年間の売上が、人の行き来ができなくなったことによって一気にふっ飛ぶ。 社長からは「少しの間はキャッシュがあるから大丈夫」という安心して良いのか悪いのか判断に困るメールが飛んできた。 僕自身が抱えていた仕事も例に漏れずで、長く付き合ってきたクライアントから…

月の砂漠のかぐや姫 第182話

「ハァ、どこか、どこかに隙はないか・・・・・・。ハァ、ハァ」  冒頓ほどの強者であっても、視界が狭くなるということがあるのでしょうか。母を待つ少女の奇岩の隙を探す、そのことに意識を集中していた彼の体の動きが僅かに鈍ったのを、母を待つ少女の奇岩は見逃しませんでした。  パシィイン・・・・・・。 …

月の砂漠のかぐや姫 第181話

 ザァアッ。  二人の間を、一陣の風が吹き抜けました。  その風が二人の体をその場に留めていた何かを、取り去ってしまったのでしょうか。  風が通り過ぎた次の瞬間に、冒頓が、そして、母を待つ少女の奇岩が、相手に向かって走り出しました。  冒頓に向って正面から走り来る母を待つ少女の奇岩は…

月の砂漠のかぐや姫 第180話

「チィィ、くそっ」  冒頓は短剣を横に払って彼女の胴を切ろうと動きましたが、既に彼女は彼の横を走りすぎて後続の男たちの中へ飛び込んでいました。  足を止めて多数の者に取り囲まれるのを嫌っているかのような彼女の動きは、冒頓たちが騎馬で多数の者と戦う際の動きに似ていました。実際に自分た…

マカロニえんぴつにハマったこと

彼らに出会ったのはちょうど半年前くらいだろうか きっかけと言っても良いのだろうか その夜は、どん底の夜だった なんだか消化しきれない思いだけが先行して 誰かと電話したい夜でも、会いたい夜でもなかった それでも寂しい夜で、自分でもよく分からない夜だった そんなどうしようもない夜に出会っ…