にじまろ@司書教諭

小学校教員。司書教諭。2人の小学生の母親です。子どもと本とをつなぐための工夫や日々学校…

にじまろ@司書教諭

小学校教員。司書教諭。2人の小学生の母親です。子どもと本とをつなぐための工夫や日々学校で感じることなどを記録していきます。

最近の記事

読書の授業をカリキュラムに組み込む

国語の授業では「読むこと」を扱う教材がありますが、それが読書につながるようになっているかというと必ずしもそうとは言えません。教科書における「読むこと」の教材は、その学年の子どもに合ったものをバランスよく選んだものであり、それらを読むことには一定の価値があります。 ただ、国語の一斉指導の限界もあります。子どもたちには、それぞれに好みがあり、読みの能力も違います。「読むこと」の授業と「読書」をもう少し近付けたいといつも思っています。 そのために、私は国語の授業をカリキュラムマ

    • 雪かき仕事(地味で目立たないけれど大切な仕事)

      先日、雪が降りました。雪と言えば、雪かきです。 みなさんは雪かきをしましたか? 私は「雪かき仕事」と聞くと、必ず思い出す本があります。雪が降るたびに思い出しますし、雪が降らなくても、ときどき思い出します。今日はその内容についてお話しします。 その本は、『下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち』内田樹(2009,講談社文庫)です。 「本書の主題は「学びからの逃走・労働からの逃走」 である。」(p.9)と冒頭で述べているように、第一章、第二章では「学びからの逃走」に

      • 【読書】『ルポ 無料塾 「教育格差」の議論の死角』おおたとしまさ 2023 集英社新書

        格差の問題に関する議論でよくこんな意見を目にします。 「所得の少ない家庭の子どもは塾に行けないから、学力格差は広がるばかりだ。」 「子どもの教育費にお金がかかる。子どもがいる世帯にお金が渡るようにして塾や習い事に行けるようにしないと。」 私は、こういった言説にずっと疑問をもち続けてきました。 私は、小学生のときも中学生のとき塾には通いませんでした。学校でも勉強しているのに、部活の後に夜まで勉強する気になれなかったからです。高校3年生になると大手予備校に申し込み、1つか2つ受

        • 2023年に読んだ児童書

          年末になり、読書会記録、大人本の読書記録をnoteに整理してきました。最後に児童書についてまとめて、今年の締めくくりとしたいと思います。 (ちなみに今年は、255冊の絵本・児童書を読みました。目標の300冊に届かず残念…。) 今日は、その255冊の中から、絵本10冊、児童向け読み物10冊の計20冊を紹介します。(絵本、児童向け読み物共に対象年齢が低い順に紹介していきます。) 絵本たべもんどう (鈴木のりたけ,2015,ブロンズ新社) 今年「大ピンチずかん」が大ヒットした鈴

        読書の授業をカリキュラムに組み込む

          2023年下半期に読んだ本

          2023年も終わりに近づいてきました。今年もたくさんのおもしろい本と出会いました。今日は、2023年下半期に読んだ本の中からみなさんにおすすめしたい本を10冊選んで紹介しようと思います。 逆ソクラテス(伊坂幸太郎)子どもを主人公とした伊坂幸太郎の短編集です。小6の娘が学校の友達に勧められて読んで良かったと言っていたので私も読みました。(小学生が伊坂幸太郎の本を勧め合うんだなぁということにもびっくり!) 全編を通して描かれる「先入観」というテーマに教員としても保護者としても考

          2023年下半期に読んだ本

          2023年 読書会記録(教育関係)

          月に1回、オンラインの読書会を行っています。参加メンバーは、教職大学院在学時代の同期メンバーです。小学校教員、高校教員、教育委員会職員で構成されており、勤務地も東京、神奈川、静岡、高知、広島など様々。毎月の読書会は、刺激と癒しの時間です。 今日はこの1年で課題図書として読んできた本について振り返り、学びを整理してみたいと思います。 1月『聞く技術 聞いてもらう技術』東畑開人この本を読んで、聞き合うことで人は助け合えるんだなぁとしみじみ思いました。心を病んでしまう人が多い昨

          2023年 読書会記録(教育関係)

          文章を書きたくなる本

          文章を書くのは好きですか?noteに投稿している人は文章を書くのが好きな人が多いと思います。小学校教員をしていると、文章を書くのが苦手な子にたくさん出会います。私は、文章を書くのが得意ではありませんが、書くことは好きです。いろんな気持ちが心の中でうごめいてくると、”書きたい”という衝動に駆られます。 この秋から冬にかけて、文章を書くことに関する本を数冊読みました。中高生向けのものが多いですが、文章を書くとはどういうことなのか、どうやったら文章が書けるのかということがそれぞれ

          文章を書きたくなる本

          パルシステムのおじさん

          私は小学校の教員をしています。小学生の下校時刻には学校にいるため、子どもたちの帰り道の様子を見ることはあまりありません。 ところがこの前、小学生の下校する時間帯に街を自転車で通ることがありました。息子が発熱し、小学生の下校時刻に私も帰宅することになったのです。そこで、見かけた出来事について今日は書きたいと思います。 パルシステムのおじさんランドセルを背負った女の子が、パルシステムのおじさんに近寄って話しかけています。パルシステムは食品や日用品を家庭に配送するサービスを行う

          パルシステムのおじさん

          小4息子と楽しむ読書

          うちには小6娘と小4息子がいます。小6娘は、本が大好きで暇さえあれば読書をしていますが、息子は野球とマンガが大好きで、読書はあまり得意ではありません。司書教諭の息子だからと言って、読書好きとは限らないんです。 とは言え、息子にも本を読めるようになりたい気持ちはあるし、好きな本もあります。学校でいろんな子どもたちと接しているときにも、いつも思います。読書が苦手な子も本を読みたい気持ちはあるんです。 本が大好きな娘と一緒に楽しむ読書、息子のゆっくりペースに合わせて楽しむ読書、

          小4息子と楽しむ読書

          多様性を受けとめる教室をつくる

          私は、教職大学院で国際バカロレア(IB)教員の資格を取得しました。ここでの経験は私の教師人生に大きく影響しています。今週、大学院の授業で、資格取得後の働き方や授業作りについてお話させていただきました。 その授業では、私の他にもう一人ゲストティーチャーが呼ばれていて、その方はオーストラリアのメルボルンの小学校で特別支援教育のコーディネーターをされている方でした。とても魅力的な方で、お話の内容も深く考えさせられるものだったので、noteに記録しておきたいと思います。 コンディ

          多様性を受けとめる教室をつくる

          今すぐ取り組むべき学校の負担軽減案

          学校がいろいろな役割を担っている昨今、その仕事がどんどん教員に降りかかってきています。その結果、学校現場の負担が増え、病気休職者の増加、教員を志望する学生の減少、有能な教員の離職など、深刻な問題に繋がっています。 最近、働き方改革が叫ばれるようになり、現場レベルで削減できるものは、それなりに削減してきていると思います。これ以上削減すると、授業の質など子どもや保護者に悪影響が及ぶようになると思います。 今日は、現場では決められない「これ教員がやらなくてもいいよなー」「これやめ

          今すぐ取り組むべき学校の負担軽減案

          【読書】『何のためのテスト?』

          読書会で『何のためのテスト? 評価で変わる学校と学び』(ケネス・J・ガーゲン、シェルト・R・ギル 著/東村知子、鮫島輝美 訳,2023,ナカニシヤ出版)を読みました。 今夏は「評価」についていろいろ思考を巡らせていました。読書会で話したことや現時点で自分が大切だと感じていることを整理して残しておきたいと思います。 本書について社会構成主義の第一人者として知られる社会心理学者ガーゲンと教育学者ギルは本書の中で、「工場モデル」をベースとした評価の問題点を指摘し、関係に基づく評価

          【読書】『何のためのテスト?』

          小6娘と楽しむ読書

          うちには小6の娘がいます。娘にとっては小学校生活最後の夏休みでした。「夏はたくさん本を読みたい」と言っていた娘。大人の文庫本にも手を伸ばすようになり、読書が生活の一部になっています。 今日は、これまで娘が手に取ってきた本や一緒に感想を言い合って楽しんだ本を10冊紹介します。(高学年の読書の参考になればと思います。) 白狐魔記主人公の白狐が歴史上の人物と出合いながら「人間とは」という問いと向き合います。シリーズで何冊も出ていて、読み進めるごとに時代が進んで行きます。娘は小4

          小6娘と楽しむ読書

          「おもしろい」をつづけるために…

          夏休み中に何冊か本を読みました。教育関係の積読本もたくさんあり、それらも読みましたが、「夏休みは心のままに読書したい!」という思いもあり、教育に関係の無さそうな本も本屋さんで気の向くままに購入し、読みました。今日は、その中で印象的だった『ここだけのごあいさつ』(三島邦弘,2023ミシマ社)という本について書きたいと思います。 この本は、本屋さんで偶然見つけて「あ、ミシマ社の本だ。」と思って手に取りました。(ミシマ社の本には手書きの本紹介チラシが入っているのですが、そのセンス

          「おもしろい」をつづけるために…

          「自分を認めてほしい」という気持ち

          教員仲間で読書会をしています。今回の課題図書は『人を動かす(文庫版)』(D.カーネギー,2016,創元社)。言わずと知れた名著です。題名やその存在は知っていたものの、読んだことは無かったので、課題図書として選びました。 今日は、この読書会で考えたこと、気づかされたことをまとめてみたいと思います。 書いてあるのは、よく知っていることだった「読んでみてどうでした?」という問いかけからスタートした読書会。 「どれも大事なことだけど、特に新しいことという感じではないよね。」 「それ

          「自分を認めてほしい」という気持ち

          2023上半期に読んだ本

          今年は半期ごとに読んだ本についてまとめることにしました。読んだ本の中で心に残った10冊を選んでご紹介します。 香君上橋菜穂子・作 2022 文藝春秋 今期、読んだ本のNo.1は、大好きな上橋菜穂子さんの「香君」です。 「神郷からもたらされた「オアレ稲」によって発展した帝都だったが、その稲に害虫が発生し、国は困難な状況に陥ろうとしていた。優れた嗅覚をもつ少女アイシャは、運命に導かれてこのオアレ稲の謎に迫る…。」 壮大なファンタジーなのですが、私たちが生きる世界のできごとを思わ

          2023上半期に読んだ本