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2023年に読んだ児童書

年末になり、読書会記録、大人本の読書記録をnoteに整理してきました。最後に児童書についてまとめて、今年の締めくくりとしたいと思います。
(ちなみに今年は、255冊の絵本・児童書を読みました。目標の300冊に届かず残念…。)
今日は、その255冊の中から、絵本10冊、児童向け読み物10冊の計20冊を紹介します。(絵本、児童向け読み物共に対象年齢が低い順に紹介していきます。)

絵本

たべもんどう

(鈴木のりたけ,2015,ブロンズ新社)
今年「大ピンチずかん」が大ヒットした鈴木のりたけさんの言葉遊び絵本。絵がおもしろくて何度も見たくなるし、言葉遊びも何度も唱えたくなる。小さい子から小学生、大人までみんなを笑顔にしてくれる絵本です。

スーザンのかくれんぼ

(ルイス・スロボドキン,山主敏子 訳,2006,偕成社)
スロボドキンの描くお話の世界、大好きです。お兄ちゃんにいじわるをされて逃げるスーザンは、隠れ場所をさがすことにしました。嫌なことから逃げたり隠れたりすることって大切。そして、自分でその術を見付けることも。大人たちが温かく支えたり、見守ったりしているのもいいなと思いました。

カクレンボ・ジャクソン

(デイヴィット・ルーカス ,なかがわちひろ 訳,2005,偕成社)
またまたかくれんぼのお話ですがこの本も良かったです。目立ちたくないから、目立たないための洋服を手作りしていたカクレンボ・ジャクソン。でも、結果的にそのことで目立ってしまい、それを生かして仕事をするようになります。自分らしさを大切にしていくことで人生を切り開いた主人公に希望をもらいました。

こぐまくんのハーモニカ

(ジョン・セバスチャン著,ガース・ウイリアムズ絵,三木卓 訳,2000,リブリオ出版)
こぐまくんのお父さんはハーモニカの演奏家です。こぐまくんもハーモニカに惹かれますが、周囲から「お父さんみたいな演奏家になれるのでは?」という期待がかけられ、次第にそれが重荷になっていきます。子ども向け絵本ですが、幅広い世代の人の心に響く作品です。

きちょうめんななまけもの

(ねじめ正一 作,村上康成 絵,2008,教育画劇)
このタイトル、何だか興味を惹かれませんか?なまけものは怠けてばかりで、だらだら生活するのが大好きだと思ったら大間違い。夜の姿は、昼の姿とは全く違うものでした。人と接する時も、自分が知っているのはその人のごく一部だけなのだと改めて気付かされました。

むらの英雄

(渡辺茂男 文,西村繁男 絵,2013,瑞雲社)
エチオピアの昔話。12人の男たちが町へ向かいますが、帰って来た時には11人しかいなくなっていた!?実際は、自分を数え忘れただけだったのですが、勇敢な英雄の姿が想像の中で広がって行くのがおもしろい。意外と現実にもこういうことってあるのかもしれません。
(読み聞かせするのなら中学年以上がおすすめ。)

タケノコごはん

(大島渚 文,伊藤秀男 絵,2015,ポプラ社)
大島渚監督の子どものころの思い出をもとに書かれたお話。親しんでいた学校の先生たちが次々に戦争に駆り出されていく当時の様子が子どもの目線で語られます。お話は無邪気な子どもたちが中心となって進んでいくので、入りやすいのですが、終わりまで読むと思わず涙ぐんでしまいます。

買物絵本

(五味太郎,2010,ブロンズ新社)
金融教育の本でセレクトされていた本。お金でどんなものが買えるかを楽しく紹介しているのですが、奥が深い!「お金を出すことによって、私たち人間は何を手に入れようとしているのだろう」と考えさせられます。大人が読むのも楽しいし、子どもたちもこういう話大好きだと思います。

オレはどうくつ探検家

(吉田勝次,2018,ポプラ社)
洞窟の中を探検する様子が綴られる写真絵本です。この絵本で出てくる洞窟探検は私の想像を遥かに超えたものでした。(そして、自分は絶対に行きたくない!!)人間の探究心と行動力ってすごいんだなと驚かされます。

海のアトリエ

(堀川理万子,2021,偕成社)
おばあちゃんのうちで見つけた女の子の絵をきっかけに、おばあちゃんの子どものころの思い出が語られます。子どもにとって、親や学校の先生以外の大人と関わることってすごく大切だなと思う今日この頃。子どもが一人の人として成長していくのには、人との出会いや経験、言葉が必要なのだと感じました。

児童向け読み物

しろくまだって

(齊藤洋 文,高畠純 絵,2014,小峰書房)
人間の言葉を覚えたしろくまの兄弟が、人間の暮らしに興味をもち、恐る恐る町へでかけていきます。特殊な設定なのに、自然と内容が頭に入ってくるから不思議です。絵本を卒業した中学年くらいの子どもたちにぴったりの文章量と内容。今年4年生で最初に行ったミニビブリオバトルでは、この本がチャンプ本に選ばれました。

ジュディ・モードはごきげんななめ

長期休み明けで何でもめんどうくさがる主人公ジュディ・モード。このふきげんでかったるそうな雰囲気が子どもたちの共感を呼ぶこと間違いなしです。ネガティブな主人公ですが、学校で取り組み始めたコラージュづくりの活動に楽しく取り組む様子がとてもかわいい。勉強がきらいでも、友達と相互に影響し合いながら活動をしているうちにいろいろなことを学んでいく。学校ってそんな場所だと思います。(そんな場所にしていきたいです。)

おもちゃ屋のねこ

(リンダ・ニューベリー作,田中薫子 訳,くらはしれい絵,2022,徳間書店)
ねこがお店にいるようになって、おもちゃ屋には不思議な出来事が起こります。くらはしれいさんの挿絵に魅かれて手に取りましたが、お話も静かな中に味わいがあってとても良かったです。ある場所で輝いているものを他の場所に移したときに、そこでも同じように輝くとは限らないんですよね。その人、その動物、その物にふさわしい場所いうのがあるはず。

魔女がいっぱい

(ロアルド・ダール作,クェンティン・ブレイク絵,清水達也・鶴見敏 訳,2006,評論社)
姿を隠しながら人間社会に紛れて暮らす魔女たち。その存在を知った主人公の少年が、ある日魔女の集会を目撃してしまいます。このお話、結構恐くて一度読んだら忘れられない。ユーモアが効いていてお話に引き込む力が強い、さすがのダール作品だなあと思いました。

願いがかなうふしぎな日記

(本田有明,2012,PHP研究所)
読書感想文向けの本として売り出されているのですね。(その紹介の仕方ってどうなの?と思ってしまいますが…。)
主人公の少年が、おばあちゃんにもらった日記に願い事を書くとそれが叶うという法則に気付きます。でも、このお話、魔法とかそういう話ではありません。なぜ願いが叶ったのかはこの本を読んでみてください。子どもよりも大人が読むのにいい本なのかも!?

竜退治の騎士になる方法

(岡田淳,2003,偕成社)
岡田淳の代表作『二分間の冒険』などのような冒険ファンタジーの展開とは違うので、最初は「どうなるの?この話」と思いますが、お話に登場する奇妙な騎士との対話を通して、いろんなことを考えさせられます。ちなみに竜退治の騎士になるための第一歩は「トイレのはきものをそろえること」だそうです。岡田淳ワールドを堪能できる1冊。

ジェイとレイ ふたりはひとり

(アンドリュー・クレメンツ作,田中奈津子 訳,2010,講談社)
双子のジェイとレイが2人で一緒に転入するはずだった学校には、なぜか1人分の席しかなく…。そのことに気付いた2人は、交代で学校に行くことにし、家にいる方の1人は好きなことをして過ごします。周囲にたくさんの噓をついて維持する生活はどんなものだったと思いますか?
2学期に、担任している4年生に向けて毎日少しずつこの本を読み聞かせしました。続きが気になって「早く読んで!」とせがまれるおもしろさでした。

フレンドシップウォーこわれたボタンと友情のゆくえ

(アンドリュー・クレメンツ作,田中奈津子 訳,2020,講談社)
これもクレメンツの本。(この作家さんの本はもっと読んでみたいなと思っています。)ボタンをきっかけにして友達関係が激しく展開していきます。仲良くしていても、本当はモヤモヤした感情を抱えている。そんな女の子の友情をリアルに表現していて見事だなと思います。

中村哲物語

(松島恵利子,2022,汐文社)
今年の読書感想文コンクールの課題図書からはこちらを紹介します。アフガニスタンで活動していた医師の中村哲さんについて書かれた伝記。この本で出てきた「人は見ようとするものしか見えない」という言葉が心に刺さりました。中村さんの言う通りだと思ったからです。どうやって他者から見た世界に気付くか、視野を広げて多くの人が幸せになる方法を探すか。先人の生き方を基に考えていきたいなあと思いました。

チェラブ

(ロバートマカモア著,大澤晶 訳,2008,ほるぷ出版)
今年VIVANTというドラマが流行りましたよね。その流れで、子ども向けのスパイものを読みたくなり、この本を手に取りました。子どもたちが所属するスパイ組織のお話です。ドキドキハラハラすること間違い無し!分厚いけど一気読みしてしまいました。

終わりに

まとめてみると、紹介したい本が多すぎて絞り込むのが大変でした。(やっぱり児童書も半期ずつまとめた方が良い気がしました。)
まとめてみると、児童書とは言え大人が読んでも楽しめるものばかりでした。来年は300冊という目標が達成できるといいなぁ。

最後までお読みいただきありがとうございました!