見出し画像

『ポーチとノート』 〜恋と生理と大人になること

こんにちは、ことろです。
今回は『ポーチとノート』という小説を紹介したいと思います。

『ポーチとノート』は、著・こまつあやこ、装画・miiiの中高校生向けの小説です。全13章あり、恋する高校生の生理がテーマのお話です。

主人公は、可藤未来(かとう みく)。16歳。高校二年生。
いたって普通の女の子だが、生まれてから一度も生理が来ていない。
十歳の誕生日に祖母から生理用ナプキンが入ったポーチをもらってから一度も使っていないため、鍵付きの引き出しに仕舞っている。
そのポーチと同じところに「未来(みく)ノート」と名付けた日記帳がある。内容は日記だが、ポエムのような文体になっており、自分でも痛ノートだとわかっているため鍵付きの引き出しに仕舞ってポーチ共々誰にも見られないようにしている。
恋愛は女子高の高校を卒業するまで無しかなと思っていたが、夏休み限定バイトで図書館に来ていた男性に一目惚れする。

吉畑麻恵(よしはた あさえ)。未来のおばあちゃん。
感覚が若いため自分のことを「アサエさん」と呼ばせている。年齢を感じさせないアクティブさであちこち飛び回っている。読者モデルに応募して受かる。
未来が恋愛や生理のことで悩んでいるときに力になってくれる。
未来のことは「みーちゃん」と呼んでいる。

芽衣(めい)。未来の中学の頃からの親友。同じく高校二年生。
時代劇が好きで昔の言葉をよく使う。「涼汰くん」と付き合っており、夏季講習をサボる。
未来が打ち明けてからは、未来の恋愛や生理の悩みについても協力してくれる。

池さん。女性。
未来が通う高校の図書館の司書さん。
バードウォッチングが好きで、よく壁に鳥の写真が飾られている。

保阪悠嗣(ほさか はるつぐ)。公立大学の三年生。一浪してるので22歳。
専攻は数学科だが、司書補(ししょほ)の資格を持っている。
未来の高校の図書館にバイトに来る。
未来がエスペラント語を知るきっかけにもなる。


六月のとある日曜日。
未来の母親がおばあちゃんと長電話をしていたと思ったら、こう言います。
「このマンションに引っ越してくるかもしれないわ。」
同居すると勘違いした未来でしたが、実際は上の階の空いてる部屋に引っ越してくるそうです。
おばあちゃんの名前は麻恵。「おばあちゃん」と呼ばれるのが嫌いなアサエさんは自分のことを「アサエさん」と周りに呼ばせていました。未来も小さい頃からアサエさんと呼び、おばあちゃんとは決して言いません。
そんなアサエさんはとてもアクティブでアグレッシブな人。還暦を過ぎた今でも、若い子のようにきれいなルージュをつけて、白いTシャツに細身のデニムパンツ、首にはスカーフを巻いて、ヒールも履きます。
実際若く見られることもあり、まんざらでもない様子のアサエさん。
そんなアサエさんは、十七歳で未来の母親を産んでおり、働きながらシングルマザーとして頑張っていました。そんな母親を持つ未来の母親は、アサエさんのことを反面教師にして育ちます。ふたりは仲が悪いわけではないのですが、何を考えてるのかわからないと、アサエさんにはついていけないと思っています。
それは未来も同じで、突拍子もなくあれこれ言ったりやったりするアサエさんの言動にはついていけないところがあるのですが、でもどこか憎めない人だなとも思っていました。

自室に戻った未来は、ベッドに横になって、アサエさんがこのマンションに引っ越してくるんだ……とぼんやり考えていました。
ふと起き上がって、机の鍵付きの引き出しを開けます。人に見られたくないものは、まとめてそこに入れるようにしていました。
引き出しの中には、十歳の誕生日にアサエさんからもらったポーチが入っています。
その当時は未来のひいおじいちゃんとひいおばあちゃんが病気がちでなかなかアサエさんも来られなくて、たまにしか会えなかったのですが、未来の誕生日だけは毎年祝ってくれていました。
十歳の誕生日は、フランス製だという猫の刺繍が入った水色のポーチをくれたアサエさんでしたが、その中に生理用のナプキンまで一緒に入れていて、食卓を囲む未来の父親も母親もびっくりして、もう少しデリカシーはないのかと怒りました。未来もナプキンだとわかると恥ずかしくなって、自分の部屋に急いで持っていき、あの鍵のついた引き出しに仕舞ったのでした。
まさか、あれから一度も使う機会が訪れないとは思いもしませんでしたが、未来は今もまだ生理が来ていないので、ポーチはずっと眠ったままです。

アサエさんはそんな未来に「あのポーチ使ってる?」とは聞いてきませんでした。
そのことに内心ほっとしている未来でしたが、そのかわり毎年のように「好きな人はできた?」と聞いてくるので勘弁してほしいと思っています。
未来は中学から私立の女子高に通っています。
なかにはもちろん、他校の男子と付き合ったり、合コンしたりする子もいますが、未来は自分のことを地味系女子だと思っているようで自分には縁のない話だと思っています。
高校生活は親友の芽衣がいれば、それだけで花マルなのでした。

すると、芽衣から電話が来ます。
「ねえ未来、聞いて! やんごとなき由々しき事態!」
芽衣は時代劇が好きなので、言葉の端々に、女子高生らしからぬ言葉が混ざります。
未来は芽衣の声のトーンから、いい意味の「由々しき事態」だと予想がつきました。
「涼汰くんと何かあった?」
「なんと、ペアリング買ってもらっちゃいました。」
「えっ、今日が初デートでしょ? もうペアリング?」
「さよう。横浜に連れていってくれて、赤レンガとか観覧車とか行って……ああもうドラマみたいだった。しかも帰りは遠回りなのに、私の地元まで送ってくれたんだよ。やばい、あんな立派な殿方が私の彼氏でいいのかな。」
「殿方って、高校生男子に使う言葉? 芽衣、浮かれすぎ。」
今月、芽衣に初めての彼氏ができました。
小学校時代の塾の同級生から紹介してもらったそうで、何度かグループデートをして、その帰りに告白されたらしいのです。
未来たちと同じ高校二年生、テニス部を去年辞めて帰宅部、お姉ちゃんが一人、元カノの数は自己申告によると三人で、B型のうお座、そんじょそこらの女の子より肌がきれい。
以上が、芽衣による彼氏情報。芽衣はどんな細かい情報でも、未来に報告してきます。
「あっ、お母さんが帰ってきたからもう切るね。続きは明日!」
続きは明日、か。アサエさんの引っ越しという未来の由々しき事態は報告できずじまいです。

未来はポーチと同じ引き出しからノートを取り出しました。
今思っていることを書き始めます。

まるで置いてけぼりみたい
本当はうらやましいし寂しいよ
私の指にはペンだこで
あの子の指にはペアリング
ねえいつか
私も誰かと恋をする日が来るのかな

(p.13 ポーチとノート)

そこまで書いて、ふと我に返る未来。
イタい、ダサい、超恥ずかしい。何書いちゃってるの。
もしもこのノートを誰かに見られたら、ドン引きされる。
でも、未来は中学に入った頃から書き続けていました。ノートに思いを綴ると少し気持ちが楽になるのです。
今までに書きためたノートはもう五冊。学校の授業で使うよりも一回り小さな水色のノートをいつも使っています。
親友の芽衣にだって、絶対に見せられません。
もちろん、人のプライベートにハイヒールでかつかつ踏み込んでくるようなアサエさんからも死守しなくては!
未来はノートを引き出しに仕舞い、鍵をかけました。


「じゃんっ、こちらでござる!」
翌日、学校図書館で芽衣は芸能人の婚約会見のように薬指を見せました。
「わっ、危ない、だめだよ。学校で指輪なんかつけてたら……。見つかったらすぐ没収だよ。」
「えー? 大丈夫だよ、ここは安全地帯だもん。」
芽衣いわく、ここはカフェではなくお茶屋でくつろぐようなかんじ。
「どこが安全地帯だって?」
背中から声をかけられ、未来たちはあわてて振り向きます。そこにいたのは、司書の池さんでした。
「おしゃべりもいいけど、掃除手伝ってくれる?」
未来たちの通う女子高は、数年前から続いていた改修工事が今年やっと終わったところでした。
その結果、図書室は「図書館」と呼び名が変わりました。
学校の中の部屋なのに、なんで「館」?
そう首をかしげる未来たちでしたが、池さんは胸を張ります。
「建物の大きさは関係ないわ。司書がいて利用する人がいるこの空間を本来、『学校図書館』っていうの。ずっと『図書館』って呼び方に変えたかったんだ」
この新しい図書館には、集中して自習できるスペースもあり、絨毯の敷かれたリラックススペースも用意されました。リラックススペースは多少のおしゃべりもOK。天井には池さん手作りの鳥のモビールがぶら下がり、観葉植物がマイナスイオンを放っています。
毎日のように下校時刻ギリギリまでここに居座る未来と芽衣は、おしゃべりのついでに池さんのお手伝いをするようになっていました。掃除をしたり、新聞をファイルに閉じたり、返ってきた本を拭いたり。
なんだか池さんの手のひらで転がされているような気もするけれど、まんざらでもない。

「あ、手伝いといえば。夏休みにアルバイトが来ることになったのよ。」
「えーっ、何で? 今まで図書室にバイトなんていなかったのに。」
芽衣が聞きます。
「ほら改修工事の間、校庭に建てたプレハブの図書室だったでしょ? そこから持ってきた本の整理が終わってないから、手伝ってもらうことになったの。」
「どんな人が来るんですか?」
未来も何気なく聞いてみます。
「司書補の大学生。」
「司書ほ?」
「ほって何?」
「司書に補うと書いて司書補。言葉どおり、司書の補佐をするっていう資格。まだ大学生だけど、資格持ってる子が来てくれるから頼もしいわ。」
「大学生でもう資格持ってるんですか?」
「たしかに学生だと珍しいね。気になるなら、本人にきいてみたら?」
「はーい。」
そのとき、頭のよさそうな女子大生のイメージが脳裏に浮かんだけれど、三秒後には忘れていました。


七月最初の週末、いよいよアサエさんの引っ越しが行われます。
マンションの共用廊下から駐車場を見下ろしていた未来は、ウサギマークの引越し会社のトラックを見つけ、実感がこみ上げてきます。
ついに、アサエさんがこのマンションで生活するんだ。
未来もアサエさんの引っ越しを手伝うことにしました。
707号室に荷物がたくさん詰め込まれると、「さっ、どんどん開けましょっ。」と鼻歌混じりに段ボールに取り掛かるアサエさん。
「ねえ、アサエさん。引っ越しの理由、本当は東京に住みたかったからでしょ?」
「バレたか。」
アサエさんはペロリと舌を出しました。(ウインク同様、日常で舌を出す人を私は知らない。)
「バレバレだよ。だって、アサエさん東京が大好きなんだもん。うちに来るたびに、渋谷でショッピングとか銀座でランチとか、いろんな予定詰め込んでたじゃん。」
「自由が丘でスイーツも欠かせないわね。」
アサエさんはウインクをすると、
「高校のころ、卒業したら東京で一人暮らししたいって夢見てたのよ。でもほら、十七で子ども産むことになってから、ずっとそれどころじゃなかったわね。」

そう、アサエさんは十七歳のときに未来の母親を産みました。
今でこそ、授かり婚はハッピーなイメージも強いけれど、アサエさんの時代はきっとまだまだ世間からはアウトローな生き方と見られたんじゃないかな。
しかもまだ高校生だったんだから、家族も先生もビックリ仰天したはず。
未来は、自分のおじいちゃんがどんな人なのか、詳しいことを聞いたことはありませんでした。
知っているのは、アサエさんは自分の実家で子どもを育てたシングルマザーだということ(当時はその言葉もなかったかもしれません)。
実家の両親の協力のもと、地元の食品会社の工場で働きながら未来の母親を育てました。
未来の母親が大学進学で実家を出てからは、その会社の正社員になって六十歳までバリバリ働きました。

「約半世紀越しで夢を叶える日が来たわ。都会ライフ楽しみー。」
「都会って……。このあたりは東京っていっても、おしゃれな都会じゃないよ? 見てのとおり、うちは築二十五年のマンションだし。」
「あら、どこへだって電車ですぐじゃない。見たいところも、食べたいものもたくさんあるのよー。みーちゃん、付き合ってくれるよね?」
そう言ってアサエさんはもう一度ウインクを飛ばしました。
ほんと、アサエさんは大人げないんだから。「もう。」とあきれた素振りをしてみせたけれど、笑ってしまいました。
アサエさんって、なぜだか憎めない。

こうして、未来はアサエさんと過ごす日々が始まります。
カフェでお茶をしたり、ランチや買い物をしたり。
さながら、女友達のようです。

ある日カフェでお茶をしていると、アサエさんはある雑誌の読者モデルに応募すると言ってきました。
この夏の目標なのだそうです。
みーちゃんは何か目標とかないの? と聞かれるも、未来の夏休みは高校の夏季講習で学校に行かなければいけなかったので、芽衣も彼氏と遊んで自分とはあんまり遊んでくれなさそうだし、勉強漬けになりそうな予感がしていました。
特にないと答えると、まあまだ夏は始まったばかりだからねとアサエさんはハイテンションで親指を立てました。

学校での夏季セミナーは全部で四期に分かれています。お盆休みを挟んで前半が一期と二期、後半が三期と四期です。
夏季セミナーの初日は、高二全員参加の進路ガイダンスでした。
未来の通う女子高は、創立当初、「良妻賢母」が教育方針の学校でした。でも二十一世紀になるころから、「国際社会に羽ばたく女性の育成」をスローガンに掲げるようになったようです。
周りの同級生は英語や国際関係を学びたいという子も多いのですが、未来のように気後れする子たちもいて……。
芽衣は時代劇が好きなので史学科希望でした。
未来は、英語ができないという理由で日本文学科を志望しています。
とはいえ、正直、大学で何を勉強するかより、バイトやサークルを楽しみにしているところがあります。
先生たちにはそんなの本末転倒だって叱られるかもしれないけれど、この受験を乗り越えれば、自分でも恋をする日が来るかもしれない。そう思うと、ほんのちょっと気分が上がります。

「あ、私、返す本があるんだった。」
未来が思い出して、芽衣とふたりで図書館に行くと、なにやら知らない男の人がいます。
「くっ、曲者っ!?」
未来も身を固くします。この女子高で若い男性は、数学の和泉先生と物理の中村先生しかいないはず。
「クセモノ?」
ぽかんとするその人を見て、未来はもしかして、と思い出しました。
「あの、司書、補さんですか?」
恐る恐る聞いてみると、その人は笑いながら「はい、司書補の保阪です。」と答えました。
「あっ、池さんが言ってたバイトの人!?」
と芽衣もようやく気づき、不審者扱いしたことを謝りました。
「いや、こちらこそビックリさせてごめんね。池さん、今ちょっと印刷室に行ってるんですけど、すぐ戻ると思います。」
池さんから図書館のバイトの大学生と聞いて、てっきり女の人だと思い込んでいました。男の人なんて、ふだんお父さんと学校の先生以外話すことがありません。

保阪さんは未来の手元の文庫本を見て「返却ですか?」と聞いてきました。
「え、あ、はいっ。」
本を手渡すと、保阪さんは返却の手続きをします。
その横顔を見ていると、何かに似ているような気がします。
「あ。これ挟まってるよ。」
あっと、未来は息を飲みました。
それは、今年のゴールデンウィークに芽衣と一緒に行った水族館で買ったイルカの栞だったのですが、保阪さんの顔立ちは口角がキュッと上がっていて、その笑顔もなんだかイルカに似ています。
優しげで癒される。
思わずじっと見つめていると、「君のじゃなかった?」と聞かれて慌てて受け取ると、ポケットに突っ込みました。

それからというもの、未来は保阪さんのことが頭から離れません。
栞を取り出しては、もうこれは大事なモノになってしまって、ふだんの本の栞としてではなく未来ノートに大事に挟むようになりました。
未来ノートにも、今の想いを綴ってしまいます。
きっと好きになってしまったのでしょう。
しかし、保阪さんは夏休み限定のバイトです。夏が終わる頃には会えなくなってしまいます。
そのとき不意に、カフェでグッドラックと親指を立てたアサエさんを思い出しました。
いやいやいや、この夏も何も起こらない。

未来は夏季講習が終わると、図書館に毎日行くようになりました。
芽衣は彼氏の涼汰くんと会う方が重要だと決め付けて、夏季講習をサボっています。なので図書館も一人です。
できるだけ保阪さんに会って少しでも交流できるように頑張っているおかげで、名前を覚えてもらったり、保阪さんのことを聞けるようになりました。
8月になって図書館の壁に展示コーナーが更新されていたのですが、そこには池さんではなく保阪さん作の大きなパネルが貼られていて、「コトバは∞」というタイトルが書かれていました。
どうやら世界の言葉を集めたようです。
展示テーブルの上には、世界各国の言語の入門書や、言葉にまつわるエッセイが並べられていました。
その流れで、未来は初めてエスペラント語という言葉を知りました。
保阪さんに勧められてエスペラントの本を借りることにした未来。
少しずつ興味を持ち、暗号のようで面白いと、誰にも読まれないようにエスペラント語を覚えて未来ノートに使うことにしました。
そして、保阪さんの提案でエスペラント語で日記を書いて、それを保阪さんに見せるということにもなりました。
ドキドキする未来。しかし、いざ書こうとしても芽衣と遊んでるわけでもないので、家でぐうたらしているだけの日々は日記に書くことがありません。
それでも、アサエさんと映画を見た帰りに寄った「ワールドフェスタ」というイベントで「エスペラント・ミニ講座」に参加してみたり、二駅先のショッピングモールに新しい図書館ができたと聞いて行ってみたり、それなりに行動はしていました。

未来の恋と並行に、からだのコンプレックス、生理についても進展があります。
実は生理がまだ来てないことに気づいていたお母さんが、去年病院に行かないかと誘ったことがあるのですが、もし病気だったらこわいと思って、つい生理は来たと嘘をついてしまって、お母さんには相談できずにいたのですが、保阪さんに恋をしてから、こんなからだのままじゃ恋愛はできないと思って、クリニックに行くかどうか悩み始めました。
芽衣も涼汰くんと進展するたび、どこまでなら進んでも大丈夫か不安になるのですが、そんな話を聞くと未来もいろいろと不安になりますし、恋愛と性欲について誰にも相談できない恥ずかしさがあって、そのことについても悩んでいました。自分は保阪さんとどこまでだったら進んでもいいと思えるのか。女の子だけではありませんが、女の子にとってはとても大事なことです。

ショッピングモールにできた図書館に行った際に『世界中の女子が読んだ! からだと性の教科書』という本を借りて、知識を深めた未来。
その時期に芽衣が涼汰くんと別れることになりました。理由は、彼女とセックスできるかどうか友達と賭けていたことがわかったからです。芽衣はこわくなってセックスを断ったのですが、そのときに賭けのことがわかって別れることにしました。
本で知識を深めていた未来は、いろんな感情にもなり、もちろん憤慨したのですが、芽衣も大人になるのにためらったということが痛いくらい共感できてほっとしたのもありました。
そして、保阪さんに恋していることと生理が一度も来たことがないことを打ち明けました。
すると、芽衣が一緒にクリニックについていってくれるというのです。
本来は保護者と一緒のほうがいいのですが、お母さんに相談できない未来は芽衣と一緒に行くことにしました。
そのあと、アサエさんとお泊まり女子会をしたときに、アサエさんにもカミングアウトして、実は芽衣と一緒にクリニックに行ったこと、次は保護者同伴で来てほしいと言われたことなどを説明し、今度はアサエさんと一緒に行くことになりました。血液検査などをして、検査結果はすぐには出ないので通院したり。

このまま、もし生理が来なくて子供が産めないからだだったら、どうしよう。
子供が欲しいとは今は思っていませんが、そんな人間を彼女にしたいと思ってくれる人がいるのか不安になったりします。
しかし、高校の図書館司書の池さんも結婚していないし子供もいないことから、いろんな女性がいていいんだということも知ります。

アサエさんには、自分のコンプレックスを理由に好きな人に告白すること、恋愛することから逃げていると言われてしまいました。
どんなコンプレックスがあっても、私は私。堂々としていなさいと背中を押された未来は、夏休みが終わってしまう前に保阪さんに告白しようと決めます。

さて、未来の恋は叶うのでしょうか?
生理は来るのでしょうか?
せひ、読んで確かめてみてください。


長くなってしまいました。
いかがでしたでしょうか?
今回は女の子メインな作品になりましたが、本だからこそ男の子が触れることができるというのもあると思います。
恋や生理は女の子だけのものではありません。
タブーにするのではなく、男女ともに深い知識を得ることで、よりよいコミュニケーションがとれることを願っています。
また『世界中の女子が読んだ! からだと性の教科書』は実際にある本なので、ぜひ手にとってみてほしいと思います。

それでは、また
次の本でお会いしましょう〜!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?