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論語とともに見る社会

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とらまる×論語普及会 論語普及会会員のとらまるが論語にふれた記事と、普及会の記事をまとめて収録しています。
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記事一覧

生き方の処方箋…論語から学ぶ道徳心と社会性

生き方の処方箋…論語から学ぶ道徳心と社会性

孔子の教えは人間の生き方について説いたものが多いです。

内容は、道徳的振る舞い、働く心得、
人間関係や家族関係を良きものにするなど
日常生活のあらゆる場面で役立つエッセンスが豊富です。

教えも実はシンプルで分かりやすく、
現代にも通じる話ばかりです。

孔子の教えは社会の発展や、
ビジネスの場面でも大きな影響を与えてきました。

多くの社会人・経営者らに好まれ、
論語をもとにしたビジネスマン向

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絶えず努力し、学び続けた人…孔子とは

絶えず努力し、学び続けた人…孔子とは

孔子は、紀元前551年春秋時代末期の
魯という国に生まれ、
紀元前479年、73歳で亡くなりました。

孔子は、もとは低い身分の出身で、
父を早くに亡くし、貧しい母子家庭の中で育ちました。

そんな中、幼い頃から、自ら勉学に励み、
下働きもいっぱいして役人となりました。

出世した時もあれば、
うまくいかず辞職せざるを得ない時もあり、
浮き沈みの激しい人生ではありました。

ですが、当時の政治を改

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人と社会のみちしるべ…論語とは

人と社会のみちしるべ…論語とは

論語は、今から約2500年前に中国でできました。

論語をあまり知らない人からすると、
孔子が書いた本というイメージの人もいるかもしれません。

ですが実は、論語は弟子達がまとめた語録なのです。

孔子(紀元前551~479年、春秋時代末期の思想家・教育者・政治家)が亡くなった後、孔子と優れた弟子達が言ったこと、行ったことを書き記しました。

孔子、直弟子、孫弟子達は、
それぞれが生き方、政治や国

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論語のススメ

論語のススメ

『現代的論語』をいつも読んでいただきありがとうございます。

論語は現代にも通じる話や教えが多くあるものの、
現代社会や私達の今の生き方に、
どう照らし合わせて理解していけば良いのか…
現代のこととして考えるとしたら、
一体どのようなことを論語から学び得たら良いのか…

論語を聞く・読む側も、
伝える側も、その点が難しいなと思うのです。

論語をよく知る人からすると、
学びも専門性も高くなっている

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歌善必反...音楽をこよなく愛した孔子

歌善必反...音楽をこよなく愛した孔子

子(し)、人と歌いて善ければ、必ず之(これ)を反(かえ)さしめて、而(しか)る後に之に和す。
(述而第七、仮名論語九四頁)
先師(孔子)は、人と歌われて、
相手がすぐれた歌い手だと必ずくりかえさせて、
自らもこれに合せて歌われた。

音楽をこよなく愛した孔子が、
繰り返させ一緒に合わせて歌われた歌とは
どのような曲であろうか。

繰り返させて、とあるから、
朝廷の政(まつりごと)を歌った「雅(が)

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人不己知...人が自分を認めてくれないのを気にすることはない。

人不己知...人が自分を認めてくれないのを気にすることはない。

子(し)曰(のたま)わく、人の己を知らざるを患(うれ)えず、其の不能を患(うれ)うるなり。
(憲問第十四、仮名論語二百十七頁)

先師(孔子)が言われた。
「人が自分を認めてくれないのを気にすることはない。
 自分にそれだけの能力がないのを気にすることだ」

昨年、荊妻に難しい病気が見つかり、
手術までの一ヶ月は本人より私の方が沈んだ。

普段は朝からクラシック音楽を聴いている。
作曲家はシベリウ

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現代的論語5 物事の本質を見極める力を磨け

現代的論語5 物事の本質を見極める力を磨け

物事の根本を見つめ直すと、物事の道理や道徳などが明らかになります。

何か問題が起きた時、その問題の本質をまず見極めなさい、ということです。

『緩んだ心に喝を入れる言葉4』で
学習に集中できないことの根本にある問題を採り上げました。

学習する以前に、姿勢が整っていない、
体や目線・感覚の力が養われていないなど…
そういった根本的問題が見えていないのに
何とかして物事に取り組もうとする。

子ど

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不欲勿施...自分が人からされたくないことは、人にしてはいけない。

不欲勿施...自分が人からされたくないことは、人にしてはいけない。

己の欲せざる所は人に施すこと勿(なか)れ。
(顔淵第十二、仮名論語一六二・一六三頁 
衛霊公第十五、仮名論語二三七頁)
先師(孔子)が言われた。
「自分が人からされたくないと思うことは、
人もいやなのだから、それを人にしてはいけない」

いつも持ち歩く小銭入れに、
一センチ強の化石が入っている。
五億年前のカンブリア紀三葉虫の化石である。

小銭を出す度に、五億年という時間の長さ、
殆どの動物の門

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忠恕一貫...まごころ(忠)からなるおもいやり(恕)

忠恕一貫...まごころ(忠)からなるおもいやり(恕)

子曰(のたま)わく、參(しん)や、
吾が道は一(いつ)以(もっ)て之(これ)を貫く。
曽子(そうし)曰わく、唯(い)。
子(し)出ず。門人問うて曰わく、何の謂(いい)ぞや。
曽子曰わく、夫子(ふうし)の道は忠恕(ちゅうじょ)のみ。
(里仁第四、仮名論語四三頁)
先師(孔子)が言われた。
「参(曾子の名)よ、私の道は一つの原理で貫いている」
曾子が「はい」と歯切れよく答えられた。
先師は満足げに出

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現代的論語4 孝行とは

現代的論語4 孝行とは

親孝行をし、きょうだいの言うことをよく聞き、年上や上司の人に逆らうものではない…
簡単に言えばそんな感じです。

孔子が生きていた頃の時代なので、
「兄や姉に従順に」というフレーズは
今の時代で考えると表現の仕方がきついものや
そぐわないものも中にはありますが、
”きょうだいを大事にせよ”という意味で受け取れば良いのではないかと思います。

「親やきょうだいを大事にして、
孝行することを忘れないよ

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志仁無悪...憎む心をもたない。それは、悪い事をしないことよりも難しい。

志仁無悪...憎む心をもたない。それは、悪い事をしないことよりも難しい。

「子曰(のたま)わく、苟(いやし)くも仁(じん)に志(こころざ)せば、惡(にく)むこと無きなり。」
(里仁第四・仮名論語三八頁)
「かりそめにも仁に志したならば、人を嫌ったり、人を拒んだりすることはない。」

この章句を「苟(まこと)に仁に志せば、惡(あく)無きなり」と読み下すのが、一般的である。

真に仁を志したならば、過ちを犯すことがあっても、悪事をはたらくことはない、と言う解釈である。

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不教民戦...「充分に教育もしてない民を戦わせるのは、それこそ民をすてるというものだ」

不教民戦...「充分に教育もしてない民を戦わせるのは、それこそ民をすてるというものだ」

子曰(のたま)わく、敎(おし)えざるの民を以(もっ)て戰う、是(こ)れ之(これ)を棄(す)つと謂(い)う。
(子路第十三、仮名論語一九九・二〇〇頁)
先師(孔子)が言われた。
「充分に教育もしてない民を戦わせるのは、それこそ民をすてるというものだ」

気に入った一枚の写真がある。
漆黒の闇に青と白が斑(まだら)なす小さな地球と微かな月が浮かんでいる。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「は

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百物生焉...「天は何を言うだろうか」

百物生焉...「天は何を言うだろうか」

子曰(のたま)わく、天何をか言うや、四時行われ百物生ず、天何をか言うや。
(陽貨第十七、仮名論語二七三頁)
先師(孔子)が言われた。
「天は何を言うだろうか。春夏秋冬の四季はめぐっているし、万物は自ら生長しているではないか。天は何を言うだろうか。」

歳を重ねると、天の運行の律動(リズム)に近くなるように感じる。

太陽が昇ろうとすると目が覚め
沈もうとするとお腹が空き
満ちると眠くなる。

若き

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現代的論語3 人からの評価のためにではなく自分のために努力する

現代的論語3 人からの評価のためにではなく自分のために努力する

学んだり、働いたり、得意なことを頑張ったり…
誰しもエネルギーを注げる何かを持っているはずです。
趣味でも、特技でも、SNSで発信することでも。

それらを頑張る目的は、自分を高めたい、成長したい、得意分野を極めたいなど、自己を磨こうという思いが根っこにあるはず。

あくまで自分磨き。
自分の成長のため。

人に自慢するために、人から褒められるために頑張るものではないはず。

確かに人間には承認欲

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