- 運営しているクリエイター
#文月悠光
人生を「逆算」しないーー29歳と30歳のはざまで
クラウドメモに日記をつけはじめたのは一年前のこと。日々の出来事を記録するためだったが、次第にコロナ禍の「見えない不安」が日常を侵食しはじめた。昨年四月の緊急事態宣言以降も、私は日記を書くことを止めなかった。頭に浮かんだのは、二〇一一年春の震災直後の東京。当時の私は大学進学で上京したばかり。余震と放射能漏れに怯えた日々を克明に記録できたなら、貴重な読みものになったに違いない。災禍に呆然として過ごし
もっとみる神様の存在を信じたくなるとき――イ・ラン『神様ごっこ』について *追記あり
*2016年11月に執筆したエッセイです。
黒い服を着た女性の端正な横顔の写真。ふしぎな表紙の本、と思って手に取ると、アルバムだった。歌のCDと、エッセイが収められているらしい。『神様ごっこ』? その場で試聴した歌に妙に惹かれた。柔らかな抑揚で結ばれていく韓国語の歌声が、秋の始まりにぴったりだと思った。
夜、家で彼女の歌を聴きながら、付属冊子のエッセイを読み始めた。作者のイ・ランは一九八六
寝言に耳をかたむけて
(*1回目の緊急事態宣言解除が発表された、2020年5月24日に執筆したエッセイです)
今年、母校の大学は入学式の中止を発表した。当然のことのように受け流そうとしたけれど、この春上京した学生の心境が気がかりだ。十年前、二〇一〇年入学予定の私たちは、mixiで知り合い、入学式の朝に校門で待ち合わせた。それっきりの繋がりだった。今年の新入生もZOOMの画面越しに挨拶をして、やはり「それっきり」なの
不安との付き合い方を考える
二月某日、町のドラッグストアの前を通りかかると、入荷のトラックの横に客が並びはじめた。行列は瞬く間に隣の二店舗まで侵食していく。見慣れない光景に動揺しながら駅に向かえば、改札手前で力尽きたのか、大量の荷物をおろしてへたりこむ女子高生の集団に遭遇。突然の休校に、まだ呆然としているようだ。箱ティッシュを手に提げて電車に乗る学生たちの姿も目撃した。
新型コロナウィルス流行の影響で、紙製品や一部食料
自分自身の声を取り戻すために――『82年生まれ、キム・ジヨン』『私たちにはことばが必要だ』書評
話題沸騰の書『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)・『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』(タバブックス)の書評を、週刊読書人2月22日号に執筆しました。
https://dokushojin.com/article.html?i=5061
緻密なエピソードが魅力のフェミニズム小説、かたや熱い文体で繰り出される啓蒙の書。どちらも韓国発の話題の書です。
ウェブで全文読めますので、
【完全版】ミスiD2014詩集
私は今まで、若さによって少なからず優遇されてきた。でも、それは絶えず「年齢」と「賞」の皮を被って歩かされるということ。詩人なのに、たくさんの言葉を持っているはずなのに…
https://cakes.mu/posts/17565
「自分の存在で救われる人がいるかもしれない」ってどうして夢見ちゃいけないんだろう? 一度くらいは夢見たことあるでしょう? 忘れたような顔しないでほしい。
https:/
「オールナイトニッポン」オーディションに挑戦する理由
【告知】オールナイトニッポンのオーディションに、劇作家の綾門優季さんと挑戦します!!https://live.line.me/channels/180209/broadcast/923113
◆お願い:動画の視聴数、ハートを押された数が選考対象です🙇再生中ハートは無制限に押せるので、連打するしかないね!!😇
▶︎動画はコチラ
https://live.line.me/channels/180
認めなければ、はじまらない ―2016年の終わりに
おかげさまで、2016年は2冊新刊を出すことができました。
初めてのエッセイ集『洗礼ダイアリー』と、3年ぶりの新詩集『わたしたちの猫』。どちらも、これまでの人生25年間に感じ取ったことを総括するような、大切な1冊となりました。
力を尽くしてくださったポプラ社、ナナロク社の編集者の方、
そして読者の皆さんの存在なしには、出来上がらなかった本です。
11月に入ったとき「やっとここまで来た…」と、布団
【連載・番外編】八百屋でお料理大作戦!
cakesで連載中の〈臆病な詩人、街へ出る。〉第4回「八百屋で試される勇気」で端折った番外編を、写真と共にお届けします。
第4回の無料公開は3/3(木)までです。ぜひセットでご覧ください。
https://cakes.mu/posts/12333
----------------------------------
初めての八百屋から帰宅した私は、購入した野菜をチェック。一人暮らしのワンル