掌編「おにぎり」

掌編「おにぎり」

「おにぎりなら、食べられそう」  弱々しくベッドへ横になったままそう答えると、分かったと云って台所へ引き返した。階段を降りて行く足音聞きながら、いつもの何倍も、何十倍も優しさが沁みて来て、目頭が熱くなった。多分、全部、熱の所為だから。  迂闊だった。すっかり秋も深まって、夜眠る前には窓を閉めておかなくちゃ駄目だったのに、昼間は夏の余韻がまだあるからと油断して、部屋の窓を全開にしたまま眠ってしまった。それでもせめて掛け布団が在れば良かったんだけど、生憎とこちらもまだ夏仕様でタ

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無駄なこと

無駄なこと

嫌なことがあると、やけに眠たくなったりしませんか? 文花はここのところ、めっちゃ寝ます。 夜はなかなか眠れませんが、昼寝を沢山…………。 うとうとしながら勉強しています。 頭に入っているのかどうかは分かりません。 勉強した気になっているだけ、だったらどうしよう。 一番無駄なことです。と、姉が申しておりました。 文花は、それで心が守られるなら、あながち無駄ではないのではないかと思うのですが。 合格を目指しているので、頭に入っていて欲しいです。 もうすぐ休みが明

*過去詩Ⅲ
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*過去詩Ⅲ

不自由が手遅れになって 皮肉で囲われる無の罪過 解釈の違いは異物だけ生み出す 嫌な影響を及ぼした境界線 滅んで見失う望みにも放れ 悲鳴なんてモノも届かない価値 無意味に追い討ちが迫り来る 五月蠅い誤魔化しを訊く大損 そういう存在なんだと多数の声 食締る愚考でも正論扱い 自由が遠回りする道化 空っぽの理性主義は雑に汚した 「 欠点 」 死饑′ / 2020.11,

いまから未来の話をしようと思う

いまから未来の話をしようと思う

「今日死んでもいいように生きろというのは未来への希望がない状態だと思う」 先輩とご飯を食べていたら、先輩が急にそう言いだした。 「どういうことですか」

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「よりみち」第五話

「よりみち」第五話

※長編小説「よりみち」を読みやすいように再編集しました。内容は変わっておりません。お楽しみ頂ければ幸いです。   いち      五  築三十二年、ワンルーム、四階。洋間で八帖。ユニットバスだがキッチンスペースにはガスコンロがある。駅まで徒歩十分。南向きで日当たり良好ときて、風通しも良いという。おまけに近所にスーパーがあるらしい。敷金礼金無し。これで家賃は管理費込みで四万円。

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寒いこと

寒いこと

あっという間に寒くなりましたね。 秋用の上着を出してまだ間もないですが、冬用を出さないと。 秋はどこへ行ってしまったのか。 文花は寒さに弱いので、春が待ち遠しいです。 でも早く時間が過ぎてしまうと、早く試験の日がくるのですよね…………。 実は…………今日も勉強が進んでいません。 これから頑張ります。多分。 不安だなぁ。 じゃあ勉強しろよ。 仰る通りで。

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そりゃ二度見もしますって。

そりゃ二度見もしますって。

基本文章を書く仕事をしていますが、場合によっては取材に行くこともある。最近は、自粛という風潮もあったので、ほとんどなかったのだけれど、この間久々に取材予定が入った。 とは言っても、対象は社内の人間。内部の取材。なので、気は楽。 外出に同行し、その様子をパチリ、パチリとカメラにおさめる。思えば、一眼レフを使用するのも久々な気がする。 自分自身も持っているけれど、お出かけしていないからほとんど撮影してないしね。宝の持ち腐れ。 人が行き交う道、極力通行人の邪魔にならないような

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週末に書いていたお話につける「表紙画像」的な画像もできました。
……今週中に、各所(なろうとか、カクヨムとか、エブリスタとか)にアップしていきます。お楽しみに。

週末に書いていたお話につける「表紙画像」的な画像もできました。 ……今週中に、各所(なろうとか、カクヨムとか、エブリスタとか)にアップしていきます。お楽しみに。

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*過去詩Ⅱ
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*過去詩Ⅱ

報われない欠片 願望が傍に居候 嫌いと嘆く生命 過る不必要な翳 会話は蹲る私情 悔いで見た残響 それは得て情緒 衝動から可能性 高まり出した聲 立ち上がり一歩 ただひたすらに 「 中心 」 死饑′ / 2020.11,

短編「ワンダフル・パンプキン・ナイト」

短編「ワンダフル・パンプキン・ナイト」

 今宵の夜空はオレンジ色  あの子の好きなキャンディ色  チョコチップばらまいて、弾けて、溶け合って  さあ、宴のはじまりさ    パンプキン・ナイト パンプキン・ナイト  くすぐっちゃうよ  歌が聞こえる。またあの歌が聞こえて来た。  静かな暗い夜である。闇の使いはうたた寝中、宵の番人も首埋めて黙然と宙をなぞっている。触れる壁は全て冷たく、どちらを向こうにも光は無い。すっかり冷たい二つの耳に、それでも毎夜、歌が届けられている。心地好い音色だった。だからもう、只眠りながらあ

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