秋ノ宮 陽菜

はじめまして。秋ノ宮 陽菜(ひな)と言います。 物語をつづるのが好きで、ずっと書き溜め…

秋ノ宮 陽菜

はじめまして。秋ノ宮 陽菜(ひな)と言います。 物語をつづるのが好きで、ずっと書き溜めてきました。ひとの温かさ、優しさ、笑い、風変りなひと、古めかしい時代、人生の残酷さや痛みまでも、描き出せるようになれればと願っています。エッセイも書きます。どうぞよろしくお願いします。

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  • 六花と父ちゃんの生きる道

    長編連載小説『六花と父ちゃんの生きる道』を集録しています。

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執筆の裏事情(自己紹介にかえて)

 小説を書き始めるようになったきっかけは、もう16年も前のはなしだ。ひとに言われたのだ。 「小説でも書いてみたらいいのに。」と。  彼は軽い気持ちで言ってみただけだったのかもしれない。SNSに載せた文章がおもしろいから、と。  けれど私にとっては、真っ暗な世界のなかに、一条の光が差したも同じだったのだ。当時の生活は、八方ふさがりで、逃げ道がまったくみつけられていなかったのだから。  寝る間も食事もめんどうなほどにのめり込んで、書き上げた最初の10作の長編小説は、一部のひ

    • 【長編小説】六花と父ちゃんの生きる道 第七話 憧れのお店、そして祈り

       エコバッグは使ってしまっていたから、三円払ってビニール袋を買った。  変な世の中だ。コロナ撲滅キャンペーンが下火になったと思ったら、CO2削減ごっこが始まった。  地球の温暖化については、いろいろ思うところがあって、六花なりに本を読んでいたりして、プラスチックを減らすことに効果があるかどうかについては懐疑的。  地球と太陽とのお付き合いはものすごく長くて、その間、太陽は常に一定のぬくもりをもたらしてくれたわけではない。  氷河期や弱氷河期のように寒いときも幾度もあっ

      • 【長編小説】六花と父ちゃんの生きる道 第六話 六花のともだち

         そのひとは六花のかごを取り上げて下に置き、両手を両手で包んできた。あまりにも真剣なおばさんの表情に、六花はとてもびっくりして固まってしまう。 「どうしたの! いままで、どうしてたの? うちの哲司が『六花ちゃんが学校に来てない』って言うから、心配してたのよ? ちゃんと食べてるの? 少し痩せたんじゃない? お父さんはどうしてるの?」  矢継ぎ早の質問に、どう答えたらいいか困惑していると、 「つらいだろうけど、みんな心配してるのよ? 学校に行くのが怖いんでしょう? みんなの

        • 【長編小説】六花と父ちゃんの生きる道 第五話 卵ってなに?

          第一話 第二話 第三話 第四話  六花は向かいの卵売り場に向かう。卵十個パック、六個パック、四個パック。どれにしようか迷う。お得さで言ったらもちろん十個だけど、とても食べきれるとは思えない。六個か、四個か。間を取って、六個にしようか。そう思って、かごに入れた。  幼い頃、卵のなかには命が入っているのだと思っていた。置いておくと産まれるのだと。でも、ほとんどの卵のなかに、命は入っていない。鶏が産み落とした、タンパク質でできた、なにか。 「変じゃない? タンパク質でできたな

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        記事

          【更年期障害】トイレ籠城6時間

          ※女性の更年期障害について書いています。興味のない方、こういうはなしが苦手な方は、華麗にスルーを。  私は乳がんの再発予防治療をしています。注射は三か月に一回(保険ききません。1回1万4000円くらい)、くすりも毎日飲んでいます。  乳がんの治療をしていると、子宮がんになるリスクが上がるらしく、婦人科検診も定期的に受けています。  女性ホルモンを減らすための治療なので、同世代の女性よりも更年期は早いみたいです。同世代の友人たちと、悩みを共有しあえればよかったかもしれない

          【更年期障害】トイレ籠城6時間

          昨日、六花ちゃんの連載を落としてしまいました。フィジカル、メンタルともに厳しい状態で、やらなくてはいけないこともいろいろあって。申し訳なかったです。金曜日は、連載あります。そして、なかなか読みにいけなくなっていること、重ね重ね、お詫び申し上げます。

          昨日、六花ちゃんの連載を落としてしまいました。フィジカル、メンタルともに厳しい状態で、やらなくてはいけないこともいろいろあって。申し訳なかったです。金曜日は、連載あります。そして、なかなか読みにいけなくなっていること、重ね重ね、お詫び申し上げます。

          【長編小説】六花と父ちゃんの生きる道 第四話 ついてないときに食べるもの 

          第一話 第二話 第三話  アーケードのなかに入ると、右手の二軒目がお花屋さんだった。店頭に、色とりどりの可愛らしいミニブーケがたくさん飾られている。  この店は、あとで寄ろう、と六花は思った。  左手のスーパーを素通りして、六花は右五軒目の写真店に入った。 「写真紙、ありますか?」  店のおばさんに六花が声を掛けると、おばさんは一瞬はっとしたけど、すぐに笑顔に返って 「もちろんありますよ。サイズは? どのくらい?」  と訊いた。 「遺影の大きさくらいです。」

          【長編小説】六花と父ちゃんの生きる道 第四話 ついてないときに食べるもの 

          【長編小説】六花と父ちゃんの生きる道 第三話 動き出した運命

          第一話 第二話  さて。買い物に出た六花は、徒歩三分の場所にあるコンビニに向かう。  もう少し歩けば、賑やかな商店街があるから、そこで材料を買って料理を作ることもできるけど、そこには行きたくなかった。  家々の庭から、キンモクセイの香りがほのかに漂ってきた。ああ、もうそんな季節なんだと六花は思う。  一番強く漂っている家の傍で、六花は立ち止まってしまう。なんだか、包まれているみたい。  甘く、優しく、媚薬の入ったような魅惑的な香りに、包まれている。  こんな香り

          【長編小説】六花と父ちゃんの生きる道 第三話 動き出した運命

          【お知らせ】秋ノ宮、連載、火・金にするってよ。

           お久しぶりです。ご無沙汰しております。  なかなか訪問にいけない身で申し訳ないのですが、  『六花と父ちゃんの生きる道』の連載を、火曜と金曜の週二回にしたい と思っております。  理由はとてもじゃないけど、年内に終わらない、からです。  現在、とても体調が悪く、病院の予定も立て込んでおり、更年期障害は 夏もつらいが秋もつらい、と実感する日々です。  暑くなったり、寒くなったり、嬉しいくらい忙しい。  加えて、わけのわからない不安感にさいなまれる日々。  こんな

          【お知らせ】秋ノ宮、連載、火・金にするってよ。

          【長編小説】六花と父ちゃんの生きる道 第二話

           六花のお母さんは、前触れもなくいきなり死んだ。  買い物帰りに横断歩道を渡っていたら、左折してきたトラックが突っ込んできた。トラックは曲がるくせにスピードも落としておらず、前もろくに見ていなかった。  即死。百パーセント、相手が悪い。  知らせを聞いた六花と父ちゃんが病院に駆けつけると、お母さんはすでに霊安室にいた。 「念のため、本人確認してください。」  と言われて、手を震わせていた父ちゃんが立ち上がる。六花も続こうとしたら 「ご遺体の損傷が激しいから、あなたは

          【長編小説】六花と父ちゃんの生きる道 第二話

          【短編小説】蜜柑

           晃一は世田谷という街が好きだ。  学芸大学駅から徒歩5分のロフト付きのアパルトマンに住んでもう7年。 すっかり四国弁も抜けて、生まれたときから世田谷に住んでいるように馴染んでいる。  不思議な街だ、世田谷は。  いわゆる都会的喧噪など一切なく、鳩たちのくるっぽーという鳴き声で目が覚める落ち着いた街、背の高い建物が視界を遮ることもない。  商店街はセンスのいい店と居心地のいい人情味のある店が並び、どちらもとても活気がある。  静かで居心地のいい、おしゃれな住宅地。そ

          【短編小説】蜜柑

          今夜は長編を書く。書きたい。一番のクライマックスに差し掛かるので、調子の良いときじゃないと手を付けたくなかったのです。がんばります!

          今夜は長編を書く。書きたい。一番のクライマックスに差し掛かるので、調子の良いときじゃないと手を付けたくなかったのです。がんばります!

          【長編小説】六花と父ちゃんの生きる道 第一話

           お母さんの四十九日から、五日が過ぎた。故人を悼む法要は、前倒しでやるものらしいから、正確には、お母さんが亡くなって四十五日め。ここから一周忌までは、イベントがないので、ちょっとほっとしてる。  もっとも、亡くなった理由がちょっと特殊だから、面倒なこと、いろいろあるんだろうな。私はまだ小学生だから、父ちゃんがちゃんとしてくれないと困るんだけどな。困るんだけど……ちょっと無理っぽい……。 六年生の白鷺六花は、そんなことを思っている。 六花はあれ以来、学校に行ってない。父ち

          【長編小説】六花と父ちゃんの生きる道 第一話

          【お知らせ】秋ノ宮、のんびりするってよ。

           こんにちは。  私的には、かなり久しぶりのnoteという感じがします。  9月初めの新聞に「夏はまだ終わってない」という大見出しが出たのだとか、ラジオで聴きました。  まだまだ残暑厳しい予報なのだとか。納得の気温ですね。  でも気温はどうあれ、私としては、夏終わりましたね。  秋を舞台にした小説は、たくさんストックがあるものの、来年だって再来年だって、秋は来るしなあ、と思ったり。  力量のない過去作がいつまでも通用するわけがない、と思ったり。  3年、4年と続けてき

          【お知らせ】秋ノ宮、のんびりするってよ。

          【短編小説】天空レストランの紳士(3/3)

           美味しいものを、一流のお店で奢ってもらったはずなのに、いまいち気分の弾まない帰り道だった。男だったんだ、このひとも。そう思ったら、やりきれなさでいっぱいだった。  九州の夜を想像したら、ぞっとして鳥肌が立った。明日香は車のなかで、自分の身体を抱きしめていた。  さっきと同じ歌手の曲が流れる。くたびれた。早く帰りたい。  先ほどと同じ楓の街路樹の下で、渡良瀬取締役は車を停めた。 「これ、プレゼントしようと思って。」  取締役は、МDを車から取り出した。 「最近、注目してる

          【短編小説】天空レストランの紳士(3/3)

          【短編小説】天空レストランの紳士(2/3)

           連れて行かれたのは、街で一番高いビル。夜景の見える最上階の、眺望レストランだった。  エレベーターを降りると、白い布を掛けた左手を、直角に曲げたウエイターが待っていた。明らかにこれは高い店だ。お金持ちだね。偉いひとだもんね。  ウエイターに椅子を引いてもらって席につく。真っ白な内装、白い布を掛けた広めのテーブル。中華の店のようだ、となんとなく感じた。 「適当に頼んでいいかな。」  取締役の質問に、はい、と答える。彼はウエイターに、次々料理を注文していった。 「お酒は

          【短編小説】天空レストランの紳士(2/3)