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企画とプロダクトの「魂(SPIRITS)」

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工業的・商業的な「製品」と、芸術的・美術工芸的な「作品」、どちらも英語では“product”。故に両者を総称して「プロダクト」と呼ぶが、優れたプロダクトを生むには説得力のある「企…
運営しているクリエイター

記事一覧

制作と作品とコミュニケーション

制作と作品とコミュニケーション

あんたは原作改変ってキーワードにどんな感情を持っている?

セクシー田中さんの悲劇以来、原作改変への風当たりは強くなっていったじゃんか。
ところが、実態としてはきっちり原作を踏まえた上でアニメなら「アニオリ」って感じで表現が追加されていたり、ドラマや映画でも「改変」は続いている。

俺としてはこの「改変」が続いていることそのものは自然な流れだと感じているんだよね。

何しろ、そこにクリエイターがい

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[見つけられる?]これからのオモロイ[誰かのために]

[見つけられる?]これからのオモロイ[誰かのために]

あんたは何か新しいマンガを読み始めたりしているかい?

マンガ雑誌を買わなくなってからこっち、新しいマンガ作品に出会うチャンスがめっきり減っちまってさ。
たま~になんかのおすすめ記事を見て読み始めたりすることはあるんだけれど、めちゃくちゃ珍しいパターンなんだよな。

そんな中で、たまたま目に入ったマンガがあったんだ。

ジャンプ+の作品なので、誰でも全話無料で読めるからよかったら読んでみてほしいん

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ゲーム開発で仕様書作成の能力に差が出る原因

ゲーム開発で仕様書作成の能力に差が出る原因

【この記事の対象者】

ゲーム開発者

ゲーム開発に興味がある人

【この記事で学べること】

悪い仕様書がなぜ生まれるのか

はじめにゲームプランナーの求人に応募する際、ゲーム会社によっては、企画書の提出を求められます。

企画書は、主にクライアントや会社の上層部に対して提出・プレゼンし、プロジェクトをスタートさせるために必要となる資料です。また、ゲーム全体のビジョンをプロジェクト参加者のメンバ

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ありふれた体験がもたらすイノベーション:ポカリスエットの開発

ありふれた体験がもたらすイノベーション:ポカリスエットの開発

前回の記事では、栗林隆氏の《元気炉》を例に、身体性(体験)に基づくアート思考により、美術館賞に革命をもたらしたことを紹介しました。イノベーションの創出においても、身体性、すなわち直接的な体験が果たす役割は極めて重要です。本稿では、大塚製薬の「ポカリスエット」の開発事例を中心に、体験からの発見がいかにイノベーションを促進するか、そして身体性を磨く秘訣について考察します。

ポカリスエット:新たなカテ

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コンセプトを押し出すと消費期限が早まる。

コンセプトを押し出すと消費期限が早まる。

電通時代の同僚が本を出した。

テーマは「コンセプト」について。

誰もが知っている言葉だけど、改めて聞かれると説明しにくいコンセプトという概念。それがわかりやすく解説されていた。

私も思う。何をやるにもコンセプトは大事だ。

でも「コンセプトを対外的に押し出す必要があるか」と問われると疑問が残る。それは自分自身の少しだけ苦い経験から来ている。

今日はそんな話。

◾️飲食店とコンセプト半分業

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【図解1910】「エアークローゼット」のビジネスモデル(実在企業のビジネスモデル5)

【図解1910】「エアークローゼット」のビジネスモデル(実在企業のビジネスモデル5)

「妄想ビジネスモデル」シリーズでビジネスモデルを図解して思考実験(妄想)する傍ら、引き出しを増やすために実在する企業のビジネスモデルも図解しています。

せっかくなので、こちらもカタログ的にご紹介していこうと思います。「世の中には色々なビジネスモデルがあるんだな~」程度に、軽い気持ちで眺めていただければ幸いです。

なお、今回からビジネスモデルの表記法を一部変更し、かつ一度に一社の紹介としています

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コンテンツ飽和時代、人生を着実に退屈にする「効率重視のパラドックス」を乗り越えるためのたったひとつの冴えたやりかた。

コンテンツ飽和時代、人生を着実に退屈にする「効率重視のパラドックス」を乗り越えるためのたったひとつの冴えたやりかた。

 初めに、いまから200年ほど時をさかのぼって、その時代の天才詩人ゲーテの代表作『ファウスト』を見てみよう。
 この疾風怒濤の一大悲劇の主人公ファウスト博士は、万巻の書を読み尽くし、いくつもの学問を究め、その結果、「何もわからないことに気づいた」人物である。
 かれはその後、悪魔メフィストフェレスをともなって現実世界で快楽や権力を追求することになるのだが、それはともかく、今日の視点でこの『ファウス

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デザインを飛躍させるためのコンセプトメイキング

デザインを飛躍させるためのコンセプトメイキング

デザイン前の言語化デザインの現場ではよく、「言語化」の重要性が語られます。
エルでもことばをとても大切にしており、デザインの前に「ことばづくり」の過程を設けています。ことばづくりとは、コンセプトメイキングのこと。つまり、「方向性をことばで定義する」ことです。

コンセプトメイキングをするうえで気をつけているのが、表現の可能性を狭めないこと。

「定義」というと、削ぎ落としたり絞り込んだりするイメー

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現代においてクリエイトしないクリエイターはクリエイターではない

今日こんなツイートを見かけました。

あずきさん的には結論として「いいからX(旧Twitter)なんてやってないで書け、送れ、発表しろ」と言いたいですね。

これだけ言って終わりなんですけど、今日は少し深掘りして「なぜ今日日こんなにクリエイトしないクリエイターが増えた」のかと言う話をしていきたいと思います。

プロとアマチュアの露出機会の差が縮まった最近ネットで何でも作品を発表できる世の中になり、

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【補論】女性ウケコンテンツを考える

【補論】女性ウケコンテンツを考える

この記事を書いた後で、思い出したことがあるので補論として。

美少女を描く動機がエロではなく幼児退行である?異性に興味がなくなるという意味で「幼児退行」なのか、ニュアンスが分かりかねるところではあるのだが、そこはこげどんぼ*女史の主張が補助線になる。

これが「幼児退行」の含意なのか。

こういう構造だけならマンガだと1950年代、アニメだと1960年代からの蓄積もある。

既に3世代分回転した現

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こだわり=付加価値の法則を捨てたあとに残るもの

こだわり=付加価値の法則を捨てたあとに残るもの

「オーガニックコットンを使用しています」
「環境負荷が少ない発送方法を採用しています」
「無農薬無肥料栽培で安心安全です」

ものが溢れる現代、お客様に選んで頂けるようにどのメーカーも芯を持って、こだわり抜いた商品を発表しておられます。

多くの買い物は気分で判断する。ご自身の食べるもの、身に纏うもの、暮らす環境ひとつひとつに目を光らせ、背景を理解した上で購入される方は多くいらっしゃいます。
その

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「コンセプト」とは何か、分かりやすく説明してみる。(売れなかった & 売れた商品事例を元に)

「コンセプト」とは何か、分かりやすく説明してみる。(売れなかった & 売れた商品事例を元に)

はじめにこの記事は、関係者に配慮しながら、できるだけ丁寧に、誠実に書いていきたいと思います。

この記事には、自社商品の売れなかった事例が赤裸々に登場します。売れなかったものを「売れなかった」と言うのは、タブーなのかもしれません。商品や事業は、たくさんの人の力で完成します。一生懸命作った人も、売ってくれた流通の方も、投資してくれた人も、そして、それにお金を払って使ってくれたお客様もいます。

だか

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関係がこじれた実家に、遠隔で鳴かせる「鳩時計」を設置したら起こった、想像以上のできごと。

関係がこじれた実家に、遠隔で鳴かせる「鳩時計」を設置したら起こった、想像以上のできごと。

人生でただ一つ、何十年も悩んできたことがあります。

10代のある時から、親と上手く話せなくなりました。

僕の親は僕がやることに次々ダメ出しして怒るタイプで、小さい頃はそれを疑問に思わずただ受け入れて泣いていましたが、10代後半に疑問に思い始めました。「俺って、何か間違ってるのか? そんなに悪いのか?」

僕に悪かったことがあるとすれば、口答えをしなかったことです。何度か逆ギレしたことはありまし

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「動く」全体戦略の構築──『プランニングの基本』から【9】

「動く」全体戦略の構築──『プランニングの基本』から【9】

『この1冊ですべてわかる プランニングの基本』(高橋宣行著)一部公開第9回、最終回は「相手を動かす仕組みをどうつくるか」について。
「あの人」を攻略するために、何を、どうすると振り向いてくれるのか。買い続けてくれるのか。大切なのは相手の顔が浮かんでいるかどうかです。

「第3章 プランニングの工程──創造的プランナーの段取りとコツ」より

「コンセプト」「コア・アイディア」を核に戦略化あらゆるモノ

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