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【ABA】応用行動分析を日常生活で使ってみよう

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認定行動分析士(BCBA)の著者が、ABA理論を日々の生活の中で役立てる方法やABAを使って問題を解決する方法を紹介します。
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記事一覧

【切り替え2】切り替え活動で子供が育つ

【切り替え2】切り替え活動で子供が育つ

子供にとって、楽しい遊びをやめて、別の活動を始めるように言われるのは辛いものです。特に、大好きな活動から、嫌いな活動に移るように言われた場合は特にそうです!

子供に「また今度遊ぼうね」と安心させても、通常はあまり役に立ちません。子供達にとって、午前中ずっと遊んでいたおもちゃや場所を離れることは、大好きなあなたと離れるのと同じくらい涙を誘うことなのです。

では、どうすれば子ども(そしてあなた自身

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子どものかんしゃくに隠れた原因を解明: 感覚処理の問題

子どものかんしゃくに隠れた原因を解明: 感覚処理の問題

はじめに

感覚処理の問題とは?感覚処理とは、脳が視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、運動などの感覚刺激を理解し、反応する複雑なメカニズムのことです。感覚処理の問題は、感覚処理障害(SPD)とも呼ばれ、感覚を処理するプロセスがうまく働かない時に起こります。要するに、子どもの感覚処理システムが特定の刺激に過敏になったり、他の刺激には鈍感になったりするのです。

五感+二感
通常、感覚処理には7つの主要な感

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新生児の感覚発達:応用行動分析学(ABA)からの洞察

新生児の感覚発達:応用行動分析学(ABA)からの洞察

この記事の概要応用行動分析学(ABA)のレンズを通して、新生児が生得的な感覚をどのように活用し、環境や保育者とどのように相互作用しているのか、その複雑なメカニズムを掘り下げていきます。正の強化と負の強化がどのように赤ちゃんの反応を導くかを探り、親子の愛着の基礎を形成する強化子と古典的条件付けについて論じます。さらに、感覚処理の問題を抱えた子供を育てる時に直面する課題について論じ、早期介入と支援の必

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幼児の切り替えをスムーズにする9つの戦略

幼児の切り替えをスムーズにする9つの戦略

子育ては、楽しくも困難な旅になることがあります。よくある課題のひとつに、切り替え(幼い子供がある活動から別の活動に移る時)の難しさがあります。移動中に意地の張り合いになったことがあるのは、あなただけではありません。

このブログでは、幼児の切り替えをよりスムーズで楽しいものにするための、9つの戦略をご紹介します。一貫した日課の確立から、遊びをベースにした片付けのテクニックまで、どの方法もイライラを

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幼児のかんしゃくを抑える選択肢の力:Part 3

幼児のかんしゃくを抑える選択肢の力:Part 3

子育ては素晴らしい挑戦ですが、難しいこともたくさんあります。中でも、幼児のかんしゃくは保護者を圧倒し、イライラさせるものです。前回のブログでは、こうした感情の爆発に対処するための手法として、子供の気持ちを受け入れて代弁する方法とその大切さについてお話しました。かんしゃくを抑えることだけにフォーカスした大人都合の戦略でなく、子供の自信を育み、保護者との関係を深める素晴らしい育児法です。
今回は「子供

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子供の発達障害急増の謎〜Part1:10年間で倍増、その背後に潜む理由とは?

子供の発達障害急増の謎〜Part1:10年間で倍増、その背後に潜む理由とは?


文部科学省の調査で明らかになった発達障害の急増
子供の数が減る一方で、発達障害の子供は増え続けています。

前回の調査は10年前に行われ、その時の割合は6.5%でした。調査方法の一部に変更があったとはいえ、10年間でこれほど急激に増加するのは異例。このような状況の中、学校で何が起きているのか、多くの関係者が疑問を抱いています。

本当に発達障害児が急増しているのか?1. 発達障害そのものの増加を

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おとなしすぎる子どもの心の中は?選択性緘黙症の世界

おとなしすぎる子どもの心の中は?選択性緘黙症の世界

要約

選択性(場面)緘黙とは?選択性緘黙症は、特定の状況で話すことができない小児期の不安障害です。子供の1%未満の罹患率であり、通常2歳から5歳の間に始まります。
例えば、家では楽に話すことができても、学校では黙っていることがあります。

緘黙症からの回復多くの場合、数年のうちに回復し、学校では話せなかった子供が、やがて克服して普通に話せるようになることもあります。

選択性緘黙は不安障害選択性

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【切り替え1】なんで次の活動に切り替えられないの? 理論編

【切り替え1】なんで次の活動に切り替えられないの? 理論編

人間は環境の変化を嫌うもの人間は習慣の生き物です。
子供であろうが、障害があろうがなかろうが、私たちは日常生活のルーティンや環境の変化に対して抵抗を感じることがあります。

例えば、新しい仕事や学校に慣れるまで時間がかかります。また、面白いゲームやビデオを見ている途中に、仕事や勉強に戻らなければならないのも辛いことです。

切り替えが難しい理由3選このように次の活動への切り替えが難しい主要な理由は

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なんでも口に入れる子ども

なんでも口に入れる子ども

なぜ赤ちゃんは、なんでも口に入れるの?

赤ちゃんが何でも口に入れるのは、世界を探索するための発達過程の一部です。赤ちゃんの口は非常に敏感で、目や手に比べてより多くの感覚情報を集めることができるのです。

生後4~6ヵ月:ものをつかんで、口に運べるようになる

生後4~6ヵ月ごろになると、手の協調運動と筋力が発達し、手で物をつかんで口に運び、探索することができるようになります。この行動によって、赤

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遊びが子供の学校での成功を助ける!5つの方法

遊びが子供の学校での成功を助ける!5つの方法

私はこのブログで、子どもにとっての遊びの重要性を繰り返し強調してきました。

今回も「子ども時代の自由な遊び」が、「学校や人生での成功や幸福につながる」という事実を裏付ける5つの研究に基づいた情報を提供します。

遊びは、活動的な身体を作るのと同じくらい、活動的な心を作ります。また、他者と一緒に遊ぶことで、発達と成長に不可欠な社会的能力を身につけることができます。

つまり、遊びは、子どもたちが将

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脳を刺激する!感覚遊び

脳を刺激する!感覚遊び

「遊んでばっかり」と聞くとどこか否定的に聞こえますが、子供の遊びは、単なる娯楽にとどまらない、教育と発達に欠かせない要素です。幼少期は、読み書きの能力、観察力、批判的思考など、その後の人生の成功に不可欠なスキルの基礎を脳が身につける重要な時期です。子どもたちは遊びの中からこれらすべてを学びます。

以前、私のブログ記事では「危険な遊び」「自然の中での自由な遊び」の利点と必要性について探ってきました

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ABAで解説:ポジティブな子育ては、子供の可能性を最大限に引き出すことができる

ABAで解説:ポジティブな子育ては、子供の可能性を最大限に引き出すことができる

子供の可能性を最大限に引き出すためには、ポジティブな子育てが不可欠です。

でも「ポジティブな子育て」と聞くと、どんな子育てを思い浮かべますか?
そもそも「ポジティブ」ってなんでしょう?

日本語のポジティブの意味「ポジティブ」は英語の「Positive」をそのままカタカナにしたものですが、すでに日本語の形容詞のように、一般的に使われています。前向きで明るい、楽観的な考え方や性格、態度を表すときに

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子供の発達と感覚処理能力の発達 part 1

子供の発達と感覚処理能力の発達 part 1

記事の概要このブログ記事の概要は、子育てに悩む保護者や保育士、幼稚園教諭に向けたもので、感覚処理能力に焦点を当てています。記事は2部に分かれ、Part 1では赤ちゃんや子供の感覚処理能力とその発達プロセスを詳しく説明し、Part 2では感覚処理の問題を持つ子供と通常の子供の行動や特徴の違いを比較し、適切なケアについて言及しています。感覚処理能力が子供の健全な発達と幸福にどれほど影響を与えるかに焦点

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子供の発達と感覚処理能力の発達 part 2

子供の発達と感覚処理能力の発達 part 2

Part 1では、子供の感覚処理能力の発達が、なぜその子の人生や幸せの質に大きく影響するのか、その理由を掘り下げました。
Part 2では、さらに具体的に、感覚処理の問題は子供の成長や生活面にどのように影響するのか、具体例をあげて解説しています。
最後に保護者や教育者向けの支援法についても触れています。

感覚処理と子供の発達の理解乳幼児期から就学前までの様々な側面を取り上げながら、子供の発達にお

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