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【切り替え1】なんで次の活動に切り替えられないの? 理論編

人間は環境の変化を嫌うもの

人間は習慣の生き物です。
子供であろうが、障害があろうがなかろうが、私たちは日常生活のルーティンや環境の変化に対して抵抗を感じることがあります。

例えば、新しい仕事や学校に慣れるまで時間がかかります。また、面白いゲームやビデオを見ている途中に、仕事や勉強に戻らなければならないのも辛いことです。

切り替えが難しい理由3選

このように次の活動への切り替えが難しい主要な理由は3つあります。
1. 「好きなこと」から「やらなければならないこと」に移行するのが辛い
2. 新しいことをするには、今まで以上のエネルギーや努力が必要
3. 予測不能なので、怖い、不安

発達や感情に問題のある子供たちにとっての移行

特に感情や発達に問題のある子供たちは移行に苦労しやすいです。
嫌がったり、逃げたり、ゴネたり、癇癪を起こしたりするといった、親や先生にとって厄介な行動で抵抗することがあります。

なぜ子供は厄介な行動をするの?

このような反応は、
1. 子供が感情に圧倒された結果かもしれませんし、
2. 以前にそのような問題行動の結果として、移行しなくて済んだ、あるいは移行を遅らせることに成功した経験があったのかもしれません。

この場合、問題行動の結果として自分の思い通りになったので、問題行動が強化されてしまった、と考えることができます。

よくある例として、
子供が遊びをやめる時間だと言われ、子供は怒りや不満を抑えきれずにしつこくゴネ始めます。この時、親や保育士が根負けして、移行を遅らせてしまったことがあるなら、その子はまた同じことをする可能性が高くなります。

大人が子供の問題行動を知らぬ間に強化してしまう例

ABAで考えてみよう!

ABA的に言うなら、子供がしつこくゴネて反抗するのは、この子の気質のせいというよりも、むしろ私たち大人の誤った対応のせい、と言うことができます。

この事実を認めることで、私たちは、子供に対して腹が立ちにくくなります。そして、私たちは、今度は間違えた対応をしないよう心に決め、子供が良い行動を起こりやすくする対応をトライしようとします。
そのように考えて、建設的に問題を解決していきましょう。

情緒や発達に問題のある子供たちは、なぜ切り替えが難しいの?

移行期の問題の背景には、さまざまな要因があります。行動は同じでも、背景にある理由は、異なる課題を抱える子供たちによって異なることがあります。ADHD、自閉症スペクトラム、不安障害、感覚処理の問題を持つ子供たちはなぜ移行が難しいのか、見ていきましょう

ADHDの行動は「何をやりがいと感じるか」で決まる

ADHDは、脳の報酬中枢のニューロンが少ないか、それほど活発でないため、一般の子供達が「楽しい!」と感じる活動レベルでは楽しめない、楽しさが足りないことがあります。ですから、他の子供たちより、1日のうちで「楽しさ」を感じられる機会が少ないので、常に面白そうなことに飢えています。ですから、自分にとって「面白い!」と感じるものを見つけたら、それに過集中する傾向があり、1日中、面白いものを探し回るような行動をとる傾向があります。

ADHDが授業中なのに歩き回って遊んでいるように見えるのも、テレビゲームを何時間もやり続けてしまうのはそのためです。報酬の少ないこと(おもちゃを片付けるなど)をするようにいうと、抵抗するかもしれません。

またADHDの子供は、他の子供よりも感情をコントロールするのが難しい、と言われています。ADHDの場合、感情をコントロールするのに関わる脳中枢の配線が発達していないことを示す研究もあり、ADHDでない子供と比較して、より大きな感情を表に出すことになります。

自閉症は好き嫌いが極端で、予期せぬ変化が嫌い

自閉症の子どもたちにとっても、移行は同様の問題行動を伴うことがあります。そして、その反応はより極端になる傾向があります。

自閉症の子どもにとって、世界は信じられないほど混乱し、圧倒される場所なので、同じものや予測可能なものを求めることが適応的、つまり実用的なのです。活動を変えるのが嫌だというだけでなく、日常から逸脱すると、足元から引き離されたように感じてしまうのです。

自閉症スペクトラムの人々は、非常に強い関心を持ち、同じことを同じ順序で行うことを好む傾向があります。これは、彼らにとって予期せぬ変化や移行が均衡を乱す要因となるからです。

感覚処理の問題

感覚情報処理の問題は、ADHDや自閉症のような診断用語ではありませんが、どちらの障害を持つ子も、あるいは障害を持たない子も、感覚処理に問題があることがあり、それが活動を切り替える際の問題につながることがあります。

過剰な刺激を受けやすい子どもにとって、世界は混乱し、速く動きすぎているように感じられます。子どもたちは秩序を求めますので、あまりに早く物事を変化させると、抵抗や問題行動が見られるようになります。

感覚の問題を抱える子どもたちは、予期せぬ変化に圧倒された時、時に劇的なメルトダウン(感情を抑えきれずに爆発させること)を起こしやすいのです。

不安症

不安症を抱える子どもにとって、移行のトラブルは恐怖から来るものかもしれません。「未知のものに対する恐怖、あるいは新しい状況に置かれた時に何が起こるのか」という恐怖です。問題は、移行することそのものよりも、移行に関連する何らかの刺激であることがほとんどです。

特定の環境で不快な思いをしたことがある場合、その場所に移ること自体が不安の引き金になる可能性もあります。

犬が苦手な子供の場合、犬を飼っている人の家に行くように質問をされると、かんしゃくを起こしたり、怒りに任せて暴れたりすることがあります。

不安症の子ども、とりわけ強迫性障害(OCD)の子どもは、物事を完璧にこなさなければならないという強い欲求を持っています。例えば、文章を書くときに文字を完璧に書くとか、物を並べるとか、決められた順序で一連のことをするとか、そういうことができるようになる前に中断されると、非常に動揺して、不安に気づいていない大人が不思議に思うことがあります。

トランジション(乗り換え)の際に、子どもたちが尻込みしたり、怒ったりするきっかけを理解することは、子どもたちにとっても大人にとっても、より良いトランジション・マネジメントへの第一歩となります。

原因が何であれ、子供にとって移行が難しい理由を理解することは、移行を容易にするための最初のステップとなります。



Reference
https://childmind.org/article/why-do-kids-have-trouble-with-transitions/

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