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#小説
Intangible Sense.
「ねえ。触れられないものに、触れたくなるときってない?」
と、微かに滲んだ目をした君が、虚ろにこちらを向いて、そう呟く。
「わからなくもないな。」
「でしょ。」
はっきりいって、ぼくには彼女の言ったことは何も分かっていない。でも、なんとか自分の頭にある言葉の糸を、一つひとつ、絡みとってみた。
「うん。例えば、ぼくは女の子の気持ちがよく分かるし、そのままそっくりに演じることだってできる。でも
STRAY SHEEP
学校帰りに見える、暮色に包まれた空は、まるで、全人類の希望と憎悪が、一気に、わたし一人に降りかかってくるみたい。
そんな黄昏時の空は、わたしがいかに両義的で、歪な存在であることを、教えてくれているようだ。
わたしは、人の両義性を見つけるのが、、すき。
まるで赤の他人から、罵倒の声を浴びせられたみたいに、わたしの身体の奥底から"得体のしれないなにか"が、ふつふつと煮えたぎって、今にも"バケモ