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僕と鹿 (短編小説 I)
僕の父親は猟師。
小さい頃から僕はその様子を横目で見ていた。
僕の地元の長野はジビエという鹿肉の料理が有名で、僕の父の十朗は、地元の森の中にある夏の時期だけオープンする別荘客が多いレストランに鹿肉を提供している。
そのレストランのシェフとは高校の同級生で、昔は相当のやんちゃボーイだったらしいが、今となったら趣味のクラシックカーが似合わない二匹の小太りの小さなおっさんだ。
そんな父とは全く違
短いエッセイ|君の手紙と、金木犀
金木犀の香りがすると、君の手紙を思い出す。
それは春、新しい家に引越したばかりの日のこと。君から引越し祝いにプレゼントを渡したいと、電話がかかってきたのだ。私は「いいよ」と言い、君はやってきた。まだダンボールばかりの空っぽの部屋に、君と私の2人きり。
そして帰り際、君は玄関で恥ずかしそうに
「今は読まないでね」
そう言って私に手紙をさしだした。なんだか甘い香りのするそれは、白地に黄色の花の
ぐりとぐらのカステラを探しに、絵本の世界を散歩する。
本棚から取り出したる1冊の本。
絵本「ぐりとぐら」のすべて。
と銘打たれたこちらの本が、今回のお散歩のガイドブックである。
ぐりとぐらのカステラ
子どもの頃、もしくは子どもと一緒に、はたまた大人になってから、耳にしたことはないだろうか。
〝ぼくらのなまえは ぐりとぐら
このよで いちばん すきなのは
おりょうりすること たべること〟
というあの歌を。
作者の中川李枝子さんは、節をつ
絵本テキスト「パパにプレゼントする絵本」【創作大賞2024】【オールカテゴリ部門】
絵本テキスト「パパににプレゼントする絵本」
見開き15場面30P
対象:パパになる人、なった人
友人や家族の妊娠・出産祝いを贈る時、ママや赤ちゃんに対してのプレゼントの選択肢はたくさんあるのに、パパへのプレゼントの選択肢って少ないなぁと感じることが多々ありました。
パパにもお祝いしたい!
パパ向けの絵本をつくりたい!
パパだって、うまれる前からちゃんと赤ちゃんとつながってるよ!
という想いをこ
舐められない私になる。
私の性格を一言で良く言えば、優しい。
でも、悪く言えば自分の意見が弱い、人に使われる。
では、生まれつきそんな性格だったのか?
そんなことは全くない。
むしろ、小さい頃は自分の意見がしっかりしていて
周りが右と言っても自分が左なら左にいくことができていた。
それが変わったのが「中学時代」
多感な時期、みんな一度は経験あるかもしれない、友達とのトラブル
きっかけは些細なことだった。
でも、そ
能あるおじさんは爪を隠す。第1話(note創作大賞2024 お仕事小説部門)
あらすじ
「何だこれ??」
トイレから戻ってきた遠藤くんが自分の席に置いてあったメモ帳に目をやると、描いた覚えのないうんちの落書きがしてあった。
困惑しながらメモ帳を眺める遠藤くんに
「もう〜、ダメじゃん仕事中にこんな落書きなんかして〜。
まじめに仕事してよ、えんちゃん!」
遠藤くんの後ろの席からニヤニヤした大林さんがでかい声で話しかける。
どうやら犯人は大林さんのようだ。
「あ!もう〜、こ
神喰いの花嫁/序章・目次
あらすじ「この美しい神さまを食べる私は、きっと世界で一番幸せな女の子だ」
神喰いの花嫁。それは神に嫁ぎ、神の肉を食べて死ぬ少女の呼び名である。大正時代風の世界を舞台に、死と再生を繰り返す神とその花嫁に選ばれた少女が出会い結ばれる。
生まれも育ちも違う四人の花嫁が、それぞれの幸福を見つけるジャポネスク・ジャズエイジ・ファンタジー。
序章 「とある少女と食物神の話」 ある寒い森の奥深くに、人に食べ
【連載小説】「心の雛」第一話
※この小説は、創作大賞2024「ファンタジー小説部門」応募作品です。
※全二十話 39,888文字
(本文 第一話 1,183字)
「はい、本日はありがとうございました。お大事になさってください」
朗らかに笑って先生が患者様を見送っている。
ペコリと患者様が——来た時よりは幾分明るい表情で——一礼して帰って行った。玄関のドアがゆっくりと閉じ、先生と私はほっと一息つく。
「あと二回、という