山手の家【第33話】
脳のMRI画像の診断の結果、義人にも幸代と同じように初期の認知症の診断が出た。
義人は「なんで私が」と、納得がいかないらしかった。
クリニックの医師から勧められて、2人揃って要介護の認定調査を受けることになったが、調査は1ヶ月待ちだという。
義人と幸代の住む家に一旦は戻った信子も、市営住宅の申し込みを済ませたと優子経由で知らせがあった。
とにかく小川家のみんなが、この春にそれぞれの落ち着くべき場所に辿り着いて、平穏に過ごせることを瑠璃は願った。
2月の中旬を過ぎた。とうとう山