あしたば

出来事を立体的に捉えると毎日がぐっと面白くなる。

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最近の記事

能あるおじさんは爪を隠す。最終話(note創作大賞2024 お仕事小説部門)

喜多山さつき ー5年前ー 「お電話ありがとうございます。『オンライン・ライフ』カスタマーセンターの喜多山がお伺いいたします。いかがなさいましたでしょうか?」 ガヤガヤとたくさんのオペレーターたちが次から次へとやってくる電話の対応をしている。 プレイングアースに転職する前は通販会社のカスタマーセンターで働いていた。 マニュアルがしっかりあってオペレーターの人数も多く、業務引継ぎもしっかりあり、情報共有も社内ツールでしっかり管理されていた。 ミスをしないのは当たり前、お客様の

    • 能あるおじさんは爪を隠す。第4話(note創作大賞2024 お仕事小説部門)

      中島くん 「お電話ありがとうございます。プレイングアース、カスタマーセンターの中島がお受けいたします。」 ワントーン高めの笑声で受電する声が社内に響いた。 23歳の中島くんは「プレイングアース」でカスタマーセンターと居酒屋のアルバイトをかけもちして生計を立てながら、バンドでメジャーデビューを目指して活動している。 ヴォーカリストなだけあって、聞き取りやすくてさすがの発声である。 プロの世界に入れるのはほんの一握り。 さらにそこから人気バンドになるには、実力や人間力、言語化

      • 能あるおじさんは爪を隠す。第3話(note創作大賞2024 お仕事小説部門)

        24時間働けますか? そんなお酒に呑まれがちな大林さんに、カスタマーセンターの業務だけでも忙しいにもかかわらず人手不足の営業部の仕事も掛け持ちする話しが持ち上がった。 大林さんがカスタマーセンターの責任者になってからというもの、受電率アップや未払い金額の回収が大幅に進み、結果を出せる大林さんにワンマン社長が全幅の信頼を寄せてのオファーだった。 じっと座ってるよりも動いて現場に出るほうが性に合っていると自称しているほどである。二つ返事で受け入れ、掛け持ちの日々が始まった。

        • 能あるおじさんは爪を隠す。第2話(note創作大賞2024 お仕事小説部門)

          カスタマーセンターのナイショな部分 仕事を続ける上で、『ガス抜きができるかどうか』『切り替えが早いか』はかなり重要である。 メンタルを健康的に保ちながら、長く仕事を続けられるかどうかはここにかかっていると言っても過言ではない。 今一緒に働いているアルバイトの子たちはガス抜きがうまくて切り替えが早い。 特にゆりちゃんは 『クレームを1件引き当てたら、嫌な気分にはなりますけど、徳を積んだから推しのライブチケットの当たる確率が上がった!と思うようにしてます』 とマイルールを作って

        能あるおじさんは爪を隠す。最終話(note創作大賞2024 お仕事小説部門)

        • 能あるおじさんは爪を隠す。第4話(note創作大賞2024 お仕事小説部門)

        • 能あるおじさんは爪を隠す。第3話(note創作大賞2024 お仕事小説部門)

        • 能あるおじさんは爪を隠す。第2話(note創作大賞2024 お仕事小説部門)

          能あるおじさんは爪を隠す。第1話(note創作大賞2024 お仕事小説部門)

          あらすじ 「何だこれ??」 トイレから戻ってきた遠藤くんが自分の席に置いてあったメモ帳に目をやると、描いた覚えのないうんちの落書きがしてあった。 困惑しながらメモ帳を眺める遠藤くんに 「もう〜、ダメじゃん仕事中にこんな落書きなんかして〜。 まじめに仕事してよ、えんちゃん!」 遠藤くんの後ろの席からニヤニヤした大林さんがでかい声で話しかける。 どうやら犯人は大林さんのようだ。 「あ!もう〜、これ書いたの大林さんでしょ!勘弁してくださいよ〜」 「え?俺じゃないよ?濡れ衣やめ

          能あるおじさんは爪を隠す。第1話(note創作大賞2024 お仕事小説部門)

          婚活中に出会った人

          ただ今、絶賛婚活中のわたくしです。 出会いの場に行ったりアプリをやったり休んだりしながら、今は某マッチングアプリを主戦場として活動している。 そんな中、とある一人の男性からいいねがきた。 爽やかな雰囲気の写真と、英語を勉強していてロックが好きというプロフィールに好感を持ったのでこちらからもいいねをしてマッチング。 メッセージのやり取りを始めた。 私が好きなマイナーなバンドを向こうも好きということがわかり、これはいい出会いかもしれない・・・!と久々にこういうメッセージが楽しく

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          提言から体現へ

          この取り組み、本当にすごい。 サブスクで音楽を聴くことが主流になっているこの現代において、 CDの売上枚数と実際に世間に広がっているかどうかがイコールではなくなって久しいにも関わらず、CD依存からなかなか脱出できていなかった日本。 いまだに「売上枚数何十万枚!」と記事になったり音楽番組で紹介されるけれども、本当にその買ったCDで音楽を聴いている人はどれくらいなのか?というのがずっと疑問で。 少なくとも、SNSで見るCDを買った人のコメントはCD本体よりも、 ジャケットや特典のグッズ、特典映像をメインに買っている印象の方が多い。 CDは実際に聴くというよりはコレクションや「応援」という意味合いな気がしていた。 実際に特典を辞めて、プラスチックではなくて紙ジャケットにしたら 売上は落ちたけどグッズは売上アップ、プラスチックゴミの削減にも大きく貢献している。 流通の仕組みの特性上、一気にCDを失くすとそれで職を失う人が出てくるから、 一気にではなく少しづつ、でも確かに革命へ向けて大きな一歩を踏み出した。 SKY‐HIの生き方を見ていると、いつもハッとさせられる。 この方の行動を応援したいのはもちろんだけれど、「自分には何ができる?」を考える機会をくれる。 利権、一部の人の儲けのため、会社を潰さないためなどの「人間のエゴ」のために環境破壊が平然と行われていたり、変な文化やルールが作られたりして、なんだか本質からどんどん遠のいていってたんだなとこの件を通してひしひしと感じた。 きっと音楽業界だけではなく、エゴ満載な業界(どこの業界も何かしらあると思う)は今後、大きくメスが入る世の中になっていくだろう。 個人のエゴや変な文化、ルールが牛耳る時代はとっくに山場を超え、通用しなくなっていく。 あなたの周りでもそうではないだろうか? 偉そうな人よりも優しい人の周りに人は集まってやしないか? 「人は幸せになるために生まれてきた」 この”本質”を忘れずに純粋に音楽を楽しもう。

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          推し方は人それぞれ

          「推しは推せるときに推せ」 誰が言ったか、気づけば巷にはびこる名言(迷言)になったこの言葉。 時折Xを見るととんでもない推し方をしている人、どんな風に推すのが正しい推し方なのかわからなくなっている人、様々な人がいて実に面白い。(ガリレオ風) 私は自分では推し活をしていると思っているけど、端から見たら「そんなの推し活に入らない」と思われるかもしれないほど控えめな推し方をしている。 でもこれは私自身が自分に許された時間、予算の中で行っているので個人的にはしっかり推し活なのだ。

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          ヘッドフォンを外して音楽を聴こう

          今現在使用しているイヤフォンジャックにコードを挿すタイプのヘッドフォンがここ1週間ほど様子がおかしい。 ある程度使うとイヤフォンジャックにコードを挿すタイプもBlutoothタイプも、もれなく片方から音が出なくなったり音がとぎれとぎれになったりする。 安物を使うからなのか、それともかばんにポイッと入れて持ち運ぶから扱いが雑なのだろうか。 スマホに差し込んだ時や接続端子の接触面が振動でどこかに触れると「ガサガサガサ」と雑音がして全身に不快感が走る。 YouTubeで音楽を聴

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          急にクビになった山田さん①

          私が働いている会社はクレイジーである。 ゆえに働いている人もクレイジー上司をはじめ、クレイジーな人…もとい、個性的な人が多い。 クレイジー上司は良い方向でのクレイジーだが、相対的によくない方向にクレイジーな人がいるのもまた事実である。 つい先日、急に一人のおじさんが解雇された。 仮に山田さんとしよう。 山田さんは10年ほど前に一度うちの会社に在籍していたが、辞めて違う会社で働いているところに、社長から新規立ち上げの部署に部署長として戻ってこないか?と声をかけられ1年ほど

          急にクビになった山田さん①

          心は移ろいゆくもの

          高校生の頃、仲の良かった男友達が中学校の時から好きだった女の子に思い切って告白し、振られてしまったことがあった。 その女の子と友だちだった私は、男友達からよく相談を受けたり、「廊下ですれ違ったけど今日もかわいい」みたいな報告メールがしょっちゅう届いたりしていた。(当時はガラケーの時代でSMSやEmailが主な連絡手段) うまくいけばいいなと思って応援していたが、その思いむなしく彼のこの恋は実らなかった。 一度は答えが出されたが、彼の中で彼女への思いは揺るがなかったのだろう。

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          席を譲る?譲らない?問題

          「どうぞと声をかけたら断られた」 「老人扱いするなと怒られたことがあるから譲るのを辞めた」 昔から度々議論される電車やバスでの席を譲るか譲らないか問題。 あなたも一度や二度は譲った経験、もしくは譲ろうかどうしようか考えた経験があるのではないだろうか。 はたまた誰かに席を譲ってもらうことがなかっただろうか。 私は電車やバスで座っている時に混んでくると、どうしようかと考えて、声をかけるまでにアレコレ思考を巡らせてなかなか動けないタイプなので、なるべく考えるのを減らすため長距離

          席を譲る?譲らない?問題

          自分が発した言葉を誰が一番聞いてると思う?

          その答えは自分自身。 褒め言葉も人をバカにした言葉も、全部自分自身が一番聞いている。 だから、発する言葉には注意を払わなければいけない。 人の言葉は聞かないこともできるけど、自分が発する言葉は全部自分が100%聞いている。 「私には無理だなぁ」って言っていると、無理なんだと自分で自分にその思考を刷り込んでいるので、できる方法を模索する考えは浮かばず無理な未来に向かっていくのは明白。 「私にはできるかも」って言っていると、できるかもと自分にその思考を刷り込んでいるので、迷い

          自分が発した言葉を誰が一番聞いてると思う?

          人のものが欲しくなっちゃう女③

          「話したいことがあるんだけど…、時間取れないかな?優子には内緒で。」 甘い蜜はまんまと彼を手繰り寄せた。 「俺で良ければ聞くよ。どうしたの?」 彼から返信があり、マミちゃんと彼は2人で会うことになった。 マミちゃんは優子ちゃんから事の顛末を聞いたと伝えた上で、決して彼を責めずに彼に寄り添った。 「彼女が精神的に不安定な人だったなんて、相当辛かったよね、私も似た経験があるからよくわかるんだ。しかも異国の地で他言語ネイティブの彼女でしょ?私の想像を越えてるよ。すごく努力してき

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          人のものが欲しくなっちゃう女③

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          人のものが欲しくなっちゃう女②

          あまりに堂々と言うので一瞬聞き間違いかと思った。 「私、人のものが欲しくなっちゃうんだよね。」 いや、服とか持ち物ならわかるよ、私もそうだ。 素敵だと思うコーディネイトをしている人の服が欲しくなったり、CMで見たマスカラを友だちが使っていて自分も欲しくなったとかならある。全然ある。 ただ、恋愛に関しては…理解できなかった。 私の場合は気になった男性が彼女持ちということがわかるととたんに興味がなくなる。 彼女がいることで今のその人が出来上がっていると考えると、彼女の影を感

          人のものが欲しくなっちゃう女②

          人のものが欲しくなっちゃう女①

          昔、ワーキングホリデーで1年ほど海外に住んでいたことがある。 せっかく海外に行ったのに日本人同士でつるんで語学が伸びなかったり、あちこち旅して思い出はたくさんできたけど日本に帰ってきてから何も活かされていないことを「ダメホリ」なんて揶揄されるのだが、 私も例に漏れず語学がそんなに伸びず(というより途中で嫌になった)、日本人とつるんで旅行に行き、貯金を減らしただけのダメホリの典型を地で行ってしまった。 だが、酸いも甘いも含めて本当に貴重で楽しい時間だった。 海外の日本人コミュ

          人のものが欲しくなっちゃう女①