名瀬口にぼし🍳

新少女小説的なものを書きたいWeb小説書き。『飯テロ 真夜中に読めない20人の美味しい…

名瀬口にぼし🍳

新少女小説的なものを書きたいWeb小説書き。『飯テロ 真夜中に読めない20人の美味しい物語』(富士見L文庫)に短編収録。 note創作大賞2023のベストレビュアー賞を受賞。 各種リンク・更新情報はhttps://bento.me/nsgt

マガジン

  • noteに掲載中の小説

    創作大賞2022では「大名古屋万博物語」が中間選考を通過。 note以外に掲載の作品は→https://nsgtnbs.wixstudio.io/nsgt

  • 【創作大賞2024】ミンギルとテウォン

    辺境の村の領主の屋敷で働く使用人であるミンギルとテウォンは、奴婢に近い存在として、常に軽んじられ馬鹿にされてきた。 お互いの存在しか頼る者がいない二人は、兄弟よりも深い友情で結ばれており、楽しいことも辛いことも何ごとも分け合って生きている。 しかし「朝鮮民主主義人民共和国」という名の新しい国が戦争を始めたことをきっかけに、二人の人生は徐々に違うものになっていく。

  • 【創作大賞2024】神喰いの花嫁

    神喰いの花嫁――。それは神に嫁ぎ、神の肉を食べて死ぬ少女の呼び名である。大正時代風の世界を舞台に、死と再生を繰り返す神とその花嫁に選ばれた少女が出会い結ばれる。 生まれも育ちも違う四人の花嫁が、それぞれの幸福を見つけるジャポネスク・ジャズエイジ・ファンタジー。

  • 【創作大賞2024】少女は宴の夜に死ぬ

    人喰いの神が玉座にいる国の後宮に招かれた四人の少女たちを描いた、連作短編の中華風ホラー料理小説。

  • 活動報告・更新履歴まとめ

    活動報告関係の記事や、更新履歴をまとめたマガジンです。 その他の更新情報は→https://xfolio.jp/portfolio/nsgt/free/244559

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小説投稿サイトユーザーが、今更個人サイトを作ってみたらとても楽しかった話【Wix】

私は小説家になろうやカクヨムなどの小説投稿サイトのユーザーで、SNSはTwitterとnoteの二つを使っています。 どのサイトもそれなりに気に入って使っているのですが、自分の所在がばらばらですわりが悪いなと思うことが多々ありました。 「自分の作品は全部ここから読めます!」という場所がないのは、どうにも心もとないというか…。 そんなわけで、今更ですが個人サイトを作ることにしました。 投稿サイトに載せた小説のリンクを格好良くまとめたポートフォリオサイトなら、最近よく見るW

    • ミンギルとテウォン 3

      13 壮行会 軍隊に入ることを決めたミンギルとテウォンはめでたく頭の上からつま先までの身体検査に通って、すぐに北に移動して羅南の兵営に入営することが決まった。  羅南は清津の近くにある街で、かつて日本軍が軍事拠点を置いていた場所であるとテウォンはミンギルに教えくれる。  やがてファン家の屋敷には二人と同じように軍に入ることが決まった村の若い男たちが集められて、出発の前日の夜には壮行会と称して普段よりもずっと豪華な食事が振る舞われた。  庭の中心で火にかけられた大きな両手

      • ミンギルとテウォン 2

        2 春の農事 春分も過ぎて寒さが緩み、山の麓がケナリの花の黄色に覆われれば、北東の高原にも遅い春がやってくる。  渡り鳥も北上する春らしく、やわらかな青色に晴れた気持ちがよい青空の下で、おそらく十三歳くらいになったミンギルはまめだらけの手で鍬を握って、褐色の大地に下ろしていた。  使い込まれた柄の鍬は重く、鈍い光を放つ刃は地面に突き刺さって土を砕く。  ミンギルはまだ幼い少年として扱われる年齢にしては大柄で力も強く、薄汚れた顔も精悍で男前と言えなくもない大人びた少年に育

        • ミンギルとテウォン 1

          あらすじ 1 牛小屋の隣 大陸の極東の端の半島の、そのまた北東の隅に連なる赴戦嶺や摩天嶺の山々の麓には、カラマツやトウシラベなどの原生林に抱かれた高原がある。  冬は寒冷で夏は涼しいその土地は、朝鮮で最も空気が澄んだ場所の一つとして知られていて、青々と茂る針葉樹林を映して深く静かに水を湛えた湖は名勝地として流行歌にも歌われている。  過ごしやすい季節には小綺麗で裕福な家族が別荘でくつろぎ、湖が凍る頃にはお洒落に厚着をした若者たちがスケートをして楽しむ行楽地が、そこにあった。

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          9本
        • 【創作大賞2024】ミンギルとテウォン
          3本
        • 【創作大賞2024】神喰いの花嫁
          8本
        • 【創作大賞2024】少女は宴の夜に死ぬ
          10本
        • 活動報告・更新履歴まとめ
          17本
        • 【創作大賞2024】偽王の晩餐と姫君の首
          11本

        記事

          個人サイトとSNSリンクまとめサービスの使い分けについて【Bento.me】

          最近Bento.meというサービスで、リンクリストを作りました。 個人サイトでポートフォリオを作ったので別にリンクリストはいらないかなと思っていたのですが、ポートフォリオに載せるほどじゃないけどどこかにまとめておきたい情報がいろいろあったので、SNSリンクまとめサービスも使うことにしました。 個人サイトの雰囲気を保つために、細々としたことは別のところにまとめておきたかったのです。 lit.linkやPOTOFUなどではなく、Bento.meを選んだのは、スマホでもPCでも

          個人サイトとSNSリンクまとめサービスの使い分けについて【Bento.me】

          【短編小説】少女は宴の夜に死ぬ/終章

          終章 「食卓の裏側」 深夜に誰かが正門の扉を開けて出ていく音を、ルェイビンは厨房で聞いていた。  ちょうど、下げた料理の皿を大きな机に並べ、残った料理を一人で食べていたところである。 (今の音は、あの偽物の公女だろうか)  足を投げ出して椅子に座り、鰊の酢漬けを手づかみで口に放り込みながら、ルェイビンは扉を開ける音を立てた人物について考えた。  皇城で働く人間が饗花宮の正門を使うことはないため、誰かが開けて出ていくとしたらそれはおそらく招かれた者である。  犠妃として

          【短編小説】少女は宴の夜に死ぬ/終章

          創作大賞2024の応募作をスコップしてみた。(7月1日更新)

          はじめに私は創作大賞2024に応募中の、普段は他サイトで活動しているWeb小説書きです。 創作大賞に挑戦するのはこれで三回目です。 Web小説を書いているわりにWeb小説をあんまり読まないタイプなのですが、Web漫画なら結構読むので創作大賞感想企画にも参加することにしました。 スコップ対象は主に創作漫画部門とオールジャンル部門です。 もうすでに評価されてるっぽいスコップにならない作品でも、書きたくなったら感想を書きます。 Xで感想ポストを投稿してそのポストをこのno

          創作大賞2024の応募作をスコップしてみた。(7月1日更新)

          神喰いの花嫁/終章

          終章 「神様を食べた少女」 ある綺麗な湖のほとりに、何を食べても美味しいとは言えない少女が住んでいました。  炊きたての熱いお米を食べても、柔らかくついたお餅を食べても、少女は美味しいとは言えませんでした。  だから少女はある森の奥深くにいる、人に食べられるために生まれて死ぬ神様に会いに行きました。  美しい姿をしたその神様の肉は、食べた者が死んでしまうほどに美味しいと聞いていたからです。  少女が訪ねてきたことを神様は喜び、自らの身体のすべてを少女に与えました。  神

          神喰いの花嫁/終章

          神喰いの花嫁/死に損なった少女(後篇)

          12 慣れない洋装  神喰いの花嫁になることを選んだ葵依が嫁ぐのは御饌都之宇迦尊という名の神であり、葵依は夏の終わりにその神のいる西都の近くの森にある神殿へ旅立つことになった。  神々に仕える国の機関として神に招かれた人間を管理する神祇省の書面は、なぜか花嫁に洋装を求めているので、葵依は急遽倫之助の姉にあたる人物に立て襟の白いワンピースを譲ってもらう。 「白無垢とか黒引き振袖とかじゃないと、お嫁さんって感じがしないのだけど」  出発の日の昼前に、葵依は自室代わりの和室

          神喰いの花嫁/死に損なった少女(後篇)

          神喰いの花嫁/死に損なった少女(前篇)

          1 湖の近くの村  葵依の住む翠古村は北州の端の森の外れにあって、大きくて深い湖がある。  昼は太陽、夜は月に照らされて輝く湖はいつ見ても綺麗で、葵依は楡の木の木陰からその場所を眺めるのが好きだった。  掬ってしまえば同じ水なのに、よく晴れた日の湖の水は井戸の水と違って青い色をしている。 「おねえちゃん。どうしてここの水は、こんなにきらきらしているの?」  赤い縦縞模様のちゃんちゃんこを着た六才の子供だった葵依はある日の午後、隣をゆっくりと歩いてくれている姉の瑞枝の着

          神喰いの花嫁/死に損なった少女(前篇)

          神喰いの花嫁/与えられた少女

          1 美食と婚約者  夥しい数の摩天楼が立ち並び、それらのビルすべてに電気の明かりが灯された大都会・東都の夜景は、黒い箱の中に小さなガラス玉やビーズを詰め込んだように明るく、冬の始まりを告げる澄んだ空気に瞬いている。  その皇国で最も華やかに栄えている都市の輝きを、霜山椿咲は東都で一番に贅が尽くされたホテルにある展望レストラントの窓から、今夜は眺めることができる。  色硝子を通した間接照明の心地の良い明暗に包まれたレストラントのドーム状の天井は高く、ゆるやかに空間を区切る

          神喰いの花嫁/与えられた少女

          神喰いの花嫁/売り払われた少女

          1 新しい名前 「こいつはちょっと唄が得意なんです。ほら、歌ってみろ」  潮の匂いがする風がほんのりと暖かい、南州の果ての島の夕暮れどき。  沈む太陽に赤々と照らされた家の石塀の前に立つ若い男が、赤染めの着物を着た幼い少女の背中を軽く叩いて命令する。  若い男は叔父であり、少女は姪である。  二人の前にはもう一人の中年の男がいて、島ではめったに見ない上等な白いサマースーツに身を包んだ彼は、少女を買いにやって来た人買いだった。  子供を売り買いするのは良くないことだけれど

          神喰いの花嫁/売り払われた少女

          神喰いの花嫁/虐げられた少女(後篇)

          10 花嫁衣裳  卯月の中旬のある縁起の良い日が、桜良が神喰いの花嫁として久世月家を出ていくときになった。  屋敷では花嫁の門出を祝う宴が開かれて、桜良には思い入れのない客が集まっている。  しかし花嫁本人である桜良にはやるべきことがたくさんあるので、宴で振る舞われるご馳走を食べる時間はない。  日差しは暖かいが空気にはひんやりとした清々しさのあるよく晴れた日の自室で、桜良はさらさらと肌触りが良い長襦袢を着る。  本来なら家族が支度に関わるものなのかもしれないが、明里や都

          神喰いの花嫁/虐げられた少女(後篇)

          神喰いの花嫁/虐げられた少女(前篇)

          1 クリーム色の自動車  西都の歴史ある伯爵家のご当主の妾だった母は、革張りの寝椅子に腰掛け、透明な宝石みたいなロックグラスで洋酒を飲んでは、娘である桜良にいつも甘い声で語りかけた。 「知れば知るほど、こわいものが増えていく。だから勉強なんかしないで、ばかな子でいるのが一番よ。かわいい女の子は、ばかで許してもらえるんだから」  酔っ払った母が花柄のワンピースを着た幼い桜良を膝の上に置き、深緋のマニキュアを塗った手で小さな娘の可愛らしい顔を撫でる。  まだ数年しか生きて

          神喰いの花嫁/虐げられた少女(前篇)

          神喰いの花嫁/序章・目次

          あらすじ「この美しい神さまを食べる私は、きっと世界で一番幸せな女の子だ」 神喰いの花嫁。それは神に嫁ぎ、神の肉を食べて死ぬ少女の呼び名である。大正時代風の世界を舞台に、死と再生を繰り返す神とその花嫁に選ばれた少女が出会い結ばれる。 生まれも育ちも違う四人の花嫁が、それぞれの幸福を見つけるジャポネスク・ジャズエイジ・ファンタジー。 序章 「とある少女と食物神の話」 ある寒い森の奥深くに、人に食べられるために生まれた神様がおりました。  美しい姿をしたその神様の肉の美味しさは

          神喰いの花嫁/序章・目次

          創作大賞2024に参加します。

          創作大賞2024の募集が今日から始まりましたね。 私は以前に書いた「神喰いの花嫁」という題の、ジャズ・エイジ味が強めの架空の大正時代風の世界を舞台にしたブルデス系嫁入り和風少女小説を改稿して、ホラー小説部門で参加しようと思ってます。 とりあえず今日は序章だけ投稿して、続きはGW中に更新を始める予定です。 旧作もとりあえず応募してみます。 あとは最近書いた朝鮮戦争BL小説の「ミンギルとテウォン」も、改稿できたら応募したいです。 これはジャンル選択が微妙なのですが、BLだ

          創作大賞2024に参加します。