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seiji_arita
2024年1月30日 15:36
「I’M FLASH」彼女は僕の名前を呼んだ 確かに彼女の声だったその言葉は複雑で精巧な巨大な装置が動かしている世界の空中に浮かんでいた僕はその名前を側からぼんやりと眺めていた彼女は僕の名前をもう一度だけ呼んだ見慣れた辺りの景色の中でしばらく眠っていたそんな感覚に包まれて僕は目を覚ました全ては夢である事を知った彼女の柔らかな唇と声は全世界
2024年1月28日 11:46
「風と月と流星」消え残った星が幾つか頭上に見える明け方区切られた記憶の空に見えた断片 あの夜 流星が描いた線を思い出していた束の間の儚い一瞬の煌めき僕を呑み込み含んだその光は限定された意識の窓に映し出された命の微粒子で描かれた その光の線に特別な絆と強い親密感を感じ取っていた白昼の街が備えた祝祭的な色彩と太陽の明かりが僕の中の非対称性を浮き彫
2024年1月27日 03:59
「205号室」僕の時計の針は知らないあいだに止まっていた花瓶の中には一輪の花沈黙の中には ただ花の匂いだけがあった分厚いカーテンの隙間 僅かに射し込む光が真っ直ぐな線を床に描いた闇の中で黒い影が揺れた後には戻れない わかっている深い切り傷に指先で触れ唇を這わせた其処に全ての鍵がある僕はそれを知る必要があった205号室 暗闇と沈黙と花の
2024年1月24日 18:16
「死角」ダークな色合いのスリーピーススーツ白いカッターシャツに律儀な模様の 黒に近い色柄のネクタイその先に死角が存在している事を誰も知らない静観の構えを持つ曖昧な壁その角を曲がると其処にある黒き空白死角と呼ぶに相応しい血が脈打っていた目印と呼べる物は何も無くただ地平線が何処までも広がり空には灰色の雲が時折 形を変えて流れていた微かに吹
2024年1月24日 00:24
「もう一度」不安定で不器用な感情の塊が骨と肉を纏い目に見える形を作り出しているその形を持つものから発する熱と息づかいを僕は首筋に感じとっていた抱いてくれ…そう言い出したのは僕の方でも彼女からでも無かったただ必要だったから僕等は抱きしめ合って長い夜を超えた 世の中の常識や概念が作る心理を消し去りゆったりと川の流れに身を任せたもう一度 そ
2024年1月21日 22:24
「核」誰かの意見に対抗出来るような意見も人格も持ち合わせていない僕は ただうなずく事しか出来なかった時には誰かの意見を借用してさも自分自身の考えであるかの様に振る舞っていた自分の価値観を持たず いつも 他人の視点と 尺度を借りて来なければ何ひとつとして判断出来ない人間だった他人の目に良く映る僕の形を自分の中に創り出していた人畜無害を装い
2024年1月21日 05:06
「曖昧な夜と曖昧な朝の狭間」全てが暗示的で曖昧な夜其処に大切な象徴を見つけようと目を凝らすただひとつ失いたく無いものを心に描いた入江を渡る風の色が知りたかったんだその色でしか空白を埋める事が出来ない最初からわかっていた自分の属してる世界の価値観や未来への展望だとかそんな言葉を口にする人達僕は耳を塞いで空を見ていた夕暮れは以前より遥かに希薄に
2024年1月16日 23:29
「侵蝕」僕はずっと昔に聞いた雨音を思い出しているいつも雨が降っている匂いがしていた僕等の頭上にはただ空がある地下鉄を乗り換えて辿り着いた駅からビルの地下街を抜けて街に出た其処に転がる季節を燃やした僕等の意識の回路に 埋め込まれた地図に従い死の海に向かう君がひとつになりたいと願った あの海に柱時計のネジをまく片目の老人時はまだ止まらない
2024年1月14日 20:02
「最終章」其処に君が居ると思い込むんじゃ無くて其処に君が居ない事を忘れてしまえばいいそれが僕の恋の始まりだった僕等を隔てる距離や周りの雑音は消え去り僕は常に君を感じる事が出来た遠くに輝く星はいつも僕の手を伸ばした少し先にある 決して触れる事の出来ない虚しさに 押し潰されそうになっていた数々の記憶の中から質の良いものだけをセレクトして再生した
2024年1月13日 21:16
「オールドファッション」発する事の出来無い言葉 文字にする事の無い想いそれはもはや文字では無い想いでも無い流れる水が傾斜を降る決まってそれは最短距離の道を行く 時には自らその道を創り出しながら君はナイロンの光沢で包まれた脚を何度か組み替えていた僕は尖ったピンヒールの先を見てた彼女はいつも自分が1番綺麗に映る鏡を探していた僕は特に何も集めてはいないよ
2024年1月9日 17:42
「ロマンス」僕は鏡を見つめていた 其処には何も映し出されてはいない空白があるだけだった感覚が麻痺している訳でもない混乱や戸惑いもなく 今を成立させる基準や理論を探してた自分自身が捉えた感覚を適切に言葉に置き換えるその事だけに注力していたそれが僕の証を残す事が出来る唯一の方法だったからだ不均一で不可解な空白と短い語彙で綴られた言葉形作られた
2024年1月8日 22:18
「Beast of Burden」直感に似た感覚が僕に耳打ちをする夜CHANELとPRADAとGUCCIの残骸が転がる部屋の中は意味も無く明るい山積みのファッション雑誌 ハイヒールとバッグの箱僕は閉ざされたシャッターにスプレーで絵を描いている脈略の無い他の場面の映像が瞬間的に入り乱れ混線した古い電話器の通話の様な 混沌と退廃を意味するメッセー
2024年1月7日 13:46
「B.G.M」とても小さな音で聴こえてる耳を澄ませて と言う意識は無い いつでも交換可能な匿名的なB.G.M僕はその他大勢の中にある 固有の不協和音を探していた何故だろう 他の誰かでは無い その音をその明確な理由はわからない1行1行をしっかりと噛み締める様なそんな言葉を欲していた僕は灰皿に置いたままの煙草が燃え尽きるのを見ていた指先でこめか
2024年1月4日 19:17
「記憶の蓋」不確かな覚醒 夜明け前の色 それは不自然に現実性の核を喪失していた事実を記録したモノクロの無声映画が流れる断続的に訪れる場面に僕は居たその映画に字幕は無く僕は彼女の口元を見つめていた灰色の曇り空を飲み込んだ様な空間が辺りを包み込み僕等か共有したはずの時間が 其処に映し出されていた思い出せない 何もわからない彼女の名前も顔も