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好きな記事、好きな小説、好きな文体

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個人的に好きな記事や小説や文体。個人的に注目している書き手、活動。
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2020年9月の記事一覧

「降りてきたー」の瞬間

「降りてきたー」の瞬間

企画を考えている時、タイトルで悩んでいる時、たまーに「降りてきたー」ということがある。セレンディピティ、「計画的偶然性」「偶察力」などと訳される最高に素敵な瞬間だ。

いつも使うボールペンがどこにもなくキッチンの引き出しまで探していると、以前なくしたと思い込んでいたピアスが見つかった。これがセレンディピティだ。

ネットで検索すると、ポストイットやコカコーラの例が出てくる。強力な接着剤を開発するな

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取材は特別なことじゃない

取材は特別なことじゃない

下取材で大切なこと、聞きたいことを聞き出す、インタビューのダイナミズムと取材力について書いてきた。取材というと、編集者やライターじゃないから関係ないと思われがちだが、実は、すべての人が普段やっていることで、すべての人に必要な技術でもある。

2か月前、ものすごい勢いで拡散された島田彩さんの記事「今週末の日曜日、ユニクロで白T買って泣く」が、とても面白かった。

この記事で、島田彩さんがR君にしたこ

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娘の弁当作ってました。       高校三年の秋

娘の弁当作ってました。       高校三年の秋

高校行かない娘、根性は、ある。たまに行くその学校で絵は描いているらしい。夏休み終わっても始業式にも行かない。もう後半年なんとか出席で卒業、でも行かない。お父さん弁当は作るで。

どや、オムライスやで。明日はどうするんや。

モッツァレラ入れといたぞ。

娘の担任の先生電話くれる、今のままで来年卒業出来るには奇跡が起こるしかないと言う。先生も辛い。

行ったんか、良かったか?

頑張るね、無理するな

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フィルモア通信 New York No17     流れる水

フィルモア通信 New York No17     流れる水

流れる水

 天ぷらの修業のつぎは鰻の捌きを覚えようと思い立ち、中央市場の老舗の川魚店に見習いに行くことにした。
朝四時からその捌きは始まり、六時には終わるのでそれから仕事に行くことになった。その川魚店には鰻捌きの名人と言われる人がいて、多くの京都の料理屋がその名人の捌いた鰻を仕入れに来ていた。

 名人は初老の痩せた男で、子供の頃からこの道一筋らしく、まな板の位置と右手の包丁使いの動きに合わせ

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軽井沢ラブな女による、軽井沢偏愛スポットまとめ(4000字)

軽井沢ラブな女による、軽井沢偏愛スポットまとめ(4000字)

こんなツイートを見た。

何を言っているんだ…?長野には軽井沢があるじゃないか。

軽井沢が好きだ。この3年ほど年に3~4回は訪れているが、毎回新たな魅力を発見する。東京から新幹線で1時間と少しで行けることは意外と知られていない。
初めて新幹線で行く人はみな「こんなにすぐ着くの?!?!」と驚く。

移動時間が短いため、1泊2日でも十分リフレッシュできる。東京での忙しない日々に「ちょっと疲れたわ~!

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キャプテン翼でメチャクチャになってしまった人間の話

キャプテン翼でメチャクチャになってしまった人間の話

キャプテン翼。このタイトルを見て、人は何を思うでしょうか。
ある世代の方々にとっては、イノセントな記憶。ある方にとっては青春の破片。そしてリアルタイムからはぐれた者たちにとっては「ぼんやり知っている、ボールが友達である少年の物語」という認識ではないでしょうか。私にとってはそうでした。主人公のキャラクターはうっすら知っているけれど、詳細なお話までは知らなかった。

しかしその淡く牧歌的な印象の物語に

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Food|もう、人生を変える体験なんてないと思ってた

Food|もう、人生を変える体験なんてないと思ってた

あなにとって人生を変える体験って、どんなことでしょうか?

ある人物の出会いであったり、映画や音楽などを見聞きしたことだったり、圧倒的な自然風景を見たり、異文化に触れたり、さまざまなきっかけがあると思います。

そういったきっかけはなんであれ、「人生を変える体験」とは、「自分自身にない価値観を発見すること」ではないでしょうか。

もう少し、自分自身に引き寄せて考えてみると、「自分自身にない価値観」

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そして、料理に恋をする

そして、料理に恋をする

「#まるのつかない日は料理本デー」
今回ご紹介するのは「そして、料理に恋をする」です

のほほんと暮らしていた私が初めて「世の中には自分の想像をはるかに超えた金持ちがいるようだ」と気づいたのは、高校の時だった。学校の近くに住む同級生の、家だと思った建物が単に「蔵のひとつ」であり、本当の母屋が塀の外からは見えない距離の奥の方に鎮座ましましているのを見たとき、私は大人の階段を上った。卒業後、帰省時に街

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「プロに打ちのめされた後」を読んで三脚で打ちのめされたことを思い出した

「プロに打ちのめされた後」を読んで三脚で打ちのめされたことを思い出した

twitterのタイムラインでこちらの投稿を目にした。

これ、とても面白かった。

詳しくはエスパーワカさんこと 船石 和花 さんの 投稿 を読んで頂きたいのだが、極力ネタバレを避けつつ要約すると...

船石さんが、タイトル通り『プロに打ちのめされた』

と、言うお話( いや、だから読んで )。

僕、船石 和花さんとは全く面識も交流も無い。果たして引用してよいものか悩んだのだが、ガマンしきれ

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息子の自炊に鹿が出てくる(鹿が出る編)

息子の自炊に鹿が出てくる(鹿が出る編)

大学2年生になった長男・J男。一人暮らしも2年目となり、自炊に拍車がかかっている。

最近J男の自炊に「鹿肉」という単語がよく出る。

鹿肉?

真相を確かめるためJ男に電話取材を試みた。
※文中では息子をJ男(自炊なので)とします。

・・・・・・・・・・・・・・

憧れの自給自足生活今年3月のこと。
大学の同級生SくんがJ男に新鮮な鹿肉を譲ってくれた。
なぜ鹿の肉を? 

京都から35キロ離れ

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誰かの悔しさに、続けることの大切さを改めて教わりました

誰かの悔しさに、続けることの大切さを改めて教わりました

「悔しみノート」(梨うまい 著/祥伝社)を読んだ。

日の出前に起きて読み始めて
日が昇る頃にはぽろぽろと涙をこぼしながら読み終えていた。
日曜の朝から…

まさか泣くとは思っていなかった。
そういう本じゃないはずだ。
ただ悔しみと妬みと怒りが綴られただけの本だ。

この本を知ったのは、
ジョギングしながら聞いていた9月1日放送のラジオ番組だった。
「ジェーン・スー 生活は踊る」の人気コーナー「相

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しくじりプロダクトグロース

しくじりプロダクトグロース

はじめにプロダクトグロースについては、わかりやすく体系化された記事も多いですが、その一方で、Product-Market Fit(PMF)以降「グロースするぞ!」という段階になって、そのあと大きな成長ができず伸び悩む……といった状況を、何度か見てきました。

この記事では「しくじり」の名の通り、そんな失敗や反省をもとにした学びを中心にまとめています。

よくある失敗PMF以降、LTV > CAC

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シャインマスカットを美味しく食べる方法

シャインマスカットを美味しく食べる方法

秋の味覚である「ぶとう」の中でも、私が一押ししたいのはこちらのシャインマスカット。

一房2500円程度からデパートなどでは1万円以上で売られていることもある高級ぶどうですが、これがとにかく美味しいのです。

ぶどう王国の親戚が贈ってくれる立派なシャインマスカット様

そしてどうせ食べるなら美味しく頂きたい!ということでぶどうの国で生まれた私からのワンポイントアドバイスをお伝えします。

1)ぶど

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基本の養蜂作業|とれたて生蜂蜜の誘惑

基本の養蜂作業|とれたて生蜂蜜の誘惑

我が家で養蜂が始まったのは10年くらい前。確か、私が大学生の頃でした。

実家に帰ると、庭で可愛いたくさんの蜜蜂たちが花にとまって一生懸命蜜を集めていて、何事かと思ったら両親が念願の養蜂を始めたということらしい。

それ以来、私のお手伝い項目にも「養蜂」が加わり、父亡き後は弟が養蜂管理者の位を継いで弟主導で家族みんなで大切に蜜蜂たちを育てています。

さて、養蜂作業から蜂蜜収穫までの様子を動画にし

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