たけのこスカーフ

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キャプテン翼でメチャクチャになってしまった人間の話

キャプテン翼。このタイトルを見て、人は何を思うでしょうか。 ある世代の方々にとっては、イノセントな記憶。ある方にとっては青春の破片。そしてリアルタイムからはぐれた者たちにとっては「ぼんやり知っている、ボールが友達である少年の物語」という認識ではないでしょうか。私にとってはそうでした。主人公のキャラクターはうっすら知っているけれど、詳細なお話までは知らなかった。 しかしその淡く牧歌的な印象の物語に、夏をすっかり捧げ果て、ついにはメチャクチャになってしまう日が来るとは思いもしま

    • 叶わないことを知りながら

      日曜日になるたびの習慣に、アイロンがけが加わった。平日5日に職場でつかうハンカチを準備するためだ。 このましかくの布は、もらいものが多いので、1枚ずつ「私にこの柄を選んでくれたんだなあ」と思いながら皺を伸ばす。 昼ごはんの際に、机に敷いている手ぬぐいは、乾燥機にかけると中尾彬が首に巻いてる「ねじねじ」のようになる。棒状に細く皺が寄ったそれを苦笑しながら伸ばして、ジュっと重たいアイロンをあててゆく。 私は2020年4月から、派遣に出ている。インフラ系の事務の繁忙期を手伝う

      • ねこと、本と、生活。何もない連休の記録。

        5月2日 ◎あたたまりすぎた毛布を蹴飛ばして、窓を覗き込むと空のみずいろが、ほとんど青い。一気に、初夏らしくなった。猫はぴったり5月1日から、わたしの毛布にもぐりこまなくなり、朝方にご飯をねだるようになった。明け方のねこは、甘えんぼうのかたまりで、何度もわたしに頭突きをして、ゆっくりと瞬きする仕草が、眠さを吹き飛ばすほど可愛らしい。 ◎Spotifyで、「北欧暮らしの道具店」のプレイリストをスピーカーでかけてみた。何かのスイッチがはいって、家事が踊るように片付いていく。ギア

        • アマプラで「映画すみっコぐらし」を観て、感情のカタストロフに沈没した話。

          助けてください。全く泣き止めなくなってしまいました。 去年の映画公開時に、何やらざわめきがあったことは知っていたのです。「ラストが凄い」とか「ひよこの正体は」等のワードをちらちら見かけました。だから『何か』あるんだろうな〜って知っていました。 知っていたはずなのに、観賞後、翌日になっても、バスタオルを濡らしてしゃくり上げているこの始末。何だ。あれは何だったんだ。 結論から言うと、Amazonプライムに入っている方は、ぜひとも「映画すみっコぐらし 飛び出す絵本とひみつのコ」

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        • にっころがし帳
          16本
        • 毛がたくさん生えている
          3本

        記事

          読書をしたいから、Twitterをやすみますと行って消えた私、気がついたら鬼滅の刃のアニメを全見して、単行本大人買いしていた。

          今ごろになって、鬼滅の刃のアニメをぐんぐんと観ていました。 もともとは、自分があまりにも集中力が散漫になっており、すぐにスマホをいじりはじめて映画やドラマの動画を観続けることが出来ず、その気楽なトレーニングのつもりで観始めました。 はじめこそ「主人公が、なんだかずっと怒られていて可哀相!」とか「ご飯どきに観るには、ちょっと血なまぐさいかも」と思っていた気がするのですが、最終的にごはんを食べる手は完全に止まり、ちょちょぎれる涙はすっかり使い果たし、動画を観る集中力が無いって

          読書をしたいから、Twitterをやすみますと行って消えた私、気がついたら鬼滅の刃のアニメを全見して、単行本大人買いしていた。

          秋になったら、こんなふうに読みたかった。

          秋が来たと思うとうれしくてたまらない。外を歩きながら、淡い金木犀の匂いを掃除機みたいに吸い込みたくなる。 夏のあいだ、ずっと読書がはかどらなかった。何をしていても、体のどこかがうっすら汗ばんできて、じっくり文字を追う気分になれなかった。 秋になったら、鍋で煮出した牛乳たっぷりの紅茶をいれて、ビスケットをかじりながらゆっくり本を読みたいと思っていた。 いまそれが出来ることがとてもうれしい。想像の通りに鍋に牛乳をいれて、弱火でゆっくり温めたら、紅茶のティーバッグをいれて淡い

          秋になったら、こんなふうに読みたかった。

          ねずみ色のくつしたがこれだけあって、今すぐ家をでたいのに、全部片っぽしかなかったことがありました。 それ以来、同じ靴下だけ買うようにしたので、出かける間際に困ることはなくなったけど、靴下にはずっと、困っていたかったような気もします。自分のカメラロールの中でもだいぶ好きな画像です。

          ねずみ色のくつしたがこれだけあって、今すぐ家をでたいのに、全部片っぽしかなかったことがありました。 それ以来、同じ靴下だけ買うようにしたので、出かける間際に困ることはなくなったけど、靴下にはずっと、困っていたかったような気もします。自分のカメラロールの中でもだいぶ好きな画像です。

          毛糸で作った丸いおもちゃが、うちのねこは大好きで、去年はたまごみたいに抱っこしてあたためていました。 たまに、人間のねぐらにくわえて持ってきて、枕元にコロンと置いていくときもあります。まるでご褒美みたいな差し入れに笑いながら、毛玉のにおいをかぐと、淡くねこの優しい匂いでした。

          毛糸で作った丸いおもちゃが、うちのねこは大好きで、去年はたまごみたいに抱っこしてあたためていました。 たまに、人間のねぐらにくわえて持ってきて、枕元にコロンと置いていくときもあります。まるでご褒美みたいな差し入れに笑いながら、毛玉のにおいをかぐと、淡くねこの優しい匂いでした。

          グミをたべるときの、暖かい孤独

          お菓子のなかで、グミが一番すきかもしれない。次いでラムネ。3番目が飴ちゃん。口の中でゆっくり溶かしてゆくものたちが好きだ。 グミを食べるたびに、いつも思い浮かべるのは小学生の頃のこと。 「次の標識まで、噛まずになめられたら、いいことある」と謎のミッションを自分に課しながら、近所を散歩しながら食べていた。 遠足のとき、みんなで交換しながら食べるおやつより、1人で自分のルールを決めて食べるおやつが好きだった。遠足のレジャーシートの上ではなるべく少なく食べて、持ち帰ったおやつを

          グミをたべるときの、暖かい孤独

          お酒を飲みながら、料理をすること

          料理が、ずっと苦手だった。 調味料や調理器具でどんどん台所が埋まっていき、メモリ不足のPCみたいな気持ちで、狭っこい範囲でちまちま作業をするのも、料理をしている間、何を考えていたらいいのか分からなくなって、なんとなく暇に感じてしまう目や頭も。 それが、今ではとびきりたのしみの時間になった。お酒を飲みながら、動画をみながら料理をつくるようになったからだ。ちびちび好きな缶をあけながら、ぼんやり見るともなしに動画をみながら、何かを刻むのは楽しい。ふわふわした心地の中で、猛然とに

          お酒を飲みながら、料理をすること

          ARねこちゃん。「実物大の猫が目の前に迫ってきます」という、なんと夢みたいな文言。これを読むたびに何度でも幸せになってしまいます。 今日は少々いやなことがあり、すこしばかりやさぐれていたのですが、ねこにまつわる幸せで全部がふわふわの彼方に消えてなくなりそうです。

          ARねこちゃん。「実物大の猫が目の前に迫ってきます」という、なんと夢みたいな文言。これを読むたびに何度でも幸せになってしまいます。 今日は少々いやなことがあり、すこしばかりやさぐれていたのですが、ねこにまつわる幸せで全部がふわふわの彼方に消えてなくなりそうです。

          おでんを初めて作ってみた話。

          大好きだけど、自分では作れない料理だと決めつけているものが、私にはけっこう多い。 その一つがおでんで、なんとなく素人が手を出してはいけないものだと勝手に思っていた。昆布出汁をとって、さらにかつお出汁を合わせたり(?)何らかの高等な技術が居るものだと思っていた。 実際作ってみると、おでんはぜんぜん難しくなかった。本格的に作ろうとすれば、どこまでも凝ることはできると思うけど、スーパーにはおでんセットが売っている。 何種類かの練り物が、ずらっと並んでいるパックを買えば、もう大

          おでんを初めて作ってみた話。

          ねこが使うハンモックの底に、抜けた毛が圧縮されて、フエルト状の丸いものが出来てることがあります。 これのことを我が家では勝手にラッキーコインと呼んでおり、回収するたびに、「おっ。ラッキー」と言いながら、毛箱に収納してます。ねこが来て3年の間に、だいぶコインたまってきました。

          ねこが使うハンモックの底に、抜けた毛が圧縮されて、フエルト状の丸いものが出来てることがあります。 これのことを我が家では勝手にラッキーコインと呼んでおり、回収するたびに、「おっ。ラッキー」と言いながら、毛箱に収納してます。ねこが来て3年の間に、だいぶコインたまってきました。

          メモ書きから始めていいと思ったら、文が気楽に書けるようになった話

          すこし前まで文がなかなか書けずに悩んでいたのですが、あるnoteを読んでとても気楽に書けるようになった話をします。 私にとって文章を書くことは、ささやかな趣味で、義務でも仕事でもないのに、たまにちっとも書けなくなる。 そんなとき、たまたまTwitterで流れてきたこちらのnoteを読みました。 汚く作ってもいいんだ!!と目の前で水風船がはじけたような気持ちでした。 私は、文章を絵に例えるなら、下書き無しの一発書きで書くものだと思いこんでいました。 さらっと書いて、ま

          メモ書きから始めていいと思ったら、文が気楽に書けるようになった話

          夏を閉じたら、シチューを作ろう。

          夏がゆっくりとすぼまっていく。 ひつじ雲をたっぷり睨んだ期間をくぐり抜け、軽い長そでが解禁されたら、いそいそとシチューをつくります。 シチューはいい。作るのも楽しければ、食べるときもうれしい。少しでも涼しくなったら「自分、シチュー、いいすか」と腕まくりしてしまう。 とろとろでぽってりした、白い液体をかき混ぜてるときの「今、料理をしている!」という気持ちがたのしい。自分が、料理カテゴリーのフリーイラストになったような気持ちになる。 気が向けば、小麦粉をバターで炒めるとこ

          夏を閉じたら、シチューを作ろう。

          ホスト志望の少年に、人生で15分だけ邂逅した話

          二度と会うことは無いだろうけれど、生き別れの孫のようにたまに思い出す人が居る。 震災が起きる前だったから、7〜8年前くらい。 東京でいくつかの展示を見て、高速バスで地元に帰ってきたところだった。早朝6時前。辺りはまだ暗かった。 狭苦しい車内でひと晩中寝付けず、私はひどく疲れていた。 バスを降りると、雨上がりの湿った空気が立ち込めていて、春先の風が冷たかった。 誘蛾灯にふらふら引き寄せられる虫のような気持ちでコンビニに寄り、暖かいお茶とおにぎりを買う。 私のスプリングコ

          ホスト志望の少年に、人生で15分だけ邂逅した話