じろまるいずみ

お料理作家。書籍「餃子のおんがえし」(http://amzn.to/34fXoVm)。…

じろまるいずみ

お料理作家。書籍「餃子のおんがえし」(http://amzn.to/34fXoVm)。唎酒師。おいしいものと、おもしろいもの。たまごと酒。映画と旅と音楽。dancyu、日経電子版、あまから手帖など色々書いてます。仕事のお話はTwitterのDMが嬉しいです。@jiromal

マガジン

  • まるのつかない日は料理本デー

    料理本好きの、料理本による、料理本のための、料理本エッセイ

最近の記事

初場所ワークショップはこんな感じでした(ポルトガル肉じゃが美味かったの回)

ネットのおかげで情報のスピードが段違いに早くなり、知らない国の言葉もGoogleのおかげですぐ読めるようになった。SNSを見れば世界中の食いしん坊が我も我もとうまそうな写真を乗せ、おかげで「この〇〇という料理はパスタを指定の倍の時間ゆでてグダグダにすると、現地の学食っぽさがでる」など余計な知識まで入ってきちゃったりする。 ネットでは若い頃に得た知識の答え合わせまでできてしまう。最近でいえば「キビヤック(鳥をアザラシに詰めて発酵させたイヌイットの食べ物)は肛門から吸って食べる

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    • 薄っぺらぺらで味気ないと嫌っていたものが、実は清々しい軽やかだと気づいた話

      うちの中学にはHくんという伝説のモテ男子がいて、誕生日にはプレゼントを渡したい後輩が列をなしていたとか、バレンタインの時はチョコがカバンに入りきらなくて先生に紙袋をもらって持ち帰ったとか、卒業式ともなれば制服のボタンが一瞬で袖まで無くなっていたとか、数々の武勇伝が聞きたくもないのに聞こえてきた。 なんで聞きたくもないかというと、私にはその魅力がまったくわからなかったからだ。野球部でエースで4番のすごさがわからなかったのはこちらの落ち度だが、成績も普通だし、面白い話をするわけ

      • じろまる初場所ワークショップのお知らせ(改訂版)

        はい、初場所始まります!全員参加してー 今回からだし巻きを定期にします(改訂前のことは忘れてください)。 その日人類は思い出したんですよ、じろまるの原点はだし巻きだと。だし巻きをメインにしなくてどうするんだと。今まで数々のバリエーションを作ってきたのは、何のためだったんだ?と。 というわけで、毎回いろんなだし巻きをお出しします。いつどれに参加しても、必ずJIROMALのだし巻きが食べられる。めでたい。 じろまるの料理は和洋中エスニック何でもあり。ウケねらいの奇抜な料理は

        • 朝食バイキングという人類最高の発明の、さらに最高つまり最高オブ最高を知った朝

          縁もゆかりもない土地で年末年始を過ごすようになってから、2年が過ぎた。ルールは1つ、行ったことのない街であること。出張がちな人生ではあったが、客先も偏っていたし、まだまだ未踏の地はたくさんある。どんどん衰える体力やこれからの人生を考えると、せめて47都道府県くらいは制覇したい。知らない街の知らない文化をもう少し知りたい。そういったわけで去年は仙台、今年は新潟へと向かった。 ルールは1つと言ったがもう1つあった。それは県庁所在地、もしくは浜松や四日市のように県庁所在地並みに栄

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        • まるのつかない日は料理本デー
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        記事

          おでんでごはんは食べられない

          前にどこかに書いたかもだが、実家のおでんとは「大鍋にありったけの練り物と大根を突っ込んで強火でガーっと煮たやつ」のことだった。すべての練り物から味が抜け、かといって大根にその味を含ませるには煮る時間が足りず、ちょっと固くて、ちょっと苦くて、子供には苦行でしかない代物。味もあるんだか無いんだか中途半端で、何を頼りに飯を食べたらいいのかよくわからない。正直おでんの日は心の底からがっかりしたものだ。もしかしたら「がっかり」が口に出てしまってたかもしれない。 母はとても料理が上手な

          おでんでごはんは食べられない

          飲んでるとき何か食べたくなって

          酒を飲むのに何かちょっとつまみたい。それは古今東西共通の心理だ。何もいらない、酒さえあればという人は激レアだろう。たまに「通は塩で飲む」と気取る人もいるが、ちょっとイキりすぎだ。だいたいの人は何か食べて、それを洗い流すように酒を飲む。 こんなワークショップやっていながら言うことではないが、正直つまみなんて何でもいいと思う。その日食べる今夜のおかずで飲めばいい。買ってきても作ってもいい。ドカンと3玉使った山盛りの焼きそばでもいいし、王将と味の素の餃子食べ比べでもいいし、ソリッ

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          飲んでるとき何か食べたくなって

          家飲みおつまみワークショップのお知らせ

          4ヶ月ぶりにワークショップやります!全員来て!今回の テーマは「家飲みおつまみいっちょかみ」。うちのリアルおつまみを5種類、そのうち2つくらい自分で作ってもらって、あとはレシピの説明と試食、ついでにひとつの素材からどうやってバリエーション広げていくかのお話なんかしようと思います。 内容は肉もの1種、魚もの1種、春巻きも1種類入れようかな。いつもの食材なのにお店みたいな一皿になるよ。おつまみ=良きおかずでもあるので、お酒苦手でも大丈夫☆ うちのオットなんか最初からごはん食べて

          家飲みおつまみワークショップのお知らせ

          どの人も目玉焼きをよく食べている

          私はX(旧Twitter)のハッシュタグ「#ありのままの朝ごはん」がとても気に入っている。その名の通り、実際に食べている朝ごはんを写真に撮って投稿するだけなのだが、ごく当たり前の日常がそこにはある。朝から料理なんてしていられるかとばかりにカップ麺やヨーグルトで済ます人、逆にご職業はシェフですかと聴きたくなるよな華麗なテーブルの人、家族のお弁当の残りをかき集めたワンプレート、食卓に出した瓶詰めの中身が日々減っていくのがわかるテーブル、どれも愛おしい。 住むところも違えば仕事も

          どの人も目玉焼きをよく食べている

          養老院サンバ

          それはまだ私が出張に行って行って行きまくっていたころ、ちょうど月イチで大阪のニューオータニに行くのっぴきならない用事があったころのお話である。 自著「餃子のおんがえし」にも書いたが、私は客先と現地のうまいものが完全に紐づいている女だ。名古屋市内の担当先を回る際も「今日はA社とB社を回るから、先にAを片付けてからBの近くでパスタ食べよう」とか「C社に16時か〜。なら直帰することにして近くの焼き鳥行っちゃおう」とかほくそ笑んでいる女である。大阪なんて行ったらさあ大変だ。仕事の動

          世界で1番太る食べ物

          誰から聞いたのか、何で読んだのかはすっかり忘れてしまっても、その情報だけは記憶に残り、いつまでも人生に影響を与えていることがある。 たとえば「鈍行」だ。 今は各駅停車と言わないと通じないらしいが、昭和の時代あれは「どんこう」と呼ばれていた。実家の最寄り駅は、1日に2本くらいの特急以外すべて鈍行だったため、なんなら列車のことを「鈍行」と呼んですらいた。それくらい身近な言葉だった。そんなある日、誰かが私に言ったのだ。 「うどん粉って、鈍行からつけられた名前なんだって」 い

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          私はもっと怒っていい

          他人の悪口で笑うより、自分の話で笑わせる。それが私のモットーだ。なので自分のすっとこどっこいなネタはたくさん保存している。もとより迂闊。さらに不器用。おまけに早とちりだからネタに困るということはない。すっとこネタだけでなく「変なもの見た」とか「信じてもらえないかもしれないけどすごかった話」とか「こんなひどい目にあった話」なども各種取り揃え、目の前にいる人をワハハと笑わせることが生きがいである。 1番に話を聞くのはもちろんオットである。一緒に住んでいるし、リモートのおかげで朝

          私はもっと怒っていい

          食マイノリティのみなさんへ2

          以前「みんな大好きだから大っぴらには言えないけど自分はなぜか嫌いなもの」についてnoteに書いた。今回はその続編である。 今回は卵3連発だ。 諸君、私は卵が好きだ。本当に好きだ。「私の愛する食材ベスト3」とか「最後の晩餐に食べたいものランキング」とか「冷蔵庫になかったらめちゃくちゃ機嫌悪くなる食べ物5選」とかを問われたら、まず1位は卵だろう。初めて1人で料理したのも卵だし、人生で最も多く料理したのは間違いなく卵だし、初めての著作で1万字を費やしてまで暑苦しく語ったのも卵だ

          食マイノリティのみなさんへ2

          MMK(モテてモテて困る)

          定期的に打ち合わせをする若い女子Kは本業以外にもいろんな副業をしているため、いろんな職場のいろんなタイプの人との出会いが多く、彼女の話を聞くのは私にとっても大変楽しみである。 Kの目下の悩みは、スキあらばマウントを仕掛けてくるAさんの存在だ。Aさんのマウントタイプは「MMK」つまり「モテてモテて困る」アタクシという存在を設定し、そのキャラづけに基づいた自慢話をするというものだ。 実際、ようおモテになる人というのは存在する。 違う違う、そうじゃない。若くてキレイだからチヤホ

          MMK(モテてモテて困る)

          カツ丼で爆発した

          1983年、高山へ女子旅をした時の話だ。あの日は大人の階段を大いに登ってしまった。大人の女性が数人で旅をする時はどうするのが「普通」なのか知った日である。あらかじめ「東京駅出たらすぐガンガン飲むぞ」と打ち合わせ済みの旅以外は、カツ丼とビールはやめろと知った日でもある。次からは「午後の紅茶とアルフォート」でばっちり決めるぞと決意した日でもある。83年にはまだ午後ティーなかったけど。 でもカツ丼、美味しいよねえ。私は物心ついた時にはもうカツ丼が好きだったと思う。還暦を超えた今で

          カツ丼で爆発した

          世界三大焼きそば

          誰にだって思い出の買い食いがある。特に学校の近くに必ずある、代々の生徒たちを何十年と見つめてきたような店は思い出の宝庫だ。校門の前にあった店、体育館の脇の知る人ぞ知るケモノ道の先にある店、自転車組は気づかないが徒歩組だけが知ってる裏道の角っこにあるような店。みんなそこに数々の青春を置いてきた。お金があれば買い食いし、お金がなければ友達からひとくちもらい、偶然居合わせた金持ちの先輩がおごってくれようもんなら店が壊れんばかりの大声で歓喜した。私の母校・安房高の場合それは「小倉商店

          世界三大焼きそば

          とにかく痩せるカレーワークショップ募集開始

          だいたい月イチでやってる「#じろまるワークショップ」 今回のテーマは ★とにかく痩せるカレー実際に居酒屋JIROMALで「とにかく痩せるカレー」という名前で出していたメニューです。当時お客さんに送っていたメルマガには「今日のカレーは例のアレ!ラム枝豆カレー!L-カルニチン!亜鉛!鉄分!タンパク質!イソフラボン!ビタミンB1・B2!メチオニン!カリウム!とにかく痩せる!二日酔いにならない!老化防止!疲労回復!夏バテならない!(薬事法完全抵触)」と書いていました。薬事法的に大っ

          とにかく痩せるカレーワークショップ募集開始