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たおやか日記

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恋人との健やかな日々を紡いでいきます。 SNSをやっていない人なので、記念日にまとめてお披露目しています。 「彼氏・彼女」ではなく「恋人」という言葉にこだわっていると話したら…
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#子どもの成長記録

言葉の奥行き

言葉の奥行き

「このエッセイ、ゆきっぽくて非常に良いね」

去年と同じ場所、同じ時間、同じ服装の君に、
1年間かけて綴ったラブレターを本にして渡した。

時間をかけて、丁寧に読み進める君の横顔が、
この世界の何よりも美しいと思う。

初デートに感じた忘れられない胸の高鳴り、
中々会えずに淋しくなってしまったあの夜、
離れていてもそばにいると実感した日のこと。

木漏れ日の中で、共に振り返る思い出達は、
1人で綴

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未来永劫君は本命

未来永劫君は本命

こんなの、ただの儀式だと思ってた。

“私達ちゃんと友達だよね?”

そんな確認をするために、チョコやクッキーを、夜中に小さくラッピングしてたっけ。

50個作って、似たような物体を50個貰う儀式。
溶かして、固めて、キラキラまぶしたお菓子達。

私は、どこの誰が作ったのか分からないモノを
食べれない人間だったので、名前の書いていない
チョコ達は、全部結局ゴミ箱に捨てていた。

こんな等価交換なん

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一緒に住めば、全部解決するんかな

一緒に住めば、全部解決するんかな

おはよう。おやすみ。今日も楽しいことあった?
これ美味しかったんだよ〜今度一緒に行こうね。
好き。ううん、私の方が好き。

会えない間も同じ密度で、そばにいたいなんて。

やっぱり、私って強欲すぎるのでしょうか。

恋人は、連絡不精だ。

会っている時はとんでもなく饒舌で、些細な
つまらない出来事だって、喜劇に変えてくれる。

君と話す時、いつも世界が煌めいているのだよ。

だったら、きっとLIN

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君色マーブル

君色マーブル

昔から、他人に興味なんて無かった。

何が好きとか、誰が嫌いとか、夢とか、目標とか
全部、本当にどうでも良かった。

うるさい、ほっといてくれ、なんて。

人に何かを言われるのが大嫌いだったのに、
君の言葉だけは、心地よいと感じてしまう。

これはきっと、恋の魔法だ。

「今度のレディクレ、tele出るんだって!!」
私の大好きなアーティストの最新情報を、いつも嬉しそうに教えてくれる。

同じ道を

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またかなんて、思いたくないのに、

またかなんて、思いたくないのに、

どうして、いつも同じ気持ちにさせるの。
あなたなら、もう大丈夫って安心してたのに。

またかなんて、思わせないでよ。

音楽スタジオで働く恋人は、しょっちゅう夜勤がある。仕事が終わって、寝るのは丑三つ時過ぎ。

だから、いつも私の休日に合わせて、午前から
会ってくれる所に、すごく感謝してた。

多少の遅刻くらい、逆にごめん、ゆっくりおいで
なんて、これっぽっちも嫌な気持ちにならない。

だけど、今

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てめえのはんどる

てめえのはんどる

「それでも運転席から降りたらいけないよ」
隣に座る恋人が、真剣な眼差しでそっと呟く。

うん、そうだね。ちゃんと両手で握らないとね。

新進気鋭の人類学者インゴルドはこう考察する。

向かい合うより、横並びの方が親密になれると。

向かい合う時。
それは、相手の背後ばかりを見て、嘘に気づかず
誤魔化し合い、意識が散漫してしまう。

隣に並んで歩く時。
目をじっと合わせずとも、景色を共有しながら、

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好!優!餃!子!

好!優!餃!子!

「美味しそうに包むね。上手だねぇ」

溢れんばかりの肉汁を、ギュッと閉じ込めて。
私のどんな感情も、コンプレックスも、弱点も、
全部まあるく優しく包んでくれるから。

君とだったら、どんな壁も楽しく乗り越えられる
そんな予感が、確信に変わった。

母は仕事でいつも遅く、父の綺麗好きと、私の
大食わず嫌いが重なり、同じ釜の飯を囲んだ
記憶があまりない。

3人家族のカレーは3種類あって、テーブルには

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ゆらゆら海ブドウ

ゆらゆら海ブドウ

「割烹着、欲しいなぁ」

昼下がりの商店街を歩いていると、君が呟いた。

え、エプロンじゃなくて?なんで??
サザエさんのフネが着てるやつだよね??

頭の中がハテナで埋め尽くされていく数秒の間、
「じゃあ作るよ!」なんて勝手に口走ったから。

そうと決まったら、生地探しへ。

素材論の先生が「キッチン周りは麻が最適!」と
言っていたので、リネンコーナーに一直線。

麻は、ミイラを何千年も保管でき

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デタラメ手相

デタラメ手相

いつからだろう。
素直に幸せを喜べなくなってしまったのは。

私には勿体無い程に穏やかで、賢くて、面白くて
いつも肯定してくれて。“こんな私も悪く無いな”
なんて、ほんのり自分のことまで好きになれる。

切符派な所も、スタバの注文が苦手な所も、
私が電車に乗るまでじっと見守ってくれる所も、
いきなり「夢みたい」とか真顔で呟く所も。

本当に私なんかでいいの?って心配になる位に、
過去と比較するのも

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たおやかの似合う君と

たおやかの似合う君と

「シチューみたいに温かい所が好きだよ」
なに、その可愛らしい形容詞の使い方。
私も木漏れ日みたいな君の言葉選びが大好き。

「アレブリヘのガチャガチャあるかな〜」
私がゴリ押しした民族学博物館を心から楽しみ、
いろんな国の楽器や雑貨のお土産を、大切そうに
ニコニコ抱えている所、本当に可愛いなって。

「そんな可愛い目で見られたらドキドキするよ」
最大のコンプレックスだったこの小さな一重を、
可愛い

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