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デタラメ手相

いつからだろう。
素直に幸せを喜べなくなってしまったのは。

私には勿体無い程に穏やかで、賢くて、面白くて
いつも肯定してくれて。“こんな私も悪く無いな”
なんて、ほんのり自分のことまで好きになれる。

切符派な所も、スタバの注文が苦手な所も、
私が電車に乗るまでじっと見守ってくれる所も、
いきなり「夢みたい」とか真顔で呟く所も。

本当に私なんかでいいの?って心配になる位に、
過去と比較するのも申し訳ない程、素敵な人。

だからこそ、今度こそ、絶対に、幸せになりたい
なんて肩肘を張ってしまう事がある。

もう、二度と傷つきたく無いし、失いたく無い。
どうして、顔も思い出せない幻影に、いつまでも
囚われているのだろう。

とっくの昔に、カサブタになったはずなのに、
また同じ所から血が出ないかと不安になる。

あなた、今まで恋愛で苦労してきたでしょ〜
でも、もう大丈夫だからね。うん。大丈夫。

占い師になりきった恋人が、私の手を包んで、
手相を言い当てるように、ニッコリ微笑む。

うん、本当にそういう所が大好き。
さりげなく気遣ってくれて、ありがとう。

長電話して、お散歩して、同じご飯を頬張って。
一緒にいると時間を忘れる程に楽しくて、
帰り際は、いつもちょっぴり淋しくなって。

そういう1つ1つの現実と、可愛い貴方が紡ぎ出す
温かな言葉や、誠実な行動を忘れず抱きしめて、
零さず、明日へと運んでいくことが出来たなら。

漠然とした将来への不安を軽々と放り投げて、
隣を歩く君の横顔をそっと慈しみながら、
少しずつ、一歩ずつ、前に進みたいな。

デタラメの手相をぎゅっと握り合わせながら。

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