邪道作家第七巻 猫に小判、作家に核兵器 勝利者の世界 分割版その3
新規用一巻横書き記事
テーマ 非人間讃歌
ジャンル 近未来社会風刺ミステリ(心などという、鬱陶しい謎を解くという意味で)
縦書きファイル(グーグルプレイブックス対応・栞機能付き)全巻及びまとめ記事(推奨)
3
何かを得ることは、何かを失うことでもある、という場合もあるらしい。
人間の兵士はゲーム感覚で人間を殺すことは出来ない。どんな方法を使っても「心」がある以上「良心の呵責」が耐えられないそうだ。
人を率先して殺しておきながら悩む、というのは、私には理解し難い噺だ。道徳みたいなモノに悩むのは、それはそれで人間の証って気もするが・・・・・・悩めば済むという噺でもあるまい。
対して、アンドロイドにそんな感傷は無く、実に有用な兵器「だった」のだが、人間性を獲得し感情を手に入れた彼らは、人を殺すことに罪悪感を抱くように成ってしまった。
今では無人ドローンが主流だ。それも流行みたいなもので、世論によってまた変わるだろうが。 自分で考えながら行動できる兵士、というのは無人兵器よりもかなり有用で使えるのだが、皮肉なことに種としての自負を手に入れたからこそ、彼らは戦いから遠ざかった。
私には共感できない噺だ。
そうやって罪悪感に押しつぶされそうだと、自分は良心の呵責に苦しんでいるのだとアピールしたから何だというのか・・・・・・それで死人が生き返るわけでもなし、必要とあらば他の生物を殺すことは、生物として何もおかしくないだろうに。
不要な狩りを動物(まぁ人間も動物だが)はしないと聞くが、そもそもそんな事で悩むなら資源や豊かさを諦めて苦しんで死ぬしかあるまい。それが嫌なら殺した方が、豊かになれる。
殺せば殺すほど豊かになる。
この世界の基本だ。
誰が何を言おうが、ただの「事実」だ。
殺すことが罪悪だとか、そんな訳の分からない基準そのものが、世間に流された結果と言える。生物が生物を殺すことは、珍しくもない。
罪悪感、なんて言うのは、当人が自分を慰めるために、誤魔化すため使っている麻薬みたいなものでしかない。何の意味も価値も無い。
ただの自己満足だ。
下らない。
良くそれで満足できるな、お前等。
他にやることはないのか?
最近ジャックや他の奴らが、私のことを恐怖そのものみたいに語るのは、それが原因だろう。彼らにはどう足掻いても「心」が有る限り、だが・・・・・・そういうことを何も感じずに行うことは、出来ないらしい。
それ位出来る奴はいそうな気もするが、まぁ言っても仕方有るまい。とにかく、そういうことだとしても、持ち上げられたところで私は何もするつもりはない。金なら払わない。それは確かだ。 心なんて有ってもなくても同じだと思っていたが、至極どうでもいい事で縛られているなと、そう思う。はっきり言えば、蟻を踏みつぶして殺そうが人間を切り捨てて殺そうが、同じだ。
何も変わらない。
勝手な罪悪感、その自己満足があるだけだ。
どうでもいいがな。
最近は何事も「ハイブリット化」が進んでいる・・・・・・元々は「優れた作物を作る」という名目で始められた「技術」だ。ハイブリット作物は染色体の形が異形と言って良く、平たく言えば「優れてはいるが、一代限り」の技術だ。後に続けることを考えないからこそ、優秀で優れた作物を増産できる。
人間のハイブリット化。
出来る。無論、理屈の上では、だが・・・・・・染色体以上で生殖能力は失うが、代わりに「恐怖を感じず、人間の限界を超えた人間」を「量産」できるのだ。中々実用化はされないかと思われたが、宇宙へ人類が切り出した頃から「法の概念」はバレないところを探せばどうとでもなるものへ変貌した。元々「バレないように」人体実験を行うのは「基本」だったが、広い宇宙空間でそれらを取り締まることは不可能だ。だからこそ今までとは違って、「バレなければ何をしてもいいし、金と権力が有れば絶対にバレることは無い」時代へと突入したのだ。
今までで有れば、絶対にバレない、なんてことは不可能だったからこそ権力者でも捕まるケースが無いでもなかったが、その可能性は完全につぶされたと言っていいのだろう。現に、ハイブリット人間の売買(女と傭兵は高く売れる)が横行することとなり、今回のパイプラインが引かれているような未開の惑星では、それは顕著だ。
人身売買も奴隷売買も、実に堂々と行われていた。
私はその市場にいた。別に誰かを買うわけでも無いのだが、こういう場所でしか会えない人間がいるのだ。仲介屋、とでも言えばいいのか。この極寒の惑星の中で行動するには、それなりの準備が必要だからな。
寒い。
火星はどうやら冬のようだ。季節なんてあるのかも知らないが、この市場周辺ですら、少しばかり身体が冷えた。私は安く売られている少女や傭兵(恐らくあれらもハイブリット化によるクローンか元々奴隷だった奴らだろう)を眺めながら、火星の市場を散策した。
別に私は良い子ぶるつもりもないので、まぁ普通だな、と思った。奴隷の売買など、人類の歴史を遡れば良くある噺だ。別に珍しくもない。
弱ければ奪われるのは当然だ。
弱く産まれたことを、呪う以外無い。
逆に言えば強い人間、いや持つ側の人間が奴隷を買ったり売ったりするのも、当然と言える。持つ側が何をしようが、裁く存在は無い。そんなモノがあれば、人間は戦争をしたりすまい。
持っていれば、何をやっても許される。
それは真理だ。
まぁ品性までは買えないようだが、私にはあまり関係がない。どうでもいい。良くある噺だ。
売られた少女が食い物にされ死んだ方がマシな人生を送ることも。
傭兵にされた男が使い捨ての駒のような人生を送り、無駄に死んでいくことも。
良くある噺。
別に珍しくもない。
だからどうでもいい。
少なくとも、私の興味は沸かなかった。
理不尽など、どこにでもあるではないか。
それが正される事なんて、ありはしない。
正せることも、無い。
それが出来るのは「持つ側」だけだ。
そして持つ側の人間はそんなことはしないし、している風に見えても、実体は底の浅い偽善だったりするのだから、良くできた噺だ。物語と違って、世の中は「勝てるから勝てる」という、子供の言い分みたいなルールに支配されている。
どうでもいいが。
どうでも良くないのは、金だけだ。
金だけが、重要なのだ。
少なくとも、私にとっては。
だからこそ有能な人間が「人生に手応えがない」などと抜かす理由は、私にはわからない。手応えが有りすぎて、むしろ何一つ絶対に上手く行かない、どころか普通の人間が普通に出来ることすら、まともにこなせない、私からすれば、だが。
余裕有る人間の言い訳にしか聞こえない。
ハイブリットだろうが生まれついてだろうが、有能で有れば人生楽ではないか。
楽であるにこしたことはない。
手応えだの何だの、そんなモノは余裕がある人間の我が儘でしかない。よくまぁそんな暇な台詞が溢れるものだ。
勝てばそれでいいではないか。
奴隷を売買しようが人間の尊厳を踏み砕こうが勝てば正義だ。いや、この場合正義かどうかはどうでもいい。正しくなくても構わない。実利が得られれば他など些細なことだ。
そう考えているからこそ、こんな市場が開かれるのだろうに、不思議なことに読者という奴らは綺麗事を好むのだ。理不尽が知恵と勇気で覆されたり、意志の力で運命が変わったり、そういうあり得ない絵空事でなければ、納得しないのだ。
訳がわからないが、分かる必要すらない。売れれば傑作だ。売れればそれでいい。内実など知ったことではないしな。
それこそどうでもいい。
意志の力で運命が覆せる、などという物語を好むような、現実を見てすらいない馬鹿共の思考回路などどうでもいい。金、金、金だ。
だから今回もそういう「綺麗事」を描きつつ、読者が吐き気を催すような作品を書くための、作品のネタ探しの意味合いも強かった。このまま標的の所へ行くだけでは、些か味気ないだろう。
だから、こうして非合法な市場などを巡回して時間をつぶしているわけだが。
色々、いや「何でも」そこでは売られていた。当然だ。法律だの倫理観だのを守る必要がなければ、誰だってそうする。法治国家で法律が守られているのは、別に治安が良いからそう成っている訳ではない。ただ単に、守らなければいけない、から皆そうしているだけだ。
その鎖が解かれれば、こんなものだ。
喜々として、男は女を買い、女は男を買っていた。薬を吸う奴も珍しくはない。どころか、人間と動物を配合した所謂「キメラ」も作られて売られていた。クローン人間は大安売りされているし奴隷を手に入れるだけなら、ことかかない場所だと言える。
ただの事実として、そう言える。
まぁ、別にこれくらい、誰も「見ようとしてこなかった」だけで、別に珍しくもない。良くある噺でしかなかった。
毒物や薬物、気に入らない奴を洗脳する機械類から、兵器や爆弾も普通に売っていたが、個人的には意外性が無く、正直つまらなかった。
こんなの、良くあることではないか。
どこでもやっていることだ。
金の概念が有る場所なら、そしてそれを出来る人間で有れば、誰でも。
やっていることだ。
ただの事実だ。
倫理観など、守らなければならない貧民の義務でしかないしな。
人間を生きたまま家具にしたりもされてはいたが、如何せんアイデアだけなら大昔からある。あまり珍しいとは言えない。
後は、精々が兄弟を殺し合わせたり、家族同士交わさせたり、「裏切りゲーム」と言うのだろうか。愛し合うもの同士を殺し合わせたり。
もう少し物珍しいモノは無いものか。
これではつまらない。
読者も納得すまい、刺激が少なすぎる。
「発想が貧困な奴らだ」
と愚痴をこぼしてはみたが、なら何か考えるのが作家という生き物だ。
何かアイデアは無いものか。
「うへぇ。俺には耐えられないね」
手元の端末の愚痴は無視して、考える。
何だろうな・・・・・・生きたまま苦しむ姿を、いやそれこそありきたりだ。ならいっそ死体を痛めつけるとかだろうか? だが、死体は悲鳴を上げないし、正直途中で飽きるだろう。
「先生、良く平気だよな」
「ふん、下らん。「良くあること」だ。人類史を読みほどけば、これくらい珍しくもない」
「でも、実際に経験するのとでは別だろう」
「いや、別に?」
何が違うんだ? 臭いか? 確かに、少し臭いコーナーも多いが。それはそれ、こういう市場だからこそ有る程度清潔に保たれている。
個人的には清潔な部分には感心した。
「そこじゃねぇよ」
「下らん。倫理的に悪いからか? だが、そんなことを言えば、畜産なんて食べられないではないか・・・・・・やっていることは正直、これよりだいぶ酷いが、誰も気にすまい? 動物が幾ら苦しんで肉塊になろうが、自分たちは痛くないからだ。私も同じだ。むしろ自覚がない分、私などよりも、自覚無く畜産を笑顔で食べたり、あるいは植民地でのニュースを見ても、自分たちの食事に集中できて「怖い時代になった」とか、言える人間の方が、酷く非人道的だと思うが?」
「・・・・・・確かに、そうだけどよ」
「事実、だ。おまえ達はただ「事実」を見ようともしていないだけで、これくらい普通にニュースを見ていても、良くある噺ではないか。目の前にそれが起きて、自分と関わりを持ったときだけ、こんな酷いこと許せない、だとか、よく言えたものだ」
「なら、先生はこういうことを許せるのか?」
「どうでもいい。私個人に不利益を出さないか、どうか。ただそれだけが重要だ」
「あんた最高だよ」
他になにがあると言うのか。
「文明人」ぶっていたいだけなら、自宅でやっていればいい。それを私に押しつけるんじゃない・・・・・・迷惑だ。
「あまりグロテスクを追求したところで、正直見苦しいだけだしな。見た目も重要だ。ジャック、お前も何かアイデアを出せよ」
「ええ、嫌だよ」
「いいからさっさとやれ」
「つってもな」
と言って、煙草でも吹かしたかのような間を開けてから、奴はこう言うのだった。
「人間に、綺麗な部分なんて、あるのか?」
思わず笑いそうになったが、こんな人前で笑いまくるのは礼節に反する気もする。気がするだけかもしれないが、まぁいいだろう。
「俺には正直、わかんねぇよ。愛だの友情だの、そういうのは先生の書くような「物語」の中でしか、お目にかかったこともねぇしな」
「意外だな。てっきりお前は、人間を擁護するものだと、思っていたが」
「今でもそのつもりさ。だが、こういうのを見たからって訳じゃない。俺は人工知能だからな、感傷はないさ。だが、人間が作るモノは美しくてもそれそのもの、人間そのものに「良い部分」なんて客観的に見ても、あるとは思えないんだよな」 客観視が得意な人工知能だからこそ、そういう結論にもなるのか。結論など事実に比べれば、やはりどうでも良いことだが。
「そうだな、少なくとも意志の尊さや勇気、愛情や友情、努力による勝利や知恵と英知による策略で、格上を上回る頭脳戦。こういったものは全て「フィクションだから」成り立つものだ。別に現実に有るわけではないし、意識したからそう成るものでもない」
「じゃあ、何で人間はそういう「物語」なんて読むんだよ」
「さぁな。私からすればどうでもいいが」
我ながら作家の台詞とは思えないが、しかし実際、売り上げ以外などどうでもいい。
私の目的は金であって、物語を書くのは事のついでと言ってもいいのだ。自己満足が出来れば、売り上げ以外などどうでも良さ過ぎる。
「夢を見たいからだろう」
現実には夢なんて無い。「勝てる人間が勝ち、負ける人間は負ける為、勝つ人間の肥やしになる為だけに、存在する」という「事実」を、幼少期には大抵、持つ側でなければ実感する。
だから物語を読むのだ。
せめて夢だけは見たいから。
この理不尽な現実にも、「いつか良い事があるかもしれない」と、そう思いこむ為に。
「つまり自分自身を騙して現実の痛みを誤魔化すためと言って良い。麻薬みたいなモノだ。鎮痛剤の役割が果たせれば、読者は満足する」
「・・・・・・何か、聞かなきゃ良かったぜ」
「事実、だ。事実から目を背けるのは勝手だが、それで私に怖いだの人間じゃないだの、詰め寄られても迷惑だが」
文句を言われるのは目障り耳障りだ。ゴミが散らかっていて不機嫌にならないほど、私は懐が広くあるつもりも、特にない。
邪魔なら始末するだけだ。
相手が何であろうとも。
「夢とか希望とか、色々あるんじゃねぇのかよ」「だから、それは物語の中であるだけだ。疑似的に希望を魅せたところで、何か良いことが現実に有るわけでもない」
これも事実だ。ただ希望のある結末を見て、ああだったらいいなぁと、そう思うだけだ。
「そんな、もんかな」
「世の中、そういうものだ」
そもそも素晴らしいモノはすべからく高値がついている時点で、察するべきだ。この世界にある素晴らしさなど、所詮値札を付けられるモノでしかない。博愛の行動ですら、金がかかる。
博愛によって笑顔が得られた所で、そんなモノは何も救いはしない。何かを救うのは金の力でしかないのだ。飢えも貧困も、根底にあるのは人の意志であり、人の心だが、それを物語が影響して変えた、などという噺は生憎、聞いたことが無いしな。
現実には物資を金で買って送ればいい。
それで病院でも作れば英雄さ。
どうでもいいがな。
それに、恥知らずで醜い、という人間の修正を調べるために、私はつい最近、少しばかり実験を行ったのだが、それを省みれば、人間の最も醜い部分というのは、その浅ましさだろう。
こんな実験をしてみた。
私の作品を無料で公開してみたのだ。無論、無料サイトで作家気取り、というか作家ごっこを死ている人間と、私の作品が同格な訳がない。読めば違いが分かる程度には、全てが違った。
だが、それに対して金を彼らが払ったかと言えば、答えはNOだ。あとがき部分に口座番号を張ったりしてはみたが、なんと全員が全員、全く金を払わなかったのだ。
最後まで読んで満足しておきながら。
金は払わない。
それでいいと思っている。
相応しいサービスに金を払うのは当然だ。彼らが何故金を払わなかったかというと「払わなくても良かった」からだ。サービスの性質上そうなっているから。恐らくはそんな「言い訳」で自分を誤魔化し、勝手に満足しているのだろう。
やっていることはただの泥棒だが。
読者ですらない。
だが、彼らは自分たちを「素晴らしい読者」だと思いこんでいるのだ。その上、評論家気取りで自分たちに相応しい態度をとれ、と浅ましくも要求することすら、出来る。
分を弁えていないから。
金も払わずそんなことが出来る。
流石に怒りを通り越して唖然とした。人間って生き物はここまで「劣化」したのかと、愕然としたものだ。
デジタルサービスの普及に伴い、人間は口と態度だけは「大きく出る」ことが出来るようになった。と言っても、それこそ「誰かに偉そうにしたい」というしょぼい欲求のなれの果てでしか無くそんな「デジタル上で態度の大きい人間」は、実際に試してみたが、「誰にでも出来ること」すら出来ないような、無能の極みだった。
無能だから、吠えるのだろう。
見苦しい限りだ。
読者を気取っている、金も払わず本を立ち読みして、あまつさえ「無料サービス」なんて頭の悪いモノを喜んで使う馬鹿こそ、人間の最も醜悪な部分をかき集めた出来損ないだと、確信を持って呼べる。
デジタルコンテンツにしがみついている人間など、生きていなくても良い。
誰も困らないからな。
ふと見ると、奴隷市場の人間達は、実に楽しそうに笑っていた。
まるで自慢のペットでも、自慢するかのように・・・・・・実際そうなのだろう。
彼らがどうの、と言うよりは、彼らの立場に立てるので有れば、きっと「今奴隷にされている」人間ですら、同じ事をするだろう。
自分は痛くないから。
自分が、不利益を得なければ、そんなものだ。誰でもそうする。程度の大小があるだけだ。奴隷にさえている側でさえ、きっと同じだろう。
立場が違えば主張も変わる。
やってることは同じだ。
誰でも。
まるで魚市場みたいだなと、何となく思った。まぁ魚も人間も同じ生物だ。間違ってはいまい。 売る側と買う側からすれば、同じだ。
持つ側は何をしても「正しい」これは資本主義経済を認めた奴らの責任であって、正直私にはあまり関係がない。どうでもいいこtだった。
だから別に救おうとも思わなかったし、哀れだとも思わない。窮地になった人間を助ける義務が倫理的にあるとか宗教家のボスなら言いそうだが生憎、私は別にどれだけ窮地でも誰かに助けられたことなど、ありはしない。
私には適応されないが他の人間には適応されるルールなど、尚更知らん。
勝手に助け合えばいい。私は利益だけを頂く。嘘臭い、いや「嘘そのもの」の偽善よりも、誰だって実利を選ぶ。女を買う人間も男を買う人間も根底にあるのは全ての人間が持つ「自分以外などどうでもいい」という心構えだ。
だから知らん。
勝手にやっていろ。
まぁああいう類の人間が、ロクナ末路を辿らないのも有る意味「事実」らしい。私は直接見たわけではないが、所謂「ちやほや」と言うモノに、少なくともここにいる人間たちはきっと慣れてしまっているのだ。それは権力であり、名誉であったりするのだろう。
思うに「人間性」というモノは「成長しない」と私は思う。別に酷い目に遭おうが、借金を繰り返す有名人の姿は枚挙に暇がない。そうではなく忌々しいことに、だが、敗北や失敗、私が味わってきたような「屈辱的な何か」というのは、人間に「分を弁えさせる」のだ。
弁えるから、無理はしない。
無論これは交渉事で手を抜いたり、弱気に出たりする、という意味ではない。ただ、意味もなく自分を偉いと勘違いしたり、簡単に言えば「足下が疎かになる」ことが少なくなるだけだ。
分を弁える。
あの女の忌々しい台詞通り、など。
実に腹立たしい。
とはいえ、私は彼らと違って別に今までの人生で、何か良い思いをしたわけでもない。そんな生き方を送っていれば、私は作品など書いていないだろう。
だから関係のない噺だ。
私の作品が金になってはいけない理由には、断じて成らないだろう。
言っても仕方がないが・・・・・・あの女の言に従えば、そもそも虚実とも言える「金」とは、概念からして多くあろうが少なくあろうが同じ、ということになる。これは精神論とかではなく、実際的な問題として「金を多く持とうが、結局は保有するのは銀行であり、分を越えて使えばどれだけ持っていようが破滅するので、多く持つことには、「過程が違うだけで「結果」は同じ」であり、やはり意味のないことだということだ。
それでも私は金が欲しいが。
有るに越したことはないではないか。
少なくとも、金がなくて満足するような人間性は、持ち合わせていない。というのも嘘なのか? だが、少なくとも「誰かの都合」でいいように扱われることは無いはずだ。有ったとしても、はねのければいい。
私はどうでも良い連中のために、自分を犠牲にするつもりは毛頭無い。
読者の事などどうでもいい。私は私の為に書いているのだ。だから、私の幸福が「他の何か」を優先することで、蔑ろにされることは決して、あってはならないのだ。
「先生はどうしてそんなに強いんだ?」
「私が強い?」
ジャックが市場を眺めながら移動中の私に、そんなことを続けて聞いた。
「おだてても、何も出さないぞ」
当然、どう持ち上げられようが落とされようが何も支払うつもりはなかったが。
「いや、むしろ俺は怖いよ。本当に怖い。先生はこの異様な光景を見て、どうして動じないんだ」
「私が動揺したら、世界は良くなるのか? ここにいる奴らが突然心変わりして、奴隷は解放されみんな笑顔になるか?
「ならないけどさ」
「なら、構わないだろう。現実に影響を与えられないなら、テレビ越しに見ているのと「結果」は「同じ」だ。無論私はテレビ感覚で生きている訳ではないが、文明人ぶって無駄な行動をすることが嫌いなだけだ」
「俺は先生に心がなくて良かったと思うよ。こんな行動が出来る人間に「心」があるとしたら、正直言って気持ち悪いからな」
「そうか」
正直に意見を述べるのは自由だが、私の最低基準では、私に「舐めた真似」をする奴は、問答無用で始末しても良い、と辞書に書かれている。無論辞書の内容は私の気分によるモノだが。
だから私はこう言った。
「それはそうとして、ジャック。私にそんな舐めた口を聞いたんだ。私は私に舐めた真似をした奴には、「当人の大切なもの」を無惨に失わせることが最近の趣味でな。23ギガバイトにも及ぶ、お前の電脳アイドルおっかけブログだが、たった今削除した」
それも数十年分はあった。
私は今日端末を二つ持って来ていたので、片方を使って消したのだ。
「・・・・・・まじで?」
人工知能もショックを受けるらしかった。
「何なら電脳アイドルそのものを、有能なハッカーに依頼して消し去っても良かったが、何、私とお前の中だ。舐めた口を聞いたツケは、この程度で構わないさ」
「いつか殺してやるからな」
「怖いな。その際は例の電脳アイドルも道連れにならなければいいが」
「・・・・・・わかったよ、悪かったよ」
「悪かったかどうかではない。態度の問題だ」
それに、心がないと思うなら「もしあったら」云々の噺をして、私に舐めた口を利くんじゃない・・・・・・私がストレスに感じないように、丁寧に言えばいい。
今回はたまたま作品の売り上げのことを考えていて気分が悪かったので、ただ八つ当たり的に、ジャックを虐めただけとも言えるが。
細かいことは置いておこう。
どうせブログなんて、また書かせればいい。
他人事だから、どうでもいいのだ。
「はぁ・・・・・・まぁいいさ。最近、あのアイドルマンネリ気味だったからな」
「そうなのか」
後々恨まれてもかなわないので、何か餌をちらつかせて懐柔しようかと迷ったが、本人が納得しているなら別に構わないだろう。
どうでもいいしな。
結局の所今回の取材の目的は「私に足りない何か」を求める旅でもあるのだ。無論、作家としてではなく作品に、だが・・・・・・それくらいの自負があるのは当たり前の噺で、語るべきでもないか。 私は歩を進め、とある仲介人の家へとたどり着いた。
そこには「等価交換」という言葉がラテン語で書かれている看板があり、古くさくも懐かしい西部劇のような、時代から切り離された空気を纏っているのだった。
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例の記事通り「悪運」だけは天下一だ!! サポートした分、非人間の強さが手に入ると思っておけ!! 差別も迫害も孤立も生死も、全て瑣末な「些事」と知れ!!!