死花-第1話-④

死花-第1話-④

「……15時か。」 件の万引き事件から数日経ったある日。藤次は図書館にいた。 あの一件以来、妙に絢音が気になって、何度かこの図書館内をウロウロして、彼女がいるのを探してみたりして、職員に怪しまれたりしていたが、他に絢音と出会う術を知らないので、今日もまた、児童コーナー付近の学習スペースで新聞を読みながら、絢音が来るのを待っていた。 自分でもアホらしいとは思っていた。 それに大体、会って何を話せば良いと言うのだ。 災難でしたね。とでも言えば良いのか。 今後は気をつけ

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一緒に読みたい「よりみち・二」第二十三話

一緒に読みたい「よりみち・二」第二十三話

長編小説「よりみち・二」は全二十九話になります。一緒に「よりみち・二」の夏を味わって頂けますと大変嬉しく思います。    いち 最初からお読みになられる方はこちらです。 一つ前のお話からお読みになられる方はこちらです。      二十三 「あり得ないわ」 「どうして」 「見縊らないでって、言ったでしょう。仮令私の方が彼女を傷付けるような事が在っても、彼女が私を傷付ける事はありません」 「どうして言い切れるの」 「其れが信頼だからです。私は真瑠ちゃんを信頼してる。其れだ

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28 在りし日の決意

28 在りし日の決意

「ええ、あなたを生徒会に迎え入れますわ」 「あ、ありがとうございます!……、はぁーよかっ、、、た、、、あ、れ、、、」  メルティナがようやく緊張の糸を解いて息を大きく一つ吐いた。余程の緊張感だったのだろう。思わずふらりとよろめいたメルティナをシュレイドが肩に手を添えて支える。 「メルティナ。大丈夫か?」 「う、うん、ありがと」 「メル!! 凄いよ!!」  ミレディアもメルティナの健闘の様子に熱が入っているようだ。実際に戦うという行為以外にもこんなにも熱が入る事があるのか

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#11 最後の課題 〜秘めた過去と隠された陰謀〜

#11 最後の課題 〜秘めた過去と隠された陰謀〜

果てしなく長い道のりに思えたグループ会社全体での合同新入社員研修がようやく終わりを迎えた。 合同研修の2日目からはクラス単位で本格的な研修が始まったが、当然、初日以上の試練が立ちはだかることはなく、暫しの平穏が鉛のように硬直した僕の心を徐々に和らげていった。 子会社の僕は当然のように研修室の1番後ろの席だった。 それもあってか、大勢での研修は安心してよく眠れた。 というより、積極的に寝てやった。 自社でのマンツーマン研修で地獄のような睡魔との戦いを経験した当て付けだ

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一緒に読みたい「よりみち・二」第二十二話

一緒に読みたい「よりみち・二」第二十二話

長編小説「よりみち・二」は全二十九話になります。一緒に「よりみち・二」の夏を味わって頂けますと大変嬉しく思います。    いち 最初からお読みになられる方はこちらです。 一つ前のお話からお読みになられる方はこちらです。     二十二  妹はまた突然来た。最初のと二度目の襲来の間隔よりも時を置かずにやって来た。本家の台風は、南の海上で発生しては、勢力を増しながら列島や、大陸を目指すものである。その度名前を付けられている。だからと言って愛着は沸いてこないのがあの渦の不思

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トカナ 寄稿の 直近記事URL

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