小説|朝日町の佳人 17
タカラダ運送の飾り気のない営業所の玄関から出てくると、ひょいと根木さんが現れた。
「おお、こんにちは。中にいらっしゃらなかったので、お休みかと思っていました」
「ええ、ちょっとサボってただけです。それより、この間はどうもでした」
「ああ、そうですね。驚きましたね。僕は場違いな普段着で、ちょっと恥ずかしかったんですが」
「ええ、そんな事ないですよ。田中さんの普段着、格好良かったですよ。さっぱりしていて、いつも通り爽やかでしたもん」
「そうですか、それはどうも」
「あの、それで