絵空事 -remota- 第5話「翅の傷み」

それからも銀翅は式神を用いて、或いは自身がその地に赴いて、村人の助けとなるように力を尽くしました。

『よい子を授かったと喜んでいたら山の神に取られ、次の子は病で亡くした。話が違う』
『不出来な子だったが、山の神が取ってくれて助かった』

様々な相談、或いは不満が、銀翅のもとへ集います。
村人の願い通りにゆくものごとがほとんどでしたが、時にはそれがどうしても果たせぬこともありました。
懸命に役目を

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にがうりの人 #69 (隔たれた血)

数日後、私は津田沼と高峰弁護士に連れられて郊外の街にいた。父が拘留されている拘置所である。ひっそりとした住宅地の中に突然現れるその敷地内に屹立する建物は異質そのものだった。そんな得体の知れない箱の中に父が捕らえられていると思うと、私の心はざわつき重くなった。

 私達は諸々の手続を終えると、刑務官に面会室へ通された。暗いグレーのその部屋は湿っぽい臭いがし、来る者を冷たく断罪するかの如く私達を取り囲

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148話 王と星の子

新人墓守のドムは、消えた少女が落としていった鍵を取り戻そうと勇気を振り絞った。鍵を拾ったタル王の手に渡ってはいけない、と直感で思ったからである。

※ ※ ※

ドムは、恐怖で震える足で何とか立っていた。
差し伸ばした手の指先が冷たくなって行くのを感じる。

タル王はそんなドムを真っ直ぐ見つめ、何か考える様な仕草を見せた。

「君が返しに行くと言っていたが、唄人の役目はどうする。もう歌わないのか?

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絵空事 -eclipsar- 第5話「餌」 ~ eclipse blanca

「…堪忍な。」――そう言いつつも、私の頬は確かに笑んでいた。
目をつけていた通りだった。

何と甘美なのだろう。
あいつの魂を喰らうなんて絶対に厭だったのに、そんなことも忘れるくらいに。

――ひとの魂のうちにも、美味いものと不味いものとがある。
不味いものを喰らってしまうと、少なくとも数日は何も口にしたくなくなる。もちろん、腹は減るのだが。

美味いとか、不味いとかいうのは、どうやらその魂の持つ

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絵空事 -eclipsar- 第5話「穢」 ~ eclipse negro

蓮華の居る部屋から、出来るだけ遠くへ。
否、外へ向かおう。その方が――

「兄上。」
「っ!!」
突然響いた声に、思索がぶつりと千切られた。

「御忠告申し上げたはずですよ、二度目はないと。」
相変わらず、くすくすと楽しそうなあいつが、其処に居る。

「くっ…。」
俎上の魚らしく。――せめて、出来るだけ悔しそうなそれを顔に浮かべた。

「…残念でしたね、もう少しで外へゆけたのに。――折角、機会を与

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他人の時間と自分の時間①

はじめまして、もしくはこんにちは。レイラです。久しぶりの投稿になります。過去の投稿も是非見ていってください〜

それでは本題に入ります。

みなさんはこどもの頃、周りの大人たち、具体的な例を挙げれば父母や学校の先生のことを「お父さん」「お母さん」「先生」という名前の「そういう人間」だと思ったことはありませんか?私はそう思っていたこどもでした。だから父母や先生にも赤ん坊だった頃があり小学生中学生の時

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絵空事 -himno- 第5話「畏怖」

「――という訳で、暫くこの地で世話になる事になった。宜しく頼む」
『…は、はい。承知致しました。…何か不自由があれば、どうぞ遠慮なく仰って下さい』
私の言葉に村の男は丁寧に返答したが、その眼には明らかな不信が窺えた。

――余り長居は出来そうにないな。そもそも神をあまり畏れていないのだから、無理もないか…。

「…、相変わらずやな、あいつら。」
「これでは、君も苦労するだろうね。」
去って行った男

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にがうりの人 #67 (果ての鬼畜)

「もしもし、俺だ。津田沼だ」

 普段の津田沼とは思えぬ、低い地を這うような声だった。その疲弊感は受話器ごしでも伝わって来る。
「お前ももう知っているかもしれないが、落ち着いて聞いてくれ」
 胸がざわつく。私は既に泣いていた。それがどんな感情なのかは分からない。それでもとめどなく溢れ出る涙を抑える事は出来なかった。嗚咽を繰り返し、うわ言のように父を呼ぶ私を津田沼はなだめつつ、乾いて掠れた声で事の顛

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147話 震え

ドムはタル王が神ではないかという疑問を持っていた。しかし、タル王は「神の1番近くで時を過ごし、人より少し知っておる……というだけ」と告げた。もうこの世界に神は存在しないのか?その疑問を問いかけた少女は、ドムの目の前から消えていなくなってしまった。

※ ※ ※

ドムは少女が消えた事に驚いた。ついさっきまで側にいた少女の体温は空気に残ったままだった。

「戻って行ったか」

タル王は一歩踏み出すと

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ありがとうございます!秋田の空をお届けします☆
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