栄太郎

「本は読むだけじゃだめだぞ、文章を書かなきゃ」 とは、いつも父の口癖だった。 漢字を書…

栄太郎

「本は読むだけじゃだめだぞ、文章を書かなきゃ」 とは、いつも父の口癖だった。 漢字を書けたら覚えて、 英会話は口に出して話せればなんだか聞き取れて、 文章も書いていたらいつのまにかじぶん自身の思考をまとめて、伝える技能も育っているなんてたぶん気のせいかな。

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    コントをやりながら、自然と社会を感じていきます。わかりやすく会話を中心にしているので、気楽な気分で読んでください。

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    売文屋稼業について。小説。かつて映画がそうであったように、テレビ局がタレントを育てるのに不可能な媒体が出てきて、やがて出版社も作家を育て左右する時代は終焉するだろう。もちつ持たれつ。どこもかしこも国民総タレント、国民みな作家。名のりさえすればなれる、そんな状態。でもどんな媒体にしても、いつの時代も作家は読者のまなざしにゆだねられている。

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    つぶやけば鐘が鳴るなり法隆寺 つぶやき地蔵です、ヨロシクお願いします 「こちらこそ、よろしくお願いします」 こっそり「つぶやき」しています  

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新編増補 Nの思い出のために

〈増補〉  ハイデッガーばかりでなく現代哲学のどいつもこいつも、オレを踏み台にして乗り超えていきやがってと思うフッサールほど、ニーチェから乗り超えられたと言われるショーペンハウアーの気持ちがわかる者はいなかった。  人の悪いところばかり言いたがるマルクスは、得意げにプルードンを批判するのに似て、戦前の白樺派は日本のマルクス主義者からお笑いの対象になった。 人の悪いとこばかり取って自分たちを正当化するのは、西欧文化から来た資本主義も共産主義も、一神教のキリスト教が逆立して「世

    • 新プロポ 「日本の基礎知識」 天皇の存在と意味 昨日の日よ、さようなら

       昨日までの幼い日よ、さようなら 大人の日々よ、こんにちは 食べて生活していく政治経済と心のあり処について  明治天皇 睦仁(むつひと)  大正天皇 嘉仁(よしひと)  昭和天皇 裕仁(ひろひと)  平成天皇 明仁(あきひと)  令和天皇 徳仁(なるひと)  ボクが小学生のころ、父親に問いました。 「天皇の姓はなんて言うの」 「ないよ、そんなもの」 「江戸時代じゃあるまいし、身分が高いのになぜないの」 さすが子供の親、子供にもわかる明解な答えでした。 「誰でも知ってい

      •  Nの思い出のために 2

         愁ひつつ岡にのぼれば花いばら 蕪村  Nは都会から離れて、生まれ故郷に近いある湖畔に滞在していた 朝早く起きて歩く道のなかで、自然の空気や森林の緑、天然の水の流れは、彼の精神を和らげ、意識をさわやかにさせてくれる その日はなぜか日和もよく久しぶりの感傷だった 散歩するには絶好の装い いつものように散歩に出て、しばらくするとふたつ分かれる交差点のところを通りかかった いつもは右側の道を歩いているのが習慣だった でもなぜか今日は左手の道を歩きたい衝動にかられていた 歩くほ

        • 新プロポ 煽られて捨てられて、ポイッ

           PROPOS プロポ   フランス語で談話とか話題の意味あいがある、propos de table ( 座談 )など  むかし、 ある映画スターが公開映画の映画館の舞台に立つことがあった、 アクションスターよろしく、「仕込んだ」観客が無礼に舞台に上がりこんふうで、スターにやられるスタントをよくやったらしい。 そこに間違って、一般の観客がつられて舞台に上がったこともあったそうです。 そんな感じでいまでも テレビの偏向報道で、煽られて対象の人を暴言攻撃したり、熱情で戦場に私

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          作家残酷物語 「私のお店は一流のお方ばかり」

           しわがよるほくろはできる腰まがる頭は禿げる髪白くなる  手はふるふ足はよろめく歯はぬける耳は聞えず目はうとくなる  身に添ふは頭巾襟巻杖眼鏡タン ポ温石手便孫の手  くどくなる気短かになる愚痴になる出しゃばりたがる世話やきたがる  聞きたがる死にともながる淋しがる心がひがむ欲深くなる  又たしても同じ話に孫ほめる達者自慢に人はいやがる         仙厓和尚、六つの歌  江戸時代後期の禅僧である仙涯和尚でなくても、おなじみの老人の愚痴っぽさも菩薩の慈悲心があるとす

          作家残酷物語 「私のお店は一流のお方ばかり」

          新プロポ 政治>文学 From U.S.A. and China 、with love

           PROPOS プロポ   フランス語で談話とか話題の意味あいがある、propos de table ( 座談 )など  良いことは進んでやりましょう、 人の嫌がることはやめましょう。 キリストの積極的なミッション、 ブッダの消極的なまごころ。 長所と短所は合わせ鏡で、要らぬおせっかい、見て見ぬふりをする。 生まれたときから、何かと行事とかマナーで、体に身についているわれわれ仏教徒の日本国民、 いくら聖書を読んでも素晴らしいと感じていても、意外にしっくり来ないのは、単純な

          新プロポ 政治>文学 From U.S.A. and China 、with love

           榎本其角をよむ、役者

           以前、本屋に入って雑誌を読んでいたら、興味深かったので、おもわず読み進めていった ある日、映画関係者らしい雑誌記事の筆者が下町の蕎麦屋に入ったら、日ごろ親しい役者さんがひとりテーブルに座っていた 「おひさしぶりです」 「おう、元気」 少しお酒も入って、ほろ酔い気分そうだった そこで筆者の人は、一緒に相席させてもらうことになった、テーブルの上には蕎麦の横に、台本と一冊の俳句の本 いばらく歓談していて、ふと俳句の本に目がいった 「俳句、興味あるんですか」 「ふふふっ、僕

           榎本其角をよむ、役者

          断片 『君の住む町で』の抜粋、「Ⅱ」

           すべての歴史は現代史である、 とはクローチェ( Benedetto Croce )の言葉 イタリアの歴史家で哲学者、同じ歴史学者の羽仁五郎とじっこんみたいだったのでイタリア語を学んでいた頃、よく読んでいました  すべての文学史は現代文学である、 とも言いかえられ通じるのに、なぜか作家は世の中を超越して、一段高い所からうかがう姿勢を好み、共にある現代の共通感覚を持ちたがらない 安全のために、間違った見解を恐れるためか、答えが分かって歴史的見解が定まっているものに蘊蓄を語りた

          断片 『君の住む町で』の抜粋、「Ⅱ」

          長編『君の住む町で』 -6

           6  男はつづけていった。さきほど騒いでいたそばの兄ちゃんも変に静かだった、あきれてものがいえないというよりへぇと感心して、他の周りの人たちもそうなのって。私も周りの人たちの雰囲気にともなって男の話を聞く羽目になり、ただぼんやりして立ちすくんでもつまらない、しばらくつき合ってあげようかな。しかしどうも話の内容のさきが読めない、話の意図がまったくわからなかった。       そんなこと話してなんになる、ここにいるだれでもがそうなのに、なぜかみんな男のいうことを黙って聞いて

          長編『君の住む町で』 -6

          長編『君の住む町で』 -5

           5  そう、優雅な事態ではないのだ、いまは。  リング場内に煙幕がたかれた騒動はすでにおさまっている、でもまだここでは観客がとり囲まれて、まだ館内にひそんでいる犯人を捜すことにものものしさだけがつのっていた、いったいなぜこんなに大騒ぎするんだ。  もう煙もほとんど消え去って騒動が終わっている、なぜわれわれをこんなところに押しこめているんだというどこからかの声がして、取り締まる警備の方は、前いったように事件そのものよりこんなことをされたことに対して、怒りを感じているようだ

          長編『君の住む町で』 -5

          長編『君の住む町で』 Ⅱ-4 びっくりしたな、もう

           ( 小さな美術雑誌社に勤めながら作家志望している私は、橋の下でうたた寝から目を覚ました。気づけばここは、たばこ絶滅キャンペーンの激しい郊外の町で、知らないうちに私は巻きこまれていった )  4 「おう、さとし。大丈夫か」 「ああ、大丈夫さ。それより、お姉ちゃんの方はどうなのかな」 「さあ、突然だったし、試合が全部終了した直後だったから、無理かな。いきなりなのでまだ身支度していないだろう」  プロレスが終わって、観客みんなが場内から出ていこうという矢先、リング内にまた

          長編『君の住む町で』 Ⅱ-4 びっくりしたな、もう

           鏡の向こうは、どんな顔

           鏡の向こうはどんな顔、 むかし作家スタンダールは言った、小説は社会を映す鏡である。  都知事選のとき、YouTubeに現れてくる石丸系のやらせYouTuberのチャンネル削除は大変だった、消しても消してもネズミのように現れてきた。最近は思いだしたようにポッと、それもポツンと消して、なんともはや引用ばかりの底の浅いものばかり。  それにしても都知事選の投票率は60.62%、半分少し、他はほとんど無党派か無関心な人たち。これじゃ大企業や連合などの組織票、テレビ局、新聞社、出

           鏡の向こうは、どんな顔

          断片 『君の住む町で』の抜粋、「I」

           平凡な時代になれば、むかし家柄、いま学歴で大衆の目を引いて、小池百合子さんや小泉進次郎さんが実態よりも、親に泣きついて大学や大学院の卒業証書を欲しがるのは自由でも、何度もいうように所管する大学に恩恵を受けて弱みを握られ、エジプトやアメリカに国益や外交が左右されれば個人の問題ではない。だって力量がないんだもんとか、都知事とか国会議員はけっして芸能人の人気投票みたいに登場すべきではない。  それにまた、手っ取り早くヒトラーやムッソリーニみたいにアホーマンスをして、権力を欲しがる

          断片 『君の住む町で』の抜粋、「I」

          長編『君の住む町で』 -3

           3  館内の玄関口に車が止まった、なかからかっぷくのいい五十代ぐらいの男が降りてきた、本人がプロレスラーみたいだ、市長らしい男のそばにはホディガードかSPみたいな男が二、三人つき添っている。  市長は館内にいる客に愛想よく手を振って前に進んでいった、政治家にはありがちな押しが強そう、あの条例文を読んでいかにもという感じがした。 「あの人、プロレスが大好きなんだ、だからここの市の大きい体育館も使わせてくれるってわけ。その点、ありがたいけどね」 「おまえプロレスの関係者みた

          長編『君の住む町で』 -3

          長編『君の住む町で」 -2

           2  なかは人でごった返していた、なかなか人気があるらしい。男プロレスならまだしも、女子プロレスでこんなに収容が見込めるとはよほど人気カードらしい、それもまだゴング時間まであと一時間。  東京の中心でないから当然、体育館でやるのは以前と同じだ。なんとなく変に安心して居心地よく感じた、切符を買ってゴング開始までの時間をどこかでコーヒー飲みながらくつろごう、今後のこともあるし、それに現在の状況を把握するためにも冷静になって記憶をたどってみよう。  本当はこんなことでなんだが

          長編『君の住む町で」 -2

          長編『君の住む町で』 Ⅰ-1 少しまどろんでいたら

           がんばって長編に挑戦してみました。なので、気ながにのんびり読んでください。  この物語は前書きなしでは進めない。いくら思い入れがあっても才能ばかりはしかたがなく、読んでもちっともおもしろくなかった、また偶然にこの文章を見たために引き返されなくなった人、義理で最後までちゃんと目を通してくれるやさしい人など、さまざまな人がいるでしょう、読んでいた時間を返してくれ、という声も聞こえてきそうです。  そんななかでも最後まで書けそうなのは、ただ損得なしで文学を愛好する人たちがいること

          長編『君の住む町で』 Ⅰ-1 少しまどろんでいたら