プレシャス プランナー

〜小さなバラと素敵な音楽物語〜🎶 シューマンを愛する クラシック音楽ライター。 ・演奏…

プレシャス プランナー

〜小さなバラと素敵な音楽物語〜🎶 シューマンを愛する クラシック音楽ライター。 ・演奏会&CDの楽曲解説、 レクチャーコンサート企画。 ・Pincet Rose ピンセットローズ (1分で作れる世界一簡単なミニ折バラ)

マガジン

  • SF、ファンタジー(短編〜中編)

    絶滅のレクイエム、10分未来のメッセージ、セピア色の舞踏会・白のRondo・#ないたずらっ子(3部作)、微笑みの額縁・ハプスブルクの鏡・額縁幻想(演奏付3部作)、7軒目のはちみつ屋

  • ふしぎエッセイ(宇宙、野鳥、執筆裏話etc.)

    太陽系儀、かもだちの掟。宇宙や自然の話に芸術関連。飛行機乗り違え未遂や真相は闇の恋文といった謎の執筆秘話など、ちょっとおかしな迷宮へ⭐︎

  • note クラシック音楽の普遍化を達成する

    • 1,106本

    クラシック音楽の歴史や作曲家、作品について、哲学的な視点から分析し、その普遍性や深さを探求する和田大貴のnoteです。クラシック音楽について語り合えることを楽しみにしています。参加希望の方はマガジンの固定記事でコメントしてください。

  • 名曲物語

    作曲家や名曲に秘められた、愛に溢れるエピソードの数々を、物語をひもとくように...。小冊子「名曲にまつわる愛の物語」「新たなショパン像」より、他。

  • 名曲解説(演奏会プログラム等)

    公演プログラムに掲載の楽曲解説に、演奏会予告や奏者からの動画メッセージ等もご紹介します。素敵な演奏会に想いを馳せて頂けますように...♪♪

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小さなバラと素敵な音楽物語

♪♪♪ 小さなバラと素敵な音楽物語 ♪♪♪ 名曲物語 & 演奏会プログラム  筋金入りシューマニアーナの音楽ライターです。ロマンティック・シューマンを初め、偉大なリスト、哀愁のチャイコフスキーが、とりわけのお気に入り。クラシック音楽の源泉バッハに、天上のモーツァルトは別格として、主にロマン派ピアノ音楽を軸に、作曲家や名曲にまつわる愛にあふれた物語を綴っています。 小説  短編あり長編ありの小説は、軽やかなファンタジーや、心躍る冒険物語の世界に皆さまを誘いたく、執筆秘話

    • 「オケバトル!」 23. 砂男と自動人形

      23.砂男と自動人形  次なる課題がオッフェンバック作曲の歌劇《ホフマン物語》からの第二幕のアリア〈森の小鳥は憧れを歌う〉であるとの発表を受け、ランチもそこそこに地下のリハーサル室で待機していたAチームの面々は、 「またオッフェンバックなの?」と一様に首を傾げた。 「そう来たか!」  気合いを入れてこぶしに力を入れた有出絃人が一同に説明する。 「今日の流れは作曲家というより原作、E.T.A.ホフマンの『砂男』がテーマなんですよ」 オッフェンバック作 オペラ《ホフマン物語

      • 「オケバトル!」 22. 彼女が無言であるワケは?

        22.彼女が無言であるワケは?  ティンパニのトレモロに続くホルンの四重奏で厳かに始まる《コッペリア》前奏曲。フランスの片田舎の美しくのどかな情景がのびやかに歌われた後、音楽はじわじわと盛り上がり、威勢のいいマズルカへと変化を遂げて、陽気で楽しい物語を連想させる。  やがて音楽は徐々に静まり前奏を終え、緩やかに流れる木管ソロのリレーに導かれてゆく。バレエの演出では、大方この辺りで幕が上がってスワニルダの登場となり、優美なワルツが踊られる──  はずなのだが。  スタッフは

        • 「オケバトル!」 21. 浮気男に、恋する乙女

            夜、中々眠ろうとしない悪い子どもがいると、   どこからともなく砂男がやってきて、   その子の目に魔法の砂をかけて眠らせてしまう……                ヨーロッパの民間伝承より 21.浮気男に、恋する乙女 E.T.A.ホフマン作『砂男』 主な登場人物 ・砂男に恐怖を抱く大学生 ナタナエル ・変幻自在の老人 コッペリウス=コッポラ ・ナタナエルの恋人 クララ あらすじ  幼い頃、父が実験中に爆死した要因は、家に出入りしていた老弁護士コッペリウス

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        小さなバラと素敵な音楽物語

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        • ふしぎエッセイ(宇宙、野鳥、執筆裏話etc.)
          11本
        • note クラシック音楽の普遍化を達成する
          1,106本
        • 名曲物語
          18本
        • 名曲解説(演奏会プログラム等)
          16本
        • 〈ピンセットローズ〉世界一簡単なミニ折バラ
          5本

        記事

          「オケバトル!」 20. 拒絶男と水の妖魔

          20.拒絶男と水の妖魔 「今回の結果はAB引き分けで、脱落者は両チーム一名ずつとします」  とのお達しが、翌日早朝、各部屋で閲覧できるモニター画面を通じて、淡々と語る宮永鈴音によって伝えられた。  続いて、本日も互いの観賞は不可、リハーサルは舞台上にて、持ち時間は各チーム一時間ずつ。先攻はBチームで、9時きっかりにAチームからの逆リハーサル開始とする。両チームの脱落者が確定した時点で、次なる課題曲の楽譜が渡されるので、まずは待機のこと……、といった説明がなされていった。

          「オケバトル!」 20. 拒絶男と水の妖魔

          「オケバトル!」 19. みんなの独白ルーム

          19. みんなの独白ルーム  アール・ヌーヴォー調の唐草模様がうっすら浮き上がる落ち着いたアイボリーの壁、座り心地の良さそうなツイード地のグレイのソファ、その後方には大ぶりの観葉植物がカメラの背景にほどよく映るアングルで置かれている。窓はなくとも顔色が映える明るめの照明、室内にほんのり漂うアロマの香り。  リラックスして心の内を語れるカウンセリングルームのような、心地よい空間が演出されている。  これでサイドテーブルに可憐な花の一輪挿しでも置かれていれば、更にしゃれた雰囲

          「オケバトル!」 19. みんなの独白ルーム

          「オケバトル!」 18. 鍵はベリーの香り?

          18.鍵はベリーの香り? 「何? 犯人の香水はベリー系なのか!」  別所が耳ざとく聞きつけ、パンパンと手を叩いて、皆さん注目を! と仲間に呼びかける。  そして1プルト目の楽譜に卑劣な罠が仕掛けられていたこと、譜面に染みついた残り香から、犯人はベリー系の香水をつけているらしい、何としても見つけ出して、こうした破壊工作は止めさせねばならない、といったことを力説する。 「あー、ちょっと待ってください」  おずおずと、会津夕子が言い出す。 「多分、ですが、犯人の香水が残ってる

          「オケバトル!」 18. 鍵はベリーの香り?

          「オケバトル!」 17. 楽譜リレー vs 地獄のダンス

          17.楽譜リレー vs 地獄のダンス 「Bチームの奴らめ。演奏前につるし上げてやる!」  舞台の袖に下がりながら息巻く金管の過激派連中を、 「それはどうでしょう」  弦の温厚派がやんわりなだめる。 「Bの仕業と決めつけるのは危険ですよ」  とは、チェロの白城貴明。 「はっきりした証拠が上がってるわけでもないですし」 「B以外の誰がこんなことをするってんだね?」  そこで一同の間に、さっと疑惑の目線が交わされた。まさか身内の犯行だと? 我らがコンサートマスター有出絃人に恨み

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          「オケバトル!」 16. ひとたび舞台に乗ったなら

          16.ひとたび舞台に乗ったなら 「今のは……」  息切れも見せず、涼しい顔で有出絃人は答えた。 「演出です」  明らかなトラブルのはずなのに、それが演出だったと開き直るとは! チームの仲間や審査員を始め、番組スタッフも含めたその場に居合わせた誰もが、コンサートマスターの意外な返答に驚かされる。 「いいや嘘だ」  審査委員長の長岡幹が言い放った。 「楽譜に何らかの支障が生じていたと見受けられたんだがね。しかもアシスタント・コンマスの彼女が、あんなに慌ててたじゃないか」 「

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          「オケバトル!」 15. 地獄のオルフェ ②

          15.地獄のオルフェ ② 「つい不安に駆られて振り返ってしまったがために、永遠に妻を失ってしまう竪琴弾きのオルフェウス。ギリシア神話でも有名な、オルフェウス伝説です」  舞台にて、宮永鈴音が今度はヴァイオリンを竪琴に見立てて縦に持ち、ポロン、ポロンと、指で弦をなで、さりげないアルペジオを奏でて見せる。 「西洋では、夜空に輝く『こと座』は、オルフェウスの竪琴とも言われています」  ソワレの本番らしく、ラメ入りレースのシルバーのショールをノースリーブの肩に絶妙なバランスで羽

          「オケバトル!」 15. 地獄のオルフェ ②

          「オケバトル!」 15. 地獄のオルフェ ①

          15.地獄のオルフェ ①  詩人で音楽家、竪琴の名手オルフェウスは、愛する妻エウリュディケを毒蛇にかまれて失うも、妻を取り戻すべく黄泉の国へと赴く。  竪琴を奏でながらの、奇跡とも言える美しき歌声で地獄の番人や冥界の王をなだめ、 「冥界を出るまで決して妻を振り返ってはならない」  という条件のもと、妻を生き返らせてもらえる許可を得る。  しかし地上への階段を登り切らないうちに、オルフェウスは不安に耐えきれず振り向いてしまう……                ギリシャ神

          「オケバトル!」 15. 地獄のオルフェ ①

          「オケバトル!」 14. 疑惑の潜入工作員

          14.疑惑の潜入工作員 「ウィンナ・オペレッタの父といわれるスッペの喜歌劇《軽騎兵》。  南ドイツにおける派手やかな軍隊生活を舞台に、恋のさや当てが繰り広げられるという物語ですが、残念ながら今日では全く上演されないどころか、総譜や資料も残っておらず、この〈序曲〉だけが大変有名な曲として、演奏会でもさかんに取り上げられています。  勇壮なファンファーレに始まり、ヴァイオリンが素速く駆け巡る緊迫の展開に、軽快なマーチ、途中、哀愁誘うチャールダーシュが弦によって奏でられ……」

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          「オケバトル!」 13. ねずみ対、今度はウクライナの軽騎兵

          13.ねずみ対、今度はウクライナの軽騎兵  前回に続いての敗北を真摯に受け止め、Bチームでは指揮の山寺とコンサートミストレスの阿立が自らの脱落を申し出たが、指揮に関してはムードメイカーでもあるミッキー氏に再びご登場願おうではないか、ということで、指揮者は脱落は免れる。  指揮の制御もむなしく先導を切ってオケを走らせてしまったコンミスの阿立のみが責任をとることになった。そして脱落彼女のお供候補としては、  ファンファーレで下手っぴだったホルンの三番手、  キンキンが鋭すぎて

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          「オケバトル!」 12. ねずみ対スイスの貴公子 ②

          12.ねずみ対スイスの貴公子 ② 「指揮者が必死で抑えようとしても、全体の勢いはもはや止まらず、ラストに向けてひたすら突っ走ってしまいましたよね」  とのジョージの批判に、責任を感じた阿立コンサートミストレス以下、客席で審査員の講評を受けるBチームの多くがうなだれ気味に背を縮こませた。  しかし続くジョージの言葉は意外や、 「あふれんばかりの凄まじいエネルギー、全身で演奏を心から楽しんでいる様子は、整然と整ったAの演奏から受ける印象とは、全く別次元のもの。とどまり知ら

          「オケバトル!」 12. ねずみ対スイスの貴公子 ②

          「オケバトル!」 12. ねずみ対スイスの貴公子 ①

          12.ねずみ対スイスの貴公子 ①  その頃、舞台では宮永鈴音が一人、スポットライトを浴びていた。 「ウィリアム・テルは、スイス独立運動の象徴的存在の英雄として、文豪シラーの戯曲『ヴィルヘルム・テル』で広く世に知られるようになりました」  司会が語る間、じっと舞台で待たされるのはいかがなものか、とのBチームからの苦情を受け入れ、今回は奏者の入場前に司会が解説を入れる方法が試みられた次第である。 「彼の存在した物的証拠がないため、実在とも架空とも言われてますが、スイス人の多

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          「オケバトル!」 11. 貴公子団の芸術談義 ②

          11.貴公子団の芸術談義 ② 「Bの連中は子ネズミの指揮者を立てましたよ」  偵察部隊のホルン男性二人が、にまにま笑いながらAチームの元に戻ってきた。 「その名もミッキーというそうで」  両チームに用意されたリハーサル室の前は、談笑や軽い音出しなどもできるよう、ソファやローテーブル、セルフのドリンクコーナーなどが設けられ、広々としたくつろぎスペースとなっている。  リハーサルが早めに終了した場合、本番までの短くも貴重な時間をどう過ごすか?   リハの室内にとどまって、抜

          「オケバトル!」 11. 貴公子団の芸術談義 ②