プレシャス プランナー

〜小さなバラと素敵な音楽物語〜🎶 シューマンを愛する クラシック音楽ライター。 ・演奏…

プレシャス プランナー

〜小さなバラと素敵な音楽物語〜🎶 シューマンを愛する クラシック音楽ライター。 ・演奏会&CDの楽曲解説、 レクチャーコンサート企画。 ・Pincet Rose ピンセットローズ (1分で作れる世界一簡単なミニ折バラ)

マガジン

  • note クラシック音楽の普遍化を達成する

    • 2,243本

    クラシック音楽の歴史や作曲家、作品について、哲学的な視点から分析し、その普遍性や深さを探求する和田大貴のnoteです。クラシック音楽について語り合えることを楽しみにしています。参加希望の方はマガジンの固定記事でコメントしてください。

  • ふしぎエッセイ(宇宙、野鳥、執筆裏話etc.)

    太陽系儀、かもだちの掟。宇宙や自然の話に芸術関連。飛行機乗り違え未遂や真相は闇の恋文といった謎の執筆秘話など、ちょっとおかしな迷宮へ⭐︎

  • SF、ファンタジー(短編〜中編)

    絶滅のレクイエム、10分未来のメッセージ、セピア色の舞踏会・白のRondo・#ないたずらっ子(3部作)、微笑みの額縁・ハプスブルクの鏡・額縁幻想(演奏付3部作)、7軒目のはちみつ屋

  • 「お菓子な絵本」長編ファンタジー(全39章)

    兄は幻想世界、弟は現実世界と、異なる次元で生まれ育った兄弟の出会いと運命の物語。冒険活劇に、ほのかな恋や謎解きも。最終話はエンディングテーマ〈End of Dream〉の録り下ろしBGM付♪

  • 「オケバトル!」長編音楽小説(週刊)

    TV番組の仕掛けバトルで、音楽家らが熾烈な争いを展開。トンデモ事態も乗り越えて「栄光のオケマイスター」を勝ち取るのは果たして誰か!?  毎週土曜の深夜0時に1〜3話ずつ公開します。 プレシャスおはこの楽曲解説もふんだんに盛り込まれた、本格音楽小説です♪

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小さなバラと素敵な音楽物語

♪♪♪ 小さなバラと素敵な音楽物語 ♪♪♪ 名曲物語 & 演奏会プログラム  筋金入りシューマニアーナの音楽ライターです。ロマンティック・シューマンを初め、偉大なリスト、哀愁のチャイコフスキーが、とりわけのお気に入り。クラシック音楽の源泉バッハに、天上のモーツァルトは別格として、主にロマン派ピアノ音楽を軸に、作曲家や名曲にまつわる愛にあふれた物語を綴っています。 小説  短編あり長編ありの小説は、軽やかなファンタジーや、心躍る冒険物語の世界に皆さまを誘いたく、執筆秘話

    • 「オケバトル!」 66. 鬼監督 vs 拒絶男

      66.鬼監督 vs 拒絶男 「解説を演奏前に入れたい」との、先攻Aチームからの異例の希望を受けて、青井杏香と宮永鈴音が周到に用意したビゼーの交響曲第一番についての楽曲解説は、ほぼお蔵入りの展開となる。追加で伝えたい内容があれば、どこかでナレーションを被せるかテロップで流せば良いでしょう、ということで番組側は半ば渋々、半ば興味津々でAの妙案を承諾する。  このライバルチームの「あぶれたトロンボーンニ人による楽しい楽曲解説作戦」の情報を、密偵のトムくんこと多岐川勉により入手

      • 「オケバトル!」 65. あぶれた者の活用法

        65.あぶれた者の活用法 「おおっ、ついに交響曲か!」 「ようやく本格的になってきましたね!」  翌日の朝食後、両チームのリハーサル室に置かれていた楽譜がビゼーの交響曲と分かり、多くの者が意欲的に目を輝かせた。しかし、 「……俺たちは?」  神妙な面持ちなるは、この曲に出番のないパーカッションとトロンボーンの面々。  ラッキー、丸々一曲分休めるぞ! なんて喜びはしゃぐ楽天家はいなかった。バトルでは、いかなる理由があろうとも毎回必ず全員が舞台に乗らねばならないルール。  さ

        • 「オケバトル!」 64. 金の斧、銀の斧、あるいはブリキのフルート

          64.金の斧、銀の斧、あるいはブリキのフルート  Aに移籍し、トロンボーン奏者と同室になったフルートの星原淳。実は番組側のスパイであった正体が明かされたトロンボーンが去った時点で、せっかくの引き抜き少年を一人部屋に放ったらかしてはおけまいと幹部で相談の上、有出絃人の抜けた部屋に白城教授 ——— 実際は教授などではなく、学者タイプに見えるだけ ——— が迎え入れ、監視、及び洗脳役を任されることとなる。  しかしBに引き抜かれた有出絃人のパターンと同様に、星原淳も「あの子が欲

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          48本
        • 「お菓子な絵本」長編ファンタジー(全39章)
          42本
        • 「オケバトル!」長編音楽小説(週刊)
          73本
        • 名曲物語
          18本

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          「オケバトル!」 63. 遥かな血筋と、呪いのベッド

          63.遥かな血筋と、呪いのベッド  否でも応でも、このままでは彼ばかりがオケマイスターまっしぐらのようですね。  ピアノにヴァイオリン、演奏技術もセンスも抜群で、タクトのリードも文句なし。加えて歌にダンス、何やらせても様になるし、自然体でありながら、やたらかっこ良く決めてくれる。 「拒絶男」の言われようも、本人どこ吹く風で逆手にとってるみたいだし。何事にも動じないクールさを強調するのにも、この呼称、かえってひと役買ってるんでない?  悔しいことに男から見たって容姿も端麗。

          「オケバトル!」 63. 遥かな血筋と、呪いのベッド

          「オケバトル!」 62. そうしたことはコンマスの領域

          62.そうしたことはコンマスの領域 「まったくBチームは、とんだ騒動を起こしてくれたものだね! 特に仕掛け人の有出絃人くん。きみの発想は本当に型にはまらないんだね!」  審査委員長の長岡幹は、呆れ果ててぶつくさ言ってから、少し声を落ち着けて話を本題に切り替えた。 「では〈ファランドール〉の講評に戻るとしよう。誰もが良く知ってるはずの、こうした有名な曲でも、演奏によってずいぶん違う印象になると、改めて思い知らされたわけでしてね」  それから手元のスコアをパラパラめくる。 「

          「オケバトル!」 62. そうしたことはコンマスの領域

          「オケバトル!」 61. やった者勝ちの、あり得ぬ特典

          61. やった者勝ちの、あり得ぬ特典 「何が違うんだね?」  女神レベルの名演絶賛を悲しげに否定するフルートの紺埜怜美に対し、審査委員長の長岡が不審そうに言った。 「間違いなく貴女の実力なんだから、素直に認めればいいんですよ」 「全然、認められたものじゃないんです」  自分でも、どこから話していいのやら分からない怜美さんに、周囲の仲間は、頼むから座ってください、余計なこと言う必要なんてないんですから、と必死で懇願する。 「つまり、その、私でなくて、有出さんのアドバイスがあっ

          「オケバトル!」 61. やった者勝ちの、あり得ぬ特典

          「オケバトル!」 60. いくら何でもズルすぎません?

          60.いくら何でもズルすぎません?  疑惑の……ならぬ魅惑のメヌエットの合わせが終わった時点で、指揮の有出絃人はハープとサキソフォンのエキストラをねぎらいつつ、一応お尋ねしたいんですが、と遠慮がちに前置きをした上で、皆の前で二人に打診した。 「お二方、この後の〈ファランドール〉にも乗っていただくことは可能でしょうか?」  おっと! この人は早速、何てトンデモナイことを言い出すんだ? と、仰天するBの面々。  ハープもサキソフォンも、〈ファランドール〉の編成には入ってな

          「オケバトル!」 60. いくら何でもズルすぎません?

          「オケバトル!」 59. 魅惑のメヌエット疑惑

          59.魅惑のメヌエット疑惑  ダルタニアンこと有出絃人が、まあ何とかなりそうですね、とピアノから離れようとしたところで、 「一応、肝心のメヌエットもやっておきたいんですけど」  と、調子に乗ってきたアンヌ王妃こと紺埜怜美が食い下がる。 「大丈夫ですよ」 「舞台でエキストラや仲間と合わせる前に、今この場で掴んだ感触をちゃんとキープしておきたいんですよね。皆と合わせるのを意識すると、またさっきみたいな妙ちくりんな千鳥足が復活しそうで」 「そんなことは気にしなくて結構。伴奏のハ

          「オケバトル!」 59. 魅惑のメヌエット疑惑

          「オケバトル!」 58. 女神は三銃士のために

          58.女神は三銃士のために  撮影クルーはどうした?  これはかなり絵になりそうな、実に危うい展開ではないか!  その場に居合わせた施設スタッフの三人は、「何か面白い事が起きてますよ〜」と、番組関係者に通報すべきとも思ったが、つい目が離せず二人の様子に釘付けになってしまう。  今しがた地下のライブラリーで借りてきた、この曲のフルート独奏用の楽譜をピアノの譜面台の端に乗せて、さあ吹いてみてと、有出絃人は彼女を促した。  その時になって初めて、紺埜怜美は自分が肝心のフルートを

          「オケバトル!」 58. 女神は三銃士のために

          「オケバトル!」 57. 美女とナッツに、ご用心

          57.美女とナッツに、ご用心 〈ファランドール〉の方向性は見えてきた。舞台リハーサルまで、あと2時間の猶予がある。もう一曲の〈メヌエット〉は、殆どフルートの独壇場。寄り添うハープとサキソフォンのエキストラ陣は、これまでのようにAチームとの共用につき、舞台リハで初のお目見えになるとはいえ、途中の全合奏もあることだし、一応は流してみることに。 「感触を掴む程度で良いので。但し主役のフルートさんだけは本気でお願いしますね」  指揮者から本気でと言われてプレッシャーをかけられて

          「オケバトル!」 57. 美女とナッツに、ご用心

          「オケバトル!」 56. 抑えてこその魔法の瞬間

          56.抑えてこその魔法の瞬間  しばしの沈黙の後、有出絃人は最低限の注意点から、とりあえず片付けていくことにした。 「『ビゼーのB』、速くなりすぎないで。むしろ落ち着いて、ゆっくり気味に。ピアノ三つですよ! 弦は八小節間はずっとアップで、そっといきましょう。タンブーランに至ってはピアノ四つなのだから、最初のうちは極力抑えて。その上で正確にクレッシェンドしていって、『マスネM』の大合奏でフォルテ三つになってからは、タンブーラン、アクセントなしですよ。ただひたすら無心で叩くだ

          「オケバトル!」 56. 抑えてこその魔法の瞬間

          「オケバトル!」 55. 当然「指揮」でしょ

          55.当然「指揮」でしょ 「指揮とコンマス、どちらになさいますか?」  A棟の自室をさっさと引き払い、フロントに荷物を預け、楽器を手にBチームのリハーサル室へと赴いた有出絃人は、既に集まっていたBの面々から歓迎の挨拶もそこそこに尋ねられた。  Bではヴァイオリンばかりでなくヴィオラの人数もかなり減っているようだからと、一応両方の楽器を携えてきた絃人。いずれかのパートの後方辺りでチームを観察しつつ徐々に馴染むつもりが、いきなり仕切り役の選択を迫られるとは。単にAを無力化す

          「オケバトル!」 55. 当然「指揮」でしょ

          「オケバトル!」 54. スパイは壁に背を向ける

          54.スパイは壁に背を向ける 「もしかしたら有出絃人その人こそが秘密工作員で、番組側の回し者なのかも」  落ち着いた趣の和食処にて簡単に早めの夕食をと、大盛りの丼物を中心に、負けた上に主力メンバーを奪われた腹いせのやけ食いをしていたAチーム金管テーブルの席で、斥候役のホルン青年の口からぽつりとなされた爆弾発言。一同が一斉に箸の手を止め、疑惑の目線を交わし合う。 「あえて公に紹介されたトロンボーンのスパイ、あれは我々の目を欺くための単なるおとりで、有出氏は二重スパイだか

          「オケバトル!」 54. スパイは壁に背を向ける

          「オケバトル!」 53. 教えなかった、みんなが悪い

          53.教えなかった、みんなが悪い 「音楽を愛する音楽家の当然の責務として、ひとたびオーケストラで定位置に身を置いた者の責任として、ですね......」  今回の初敗北を受け二名の脱落者を決めるべくAチームのメンバーが集まったリハーサル室で、有出絃人が例によって熱弁を振るっている。 「僕たちの役割って、自らのパートを奏するだけじゃなくて、自分が演奏中か休みの間かなんて関係なく、流れゆく音楽全体に常に耳を傾け、心を委ねることって、当たり前のはずなんでけどね。  プロオケの

          「オケバトル!」 53. 教えなかった、みんなが悪い

          「オケバトル!」 52. 教えなかった、お前が悪い

          52.教えなかった、お前が悪い  本番中の音楽家にとって最も恐るべき事態とは?  それは穏やかな緩徐楽章に突如襲いくる盛大なくしゃみでも、配られたパンフレット類がバサリと床に落ちる音や、容赦なく鳴り響く携帯の呼び出し音でも、腕時計のピピッという鋭い電子音でもない。  赤子の必死の泣き声や、演奏会に連れて来られたという状況をまったく分かっていない幼児が無邪気に話す声などは、まだ微笑ましい類い。  遠慮がちに細々と続く苦しそうな咳。その咳を抑えるべく、バッグのどこかに紛れて

          「オケバトル!」 52. 教えなかった、お前が悪い