近未来SF小説

MOONLIGHT  月光

序章

 14歳の頃の私は、まだ自分の人生に希望しかなかった。まだ見ぬ先の未来でさえ、何が待ち受けているのか輝いて見えていた。

友達も居れば彼氏もいた。成績はそこそこ良かったし、不満や不安も何もなかった。そんなある時、フッと何かが降りてきたように自分自身の未来を何となく予知したあの時は私のただの勘違いだと思った。今思えば私の歯車はあの時にがっつり動き出したんだと思う。

何時もは何も感じない、た

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嬉しいです( *´艸`)
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守らずとも燃える炎(2)

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 突然起き上がった俺に、子供は「うわっ」と叫び声を上げる。手元から離れたペンライトの光が、ころころと転がっていくのが視界の端に映った。
 痛みも気にせず子供の肩を掴んで、俺は絞り出すように問う。

「……今、なんて」
「は?」
「名前、もう一度、」
「よ、ヨーイチだけど……」
「苗字は」
「……新田」

『新田ヨーイチ』。
 もう何度、この名を繰り返し頭で唱えただろう。忘れたくても忘れら

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守らずとも燃える炎(1)

SF小説「同乗者たち」スピンオフ。
井坂とアヤノ、そしてヨーイチ。出会いと別れの物語。

 信じるつもりなど、毛頭なかった。

「……のに、どうして来ちゃったんだろうな」

 独り言に返事は期待していなかったのに、タイミング良くひゅうと風が鳴った。廃墟と廃墟の間を通る空っ風は、今まで自分が生きてきた所と同じ風だとは思えないほど、乾き、侘しく、惨めだった。
 クロアナ街。
 ブレインスキャナを持たず

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【超短編小説27】惑星ユークレイン

クリム半島の南端にある小さな都市アルプカの少し高い台地からは黒海が一望できる。黒海は今日も穏やかで、その名とは異なり、どこまでも鮮やかな青だった。そして黒海の上空には、アレが浮かんでいる。

□□□□□□□

22世紀現在の地球は、政治も経済もユークレインを中心に回っている。

ユークレインは21世紀までウクライナと呼ばれていたが、今では英語名のユークレイン(Ukraine)という呼び名が定着して

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「それはもしかしたら有り得たかもしれないけれど」

今回は催眠ママ本編のキャラ誕生日ネタです。9月25日がエメト・ルーアッハというキャラの誕生日でした。エメトはマザー管制機関<ナイツ>の司令でスターはその前司令、そしてレインの後見人という立ち位置です。詳細設定等はこちらから。

「おはようございます、エメト司令」
「おはよう」
すれ違う職員たちに挨拶しながらエメトはいつものようにオフィスへと向かう。
レインがスターの私邸があるキヨトから戻って一週間

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Ortlinde「ありがとうなのー!」
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両の、この手で

SF小説「同乗者たち」スピンオフ。
リョーコとヨーイチ、全人類の記憶書き換え後の、姉弟の物語。

 まただ。
 カップをソーサーへと静かに戻しながら、私は心の中で呟く。
 最近私の弟は、窓の外を眺めながらぼんやりとすることが増えた。今がまさにそう。コーヒーカップの取っ手に手をかけながら、首をほんの少し傾けて、その瞳の視線はまっすぐに窓の外、青い塔へと注がれている。

「ヨーイチ?」

 問いかけて

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創作未来神話「ガーディアン・フィーリング」20話 恋人たちはノマド .ac(アセンション島)

19話までのあらすじ

火星から地球に帰還したジョニーを、両親であるザックとナターシャ、そして支援団体職員のマッシモが温かく迎えた。火星の生活を始める前に、お互い死ねばいいのに、と思うほど確執のあった親子関係は、霧散していた。そしてついに、ジョニーとその恋人の絵美は、地球で火星滞在の経験を広めながら、もうひとつ、コミュニ・クリスタルで出来るとある仕事を兼ねて、飼いネコのキャシーとタマも一緒に、世界

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創作未来神話「ガーディアン・フィーリング」19話 絵美とジョニーと周りのひとびと

18話のあらすじ

火星から地球に帰還した絵美と、姉の真菜は本当に久しぶりに再会した。そして、昔のようにふたりで神社へ行き、万能通信アイテムである「コミュニ・クリスタル」を通して氏神のスサノオノミコトと尽きない話に花を咲かせた。一方、絵美と同じ宇宙船で故郷のロンドンへと帰ったジョニーは、久しぶりに両親と顔を合わせていた。ここからはジョニーの記録。

19話

日時: 2225年5月30日 ゴミゼロ

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野崎まど『タイタン』感想 業務内容はただ全人類を救うだけの簡単なお仕事です

 野崎まどの最新作『タイタン』を読みました。

《内容紹介》
今日も働く、人類へ

至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。
人類は≪仕事≫から解放され、自由を謳歌していた。
しかし、心理学を趣味とする内匠成果【ないしょうせいか】のもとを訪れた、
世界でほんの一握りの≪就労者≫ナレインが彼女に告げる。
「貴方に≪仕事≫を頼みたい」
彼女に託された≪仕事≫は、突如として機能不全に陥っ

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