健やかなる時も① 101
残された白衣は、染みや汚れ1つなく。
彼の仕事振りや体つきを思い起こさせる、深い皺が刻まれていた。
微かな動悸を感じながら。
僕はしばらく、その服を弄んでいたのだが。
そのあちこちに、硬い感触があることに気付いた。
探ってみると、胸ポケットには彼のネーム・プレートがあり。
左のポケットには、プラチナの結婚指輪。
彼の死後、奥さんから連絡が来た時。
何処にも見付からなかったと言っていたものだ。
最後に探った右のポケットには、紙のようなもの。
取り出してみるとそれは、広報に掲載さ