いつか同じ空の下で笑えたら(完結)
西に着くまで四週間を切っていた。
サナエはその後も絵を描いた。
羊皮紙に、ボロボロの絵の具で絵を描いては、私は嬉しい気持ちの時にこういうものを描くの、悲しい気持ちの時はこういうものを、と教えてくれた。
サナエによると、絵を描くことは心を表すことらしい。
例えばありもしない生物や、現象を描くのは、ここ以外のどこかに行きたいという欲求の表れだとか。
「サナエは、ここじゃないどこかに行きたかったの?」
「そう、私、お母さんがあんなだったから……けど本当はお母さんにも救われて欲しかっ