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エッセイ・コラム・ショートショート等々

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ヘッダー画像は尊敬するナンシー関さんの著書です。
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2023年6月の記事一覧

【エッセイ】厄年がこわい

【エッセイ】厄年がこわい

私は「妖怪」が好きだ。
物心ついた頃から飽きもせず「ゲゲゲの鬼太郎」ばかりみていた。
鬼太郎が好きだったから妖怪も好きになったのか妖怪そのものが好きだったから鬼太郎も好きだったのか…。

どちらにしても私は幼い頃から目に見えないものへの興味が人一倍あったのだと思う。

近所の竹やぶで砂の音がしないか耳をすませていた。竹やぶに現れるという妖怪、砂かけ婆がいるかもしれないからだった。
そう本気で信じて

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【エッセイ】マドンナたちのララバイ

【エッセイ】マドンナたちのララバイ

眠ることは人間にとって物凄く重要だから堂々と眠ればいい。
寝すぎると怠け者だと後ろ指を指されるのではないかという怯えや罪悪感などは背負う必要なんてない。
ない、ない、ない…と、言い聞かせる。

寝るのも惜しんで…

その気持ちもわからないでもない。どうひっくり返っても1日は24時間。みんな24時間なのだ。
でも、眠れるなら眠るべきだ。

「眠りのつけがまわってくる。眠りを選ばなかったらいずれ寝たき

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【エッセイ】コナンと風鈴と畳の匂い

【エッセイ】コナンと風鈴と畳の匂い

夏至が梅雨の最中と重なることに気づかず1983年から生きてきた。あまりの一般常識のなさに情けなくて笑えてくる。

夏至が過ぎ夏の入口に立ったか……
いや、まだだな。
梅雨が明けてないのだから。

年々日本の夏は手強くなっている。
どの季節も異常が異常でなくなってきているが、夏はここ数年文字通り我々生き物を仕留めにかかってきている。
好き嫌いの次元ではない(夏も冬もどの季節も好きだし嫌いでもある)

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【エッセイ】二度と戻れない深夜特急

【エッセイ】二度と戻れない深夜特急

Twitterのタイムラインに流れてきたAudibleのPR。

【斎藤工・沢木耕太郎・深夜特急・朗読】

私の心の脆い部分を刺激するにはこのキーワードだけで十分だった。

私にとって「深夜特急」は二度と戻れない青春の旅そのものだった。
私の頭の中を井上陽水の「積み荷のない船」が流れた。

張り裂けそうだ。切ない。だが、切ないなんて言葉では収まらい。なんて表現したらいいのだろう。
当時と全く同じ胸

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【エッセイ】90年代の象徴「やっぱり猫が好き」

【エッセイ】90年代の象徴「やっぱり猫が好き」

私にとって90年代とはソバージュ、肩パッド、元祖シャツイン、ケミカルジーンズ、吉田栄作、そしてなんてったって「やっぱり猫が好き」である。
90年代は全てこの「やっぱり猫が好き」に集約されているといっても過言ではない(持論)

今日私は金沢という地方都市でファッション雑誌から飛び出してきたような90年代コーデの青年を見かけた。
歳の頃は25前後だろうか。
彼はカラフルなボーダーが入ったサマーセーター

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【エッセイ】鶴瓶さんの「頑張りや」

【エッセイ】鶴瓶さんの「頑張りや」

耳鳴りがしている。

スマホのカメラレンズ下ライトの動作確認で油断してもろに強烈な光線を浴びて目もチカチカしているところにキーーーンを通り越したキイイイーーーーーーーーーーーイイイインな耳鳴り。
泣きっ面に蜂である。

それでもnoteを書く!書かねば忘れてしまう!
私は耳鳴りも定まらぬ視点もちらつく残像にも負けないで中指を小さく動かし文字を入力している。

そこまでして書く内容でもないことだと数

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【エッセイ】ハンカチーフください

【エッセイ】ハンカチーフください

突然だがスマホ本体のスピーカーが故障した。
災難はいつも突然やって来る。そんなものか。
You TubeでV6の『ありがとうのうた』を聴いていた。
前奏から何かおかしいなとは感じていた。
歌が始まって間もなく坂本くんが大声で歌い出した。
もちろん音量などいじっていない。
文字通り目を丸くして一体何が起きたんだと固まってしまった。
ある程度まで大きくなると坂を下るようにボリュームが小さくなった。

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【エッセイ】歌詞をむさぼっていたあの頃

【エッセイ】歌詞をむさぼっていたあの頃

今となっては避けて使わない表現だが、10代の多感(と、される)時期から私は、詩に救いを求めていた。

時は流れいつしか私は書く側になっていた。
そして書く側になってはっきりわかったことがあった。

人を救う為に詩を書いてなどいないことを。

そもそも自分の書いた詩で人を救えるだなんて烏滸がましい考えは、はじめから持ってなどいなかった。

だが10代の、あの頃の私は歌に、特にその歌詞に救われていたの

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【エッセイ】I−CHI−ZU

「山羊さんて夢追いかけられて羨ましいなー」

以前勤めていた職場で同い年の正社員に言われた一言。
きっと彼には悪意などない何気ない一言だったろうが、今でもふと思い出すのはそんな彼のことをとても欲張りだと私がグツグツと苛ついたからだと思う。

彼の夢はプロのミュージシャンになることだった。(演奏する方)

専門学校にも通い都会でバンドを組んでいたらしい。夢追い半ばで当時付き合っていた女性との間にこど

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【エッセイ】そんな自分が嫌いでね

私は歪んだ性格を持っている。
意地が悪い。ただ、それを自分の中だけで完結させる。他人は巻き込まない。

古着屋でのこと。
後方から賑やかな(うるさい)声が近づいてくる。
輩だよ…。あぁ、めんどくさ…。

「テロテロの生地でさー」
「あっ、あそこじゃない?」
「あーあー、近いかなー」
「◯◯(他店の名前)の方がよくね?」
「うわ!ちょっ、これー」
「キャハハハ!たかしじゃん!この前着てたやつにそっく

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【エッセイ】貞子と寝言

【エッセイ】貞子と寝言

「念写っ…、念写が出来ない!」

今朝起きがけの寝言である。

私は自分の寝言でよく目が覚める。
目が覚めてからも夢現、寝言のつづきを呟いている。半分は現実だとわかっているつもりなのだが、もうどうにも止まらないのだ(山本リンダか)

今朝のこの「念写が出来ない」発言はどういう経緯で発せられたのか正直覚えていない。
寝言には手繰り寄せれば何かしら発端があるもので、きっと最近「貞子」について考えていた

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【エッセイ】カレーが繋ぐ黄色い糸

【エッセイ】カレーが繋ぐ黄色い糸

今日(2023/06/03)は映画「スパイスより愛を込めて。」の石川県での舞台挨拶の日だった。

金沢出身の田中美里さんが登壇されるのでぜひとも伺いたかったのだが残念ながら行くこと叶わず…。

きっと素晴らしい時間が館内を流れたであろう。

本映画の舞台が金沢とあって、郷土愛の深い田中美里さんにつづくように私も推していきたい所存であるが、ふと思ったことがあった。

いまや全国区となった「金沢カレー

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【エッセイ】客のいない蕎麦屋

【エッセイ】客のいない蕎麦屋

昔住んでいた愛知県岡崎市のアパートをグーグルマップで訪ねてみた。
駐輪場の屋根の歪みはあの頃のまま。
隣の駐車場の広告看板が撤去されていた。
2階の角部屋の横が私の部屋だった。

残暑がやたらと長引く年だった。
やっと涼しい風が微かに吹きはじめる日没前、洗濯物を取り込みながらベランダで広告看板の向こう側の公園の木々を眺めていたことや、原付バイクで急勾配の坂の上にあった銭湯に週に一度は行ってたこと、

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【エッセイ】クールドジにはなれない

【エッセイ】クールドジにはなれない

You Tubeで「クールドジ男子」というアニメが期間限定で無料視聴公開されていたのでなんとなく観てみた。
いわゆる日常系でクスッと笑えるほのぼのしたアニメだった。
タイトルの通りドジなんだけどクールな男子4人のお話なのだが、暗黙の了解ということになるだろうがもちろん4人ともイケメンなのだ。
当たり前っちゃ当たり前か。
イケメンでなければ成立しないもの。

はじめは4人とも関わり合いもなく知らない

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