マガジンのカバー画像

art & fashion

51
アートとファッションにまつわるエッセイ集です。「○○とアート」「○○とファッション」などのシリーズはこちらに。
運営しているクリエイター

#イギリス

旅とドレス|6年前のきょうロンドンでダイアナ妃のドレスを観て、そして。

旅とドレス|6年前のきょうロンドンでダイアナ妃のドレスを観て、そして。

つくづく、人生においてムダな体験はないなあと思います。

そのときは、意味がないと思っていたことでも、めぐりめぐって、「ああ、あの時の経験はここに繋がっていたのか」ということが頻繁に起こります。

自分で伏線をばらまいて、自分で回収しているような人生を送っているわたしですが、今回はそのなかでも「なかなか見事に回収できたなあ」というような出来事があったので紹介したいと思います。

2017年7月14

もっとみる
ハタチの君と、創業100年・神戸の老舗洋服店へスーツを仕立てに。

ハタチの君と、創業100年・神戸の老舗洋服店へスーツを仕立てに。

けっして安いものではない。でもよい買い物だったと思う。

ハタチの息子の、成人式のスーツを神戸の老舗洋服店(テーラー)に仕立てに行った。

スーツを仕立てるということ成人式のためとはいえ、どうせお金を出して買うのなら、ずっと着られるものがいいなと思った。オーダーでつくってサイズが変わったらもったいない、と思われるかもしれないが、ちゃんとした紳士服は「お直しすること」を前提に作られているので、直しな

もっとみる
「バンドTシャツをバンドで買う人初めて見ました」と店員さんに言われまして

「バンドTシャツをバンドで買う人初めて見ました」と店員さんに言われまして

夫のTシャツがあまりにもヨレヨレで不憫なので、新しいのを買ってあげた。

イギリスの音楽が好きな夫は、持っているTシャツのほとんどがミュージシャンのいわゆる「バンドTシャツ」だ。そしてそれらのTシャツは、彼のイギリス音楽への深い愛のなせる技なのか、元来ものもちがいいのか、みんなおしなべてヨレヨレである。

なかでもこの「ジョイ・ディビジョン」のは特にヨレヨレで、元は黒だった(はず)なのに、いまはも

もっとみる
「声をあげるドレス」 女性たちは何を着て闘ってきたのか。 #国際女性デーによせて

「声をあげるドレス」 女性たちは何を着て闘ってきたのか。 #国際女性デーによせて

政治や選挙に関する記事はあまり人気がないかもしれませんが、服を仕事にするわたしが書くなら、ファッションにからめて書いてみます。タイトルは「声をあげるドレス」です。

「DRESS TO PROTEST」
書きたいと思ったきっかけは、HARPER'S BAZAAR(ハーパース・バザー)UK版・2021年3月号の、「DRESS TO PROTEST」という特集記事です。「抗議するドレス」として、政治的

もっとみる
ファッション × 英語学習 「LANVIN」の創設者 ジャンヌ・ランバン

ファッション × 英語学習 「LANVIN」の創設者 ジャンヌ・ランバン

ドレスの仕立て屋タケチヒロミです。noteでフェイスブックの投稿をシェアできるようになったので、早速。バースファッションミュージアムの、クリスマスにぴったりなモミの木みたいなジャンヌ・ランバンのドレスの投稿をシェアします。

ゴージャスなグリーンのシルクタフタドレスが私たちをお祭り気分にさせてくれます。こちらは1919年、ジャンヌ・ランバンによる「ローブ・ド・スタイル※」のドレスです。シンプルなボ

もっとみる
読み、繕い、繋ぐ、おばあさまの仕立てたウェディングドレス。

読み、繕い、繋ぐ、おばあさまの仕立てたウェディングドレス。

古いものとドレスとイギリスをこよなく愛す、ドレスの仕立て屋・リメイク作家のタケチヒロミです。

先日、お母さまのウェディングドレスのリメイクのご依頼がありました。シルクのコード刺繍が美しい、35年ほど前のウェディングドレスです。

ボリュームのあるお袖のデザインが80年代のドレスの特徴を表しています。

1980's この時代のドレスには、肩や袖など、上半身にボリュームのあるロマンティックなデザイ

もっとみる
「旅先で受賞を知りました」って、言いたいだけ。#2020年秋の美術・芸術!コンテスト で入賞しました。

「旅先で受賞を知りました」って、言いたいだけ。#2020年秋の美術・芸術!コンテスト で入賞しました。

「ただの召使じゃないわね」が人生で言われてみたいセリフNo.1のドレスの仕立て屋、タケチヒロミです。花嫁さまの召使いだと思いきや、実は移動式チャペル・ルーロットの女主人です。

ちなみに言ってみたいセリフのひとつが「旅先で受賞を知りました」だったのですが、なんと、その夢のシチュエーションがきのう、叶ってしまいました。
#2020年秋の美術・芸術 ! で入賞したとの知らせを受けたのです。なんと旅先で

もっとみる
これが今日のわたし。「アイ・アム・アート」ダニエル・リズモアの纏うアート。

これが今日のわたし。「アイ・アム・アート」ダニエル・リズモアの纏うアート。

英語の勉強のために視聴しているTEDで、ダニエル・リズモア:アート作品として生きるということ。という印象的なスピーチに出会いました。

思わず全文をノートに書き取って、コラージュしてしまいました。素晴らしすぎて。

自らを「I am art」と言い切り、アート作品として生きるダニエル・リズモアさんの講演です。

ダニエルさんの纏う服は、ビール缶や高級シルク、街で拾ったゴミやプラスティックのクリスタ

もっとみる
白いドレスへの偏愛を欲望のままに綴った記事が「note編集部のおすすめ」に掲載されました。

白いドレスへの偏愛を欲望のままに綴った記事が「note編集部のおすすめ」に掲載されました。

ただ欲望の赴くままに白いドレスへの偏愛を綴った記事が、note編集部のおすすめに掲載されました。

掲載の報告は三段階でした。

最初にジャンル別(#ファッション)でたくさんスキされました、とお知らせが届いて、

そのあとにnote編集部お気に入りマガジンに取り上げられたとの通知が来まして、

しまいには、紙吹雪が舞い散って、「おすすめ」に掲載されたと…。

確かに、この右端の編集部のおすすめのと

もっとみる
絵画とファッション「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」白いドレスの破壊力について。

絵画とファッション「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」白いドレスの破壊力について。

突然ですが、「白いドレスを着た少女たちを庭で眺めていたい」という偏愛極まりない私の願望の元となった、美しい絵画をご紹介いたします。

ジョン・シンガー・サージェントの「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」です。描かれたのは1885年。ヴィクトリア時代です。

John Singer Sargent「Carnation,Lily,Lily,Rose」1885-6

「カーネーション、リリー、リリ

もっとみる
ひねくれ美術小僧、頭ヨシヨシされる。 2020秋の美術・芸術コンテストに参加して。

ひねくれ美術小僧、頭ヨシヨシされる。 2020秋の美術・芸術コンテストに参加して。

2020年秋の美術・芸術コンテストに参加しました。

そういえば、「美術エッセイ」って初めて書いたかもしれないな、と思いました。

美術短大を出ているし、美術館で働いたこともあるし、アートギャラリーの運営するアトリエに長く居たこともあり、客観的に見るとずいぶん「美術」に関わる人生を送ってきたと思われそうな私ですが、こんなに真っ向から、美術や絵画に向き合ったのは久しぶりのことでした。

関わるにして

もっとみる