ひねくれ美術小僧、頭ヨシヨシされる。 2020秋の美術・芸術コンテストに参加して。
2020年秋の美術・芸術コンテストに参加しました。
そういえば、「美術エッセイ」って初めて書いたかもしれないな、と思いました。
美術短大を出ているし、美術館で働いたこともあるし、アートギャラリーの運営するアトリエに長く居たこともあり、客観的に見るとずいぶん「美術」に関わる人生を送ってきたと思われそうな私ですが、こんなに真っ向から、美術や絵画に向き合ったのは久しぶりのことでした。
関わるにしても、いつもあえて少しずらして触れて来たような感覚があって、そこにはわたしの「美術」に対する微妙な「挫折」や「屈折」の体験が少なからず影響しているのだと思います。
ものごころついた時にはすでに絵を描くことが好きだった私は、かなり早い段階で絵を描いたりものを作ることを生業としようと決めていました。ところが美大の受験過程において、私はいくつかの「挫折」を経験します。
ばっくり言うと、両親の反対と不理解、美術研究所(美大の予備校)で思い知った美術を学ぶ上での経済的地域的格差、お金の問題、出口の見えないデッサンの伸び悩み、志望校に合格できなかったこと、四年制大学を卒業していないこと、くらいです。(十分か)
しかし、大人になると言うのは素晴らしいことです。世界が広がり、物理的・機械的に解決できることが増えます。親とも物理的に離れることで、かえって関係は良くなりました。志望校ではなかったですが学校はかなり楽しく、いまも付き合いの続くかけがえのない友人たちに出会うことができました。さらには「視覚心理学」を学ぶことで、あんなに苦しんだデッサンの悩みも、目からウロコが落ちたかのように解決しました。
その後、超就職氷河期だったのにも関わらず運よく希望の会社に就職できたわけですが、もしも四年制大学を出ていたら(二年就職活動が遅れたら)おそらくその会社へは就職できなかったと思います。
全てがいい方向に進んだものの、一度ひねくれてしまった心は、そんなに簡単にまっすぐになるものではありません。心のどこかにいつも引っかかっている、小さな魚の骨のような美術へのコンプレックス。
だから今回、好きな絵画についてエッセイを書く、そしてそれを第三者に読んでもらって評価してもらうという経験を通して、わたしの心の隅っこで膝を抱えてうつむいていた「ひねくれ美術小僧」が、顔を上げてちょっと笑ってくれたような気がしたのです。
artのエッセイがとても素敵な(そしてイギリスの話題が多いこともうれしい)artoday-chiaki さんに、ヨシヨシと頭を撫でられたようで、心がポッと温かくなりました。
ああ、ほんまにただ「絵が好き」だけでいていいんだなあ、と。
図書館の床にぺったりと座り込んで、名画全集を飽きもせずに眺めていたあの頃の気持ちに少し戻れました。
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