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短歌(和歌)と散文

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#和歌

【自己紹介】輝いて生きる芸術家・五十嵐創の真実

【自己紹介】輝いて生きる芸術家・五十嵐創の真実

初めまして、五十嵐創(いがらしそう)と申します。日本の芸術家、作曲家、ピアニスト、文学者、歌人です。現在、個人として活動しています。

私の半生コンピュータ音楽と人工知能を慶應義塾大学大学院において専攻し、在学中に発表した前衛的な電子音楽作品によって国際的に一定の評価を得ました。同時に作曲の個人レッスンを受け、西洋古典音楽を学びました。

非常勤教員として慶應義塾大学および東京工科大学に勤め、研

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今月八日に投稿しました【自己紹介】記事を昨日改訂しました。追記し、内容を充実させました。初稿を既にお読み下さった方にも是非ご再読頂けたらと思い、お知らせ申し上げます。
お手数をおかけ致しますが、それだけのものを書いている自信はあります。

【和歌】鈍色の秋の海には

【和歌】鈍色の秋の海には

生まれ落ちたその瞬間から、生きることが日々魂を殺され続けることであったような人間は、いったいどうすれば救われるのだろう… 。

否定されて生い立ち、間違った医療を施され、自分の人生を得られないうちにすでに、取り返しのつかない、あまりに多くのものを奪われてしまった。本当に生きることができないうちに老いてしまった、というチャタレー夫人コンスタンスの嘆きは、私自身の最も受け入れることのできない無念と不本

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朝、床の中で目を覚ますと、しっとりした空気の中、雨の音が聞こえました。そのときの気持ちを詠みました。

妖気充つ 春の心をなぐさむる 花の雨こそ あはれなりけれ

(不穏な気配に充ちた春の落ち着かない心を和らげてくれる、そんな桜の季節に降る雨こそは本当に趣深いものだ)

社会によって人間を失格させられる男。発表以来、特別な心の支えとして多くの人に愛されてきたというこの小説はしかし、私を救わない。

最後のマダムの言葉が、もしその結論なのだとしたら――。

この黒々とした不気味な小説を、私は一人で抱えていられない。

誰かと心を分かち合いたい。

【和歌】優しい光に包まれるとき🦄

【和歌】優しい光に包まれるとき🦄

碧眼の青年はしもてカレー食ふ木もれ日やさし神宮のもり

吹く風に少しずつ初夏の香りが漂い始めた、ある晴れた日のこと。折にふれて訪れていた神社で参拝を無事に済ませ、境内に設けられた食堂で休んでいると、隣のテーブルでは青い目の青年が一人、懸命に箸を使ってカレーライスを食べていた。いかにも食べ辛そうであったけれど、彼はむしろ誇らしげな表情をしていた。

日本文学研究者の故キーン・ドナルド氏は、初めて日

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【短歌】令和5年春の自撰

【短歌】令和5年春の自撰

主に先月と今月詠んだ歌をまとめました。

単純にこの期間に作った歌を集めたもので、形式的にも内容的にも、何らかの統一性を持たせようとはしていません。現代語で詠んだものもあれば、古語で詠んだものもあります。内容も本当に、本当に様々です。

実際は昨年詠んだ秋の歌も入っています。その歌を詠んだ当時と同じ気持ちを再び痛切に経験することが今春にもあったため、あえて再びここに取り上げました。性愛を題材とした

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【和歌】ありのままの姿であって欲しいけれど

【和歌】ありのままの姿であって欲しいけれど

雑草と呼ばるる命ひとつびとつ名を確かめつためらひて摘む

自然や動物に触れることは、私の大きな喜びの一つです。特に、なるべく人の手の入らない、ありのままの姿で自然があることに安心を覚えます。

しかし、隣家との距離が近い都市部では、本意ではなくても、ときに庭を「手入れ」し、「雑草」を取り除かなければならないようなこともあります。

雑草と一括りにされる植物も等しく生き物です。自身に害を及ぼす訳では

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【短歌】連作「生きたいのに」

【短歌】連作「生きたいのに」

生きたいのにいつだつて壊れてくれと願つてた家庭という透明の牢獄

何もかも呪いのようなものばかり結婚家庭倫理道徳

親という悪魔も知らず恵まれたあなたの正義を押し付けないで

地獄だと擦り込まれて来た世の中で生きる手立てが見つけられない

生きたいと必死で踏み出す人の世に悪魔の顔がいつも重なる

補遺透明な家庭という名の牢獄で起こったことを誰も知らない

家庭など無くなれとずっと願ってた私に説くか

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【短歌】自撰三首―迷いない心のつばさで―

【短歌】自撰三首―迷いない心のつばさで―

あふれ出る言葉は泪泣くことのできない私の胸の奥より 題詠:「短歌」

否ばれて生ひ立てる身に消たれざる光ぞありて吾を生かしむ
歌意:否定されて生い立った私の中に、何ものによっても決して消されることのない光があり、それこそが私を生かしている

迷いない心のつばさで翔んでゆく私の空はどこまでも澄む

第一首と第三首は近作です。共に私を代表する歌として特別な愛情を持っています。特に第三首については、も

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【今日の短歌】令和5年5月27日

【今日の短歌】令和5年5月27日

大切なはずの録画を消してゆく身体に傷を付ける代わりに

私の作品を真剣な愛情をもってご覧下さる方が、仮にいらっしゃったとして、その方をつらい気持ちにさせずにおかないような痛々しい表現は、たとえ自分がどれほどの苦しみの中にあったとしても、決してしまいと必死に努めて来た。

その気持ち自体は今も変わらない。しかし、もう無理だと思った。本来的に一人で抱えきれない苦しみを自分の内に抑え込もうとするのは、

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【短歌】本当に受け入れられないもの(令和5年5月28日)

【短歌】本当に受け入れられないもの(令和5年5月28日)

からっぽになりたい茜色の空浮かぶ雲さえまぶしく光る

憧れはSNSを止めることネットを離れて生きられること

今日もまた起き上がれない僕用のカーネーションを誰か下さい

最初の二首は今月28日に詠んだものです。その前日の歌(今日の短歌 令和5年5月27日)にすでにはっきりと表れているような、どうしようもない気持ちを抱えて一人、夕暮れどきに外を歩いていました。

まるで無意識に助けを求めるように

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