【和歌】優しい光に包まれるとき🦄
碧眼の青年はしもてカレー食ふ木もれ日やさし神宮のもり
吹く風に少しずつ初夏の香りが漂い始めた、ある晴れた日のこと。折にふれて訪れていた神社で参拝を無事に済ませ、境内に設けられた食堂で休んでいると、隣のテーブルでは青い目の青年が一人、懸命に箸を使ってカレーライスを食べていた。いかにも食べ辛そうであったけれど、彼はむしろ誇らしげな表情をしていた。
日本文学研究者の故キーン・ドナルド氏は、初めて日本のレストランでカレーを注文した際、添えられたスプーンを見て、「外国人扱いされた!」と、日本文化の専門家としての矜持を傷つけられる思いがし、箸を持って来て欲しいと毅然として頼んだのだとか。
後年キーン氏自らユーモラスに紹介していたこの微笑ましいエピソードが思い出され、私は温かい気持ちがし、思わず頬が緩んだ。まるでそんな私たち皆を見守るように、神宮の杜にはしとやかな木漏れ日があふれていた。
かつて実際に経験し、とても心に残っていた、このような情景を詠みました。
私に魅力をお感じ下さるそのお心を、もしサポートとしてもお伝え下さいましたなら大変幸せに存じます。体質上、生きるために私にはどうしても日々必要な、保険適用外の医療を含め、制作に充当させて頂きます。より美しい作品、演奏をご披露することで、頂戴したお気持ちにきっとお応え致します。