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Essay

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1000文字以下の短い文章。不定期的に、ざっくばらんに書いていきます。
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灯台

灯台

33年の人生の中で一番むずかしかった時期が14歳〜21歳までの七年間で、私はたぶん、その時の悲しみをいちど心の底に沈め込んだまま忘れちゃうことで、残りの20代を乗り切った。

つい最近まで、その箱を開ける勇気なんてなかったし、
一生あけなくたって人生幸せにやっていけるだろう、とさえ思っていた。

だけど、自分が人生で受けた傷は自分にしか癒すことができなくて、悲しい感情から目を逸らさず、ちゃんと悲し

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Essay day14. わたしが泣くときのこと

Essay day14. わたしが泣くときのこと

最近、自分の身の回りに居てくださる方々がとにかく素敵な人たちばかりということに気づくことが出来た。

それは何も人間関係がガラッと変わったわけではなくて(日本に帰国していく人たちを見送りながらゆったりと移り変わってはいる)、主には自分が今周りにいてくれる人たちを見る目線を変えたんだと思う。

そして、そんな風に私を変えてくれたのは日本にいた時から私の周りで私を長いこと信じてくれてる人たちなのだと思

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Essay day13. 忙しいほうが好きみたい

Essay day13. 忙しいほうが好きみたい

久しぶりにゆっくりする時間が持てて、1ヶ月かなり自分の時間に余裕がある生活を送らせてもらったのですが、、もうギブアップ。

だめだ!!!!!
忙しくなりたくてしょうがない!!!

頭のなかにいくつもの締切があると確かにずっと色んなことを考えながら生活することになるけれど、その切迫感も含めて、私はある程度以上忙しくないと無理な人みたいです。

「心の余白」と「時間の余白」が比例しないのはなぜだろう。

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Essay day12. 一番古い記憶

Essay day12. 一番古い記憶

私は、人生のなかで経験したすべてのことを脳は実は覚えているんじゃないかと信じている。ただ、引き出すことが出来ないだけで。

なぜそう思うかというと、色んなことをうまく忘れてしまえないと辛い記憶が蓄積されて生きることが怖くなってしまいそうだから。

それで、今の自分が思い出せるできる限り古い記憶について考えてみることにしました。
私の場合は、幼稚園に上がった後の記憶が断片的に映像として残っています。

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Essay day11. 戦うことについて

Essay day11. 戦うことについて

私たちは日常生活の中でいつも何と戦っているのか。あるときは同じ目標を持った他者であり、制限時間であり、睡魔とか食欲みたいな自分の内側から沸き起こる欲望だったりする。

大抵は「打ち勝つ」ことが成功とつながっているから、人は日々の生活を努力していると考える。

では、もし、ピアノを弾くのがとにかく楽しくて弾いてるうちに上手くなり過ぎて、弾いてるだけで生計が立てられるようになって、毎日ピアノと遊んで暮

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Essay day10. Keith Jarretは精神安定剤

Essay day10. Keith Jarretは精神安定剤

子どもの頃、いつも音楽が流れている家だった。色んなジャンルの音楽が常に掛かっていた。レコードだったり、CDだったり。それは大体がお父さんの趣味だった。

当時は、特に注意して聴くこともなく、他の環境音と混ざっていた。どれがなんの曲かも知ろうともしなかった。

だけど、大人になってみると、それらの音楽は精神安定剤のような機能を持ち始めた。
家の中でjazzを流しておくと、かつて何も思い悩まずに生きて

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Essay day9. 芽が出るまでの間

Essay day9. 芽が出るまでの間

私はいつも新しいことを始めるとき、最初に芽を出すまでのスピードが遅い。

向いてるか向いてないかもまだよく分からない第一歩目、大体のこのこと歩いてしまう。そうやって何年か地道に芽が出るのを待ってる間に、あとから始めた人たちにバンバン追い越されていく。

そんなとき、私は自分のことを不器用だなぁと思って観察していた。上手く出来ないのは、頭が悪いのか、手先が不器用なのか、向いてないのか、そのどれかなん

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Essay day8. たりない

Essay day8. たりない

「足るを知る」は、古代中国の思想家、老子の言葉なのだそう。今持っているもの、当たり前にあるもの、「ある」方に感謝しましょうということ。

言葉自体は近代的な響きがあるのに、そんなに昔から「足るを知る」が美徳とされてきたということ。古代において「足るを知る」という言葉は、特権階級の人たちの言葉だったのかな。

少なくとも今こうやって資本主義の波にのまれて生きていると、メディアは私たちの足りない部分ば

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Essay day7. お母さんはいつだってちゃんとしてた

Essay day7. お母さんはいつだってちゃんとしてた

大人になって、自分で住むようになって、お母さんって凄かったんだなって、今までと別の次元で理解するようになった。

朝起きたら毎日しっかり布団を畳んで、しまって、週に一回お日様にあててくれて、シーツもしょっちゅう変えてくれて、朝ごはんが用意されて、家の中がいつも清潔で、毎日洗いたてのパジャマを着て、シャツにはアイロンがかかってて、夜ご飯は毎日手作りで、疲れたから食器洗うのは明日でいいや、なんてことは

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Essay day6. 旅先選びはどうやっているの?

Essay day6. 旅先選びはどうやっているの?

私にとって旅はいつも挑戦のようなものです。

20代の頃はお金が無かったから、と思っていたけど、本当に旅が好きな人ってお金がない頃から旅のために死に物狂いでお金を捻出しているので、つまるところ私は旅へのハードルが高い兆候にあるんだと思う。

そんな自分に訪れた一番の転機は、親友がLAに引越してその結婚式に出るためにアメリカに行く機会を得たこと。そんな大切なイベントがなければ、私の人生にアメリカに行

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Essay day5. プロフェッショナル・漢方医療編

Essay day5. プロフェッショナル・漢方医療編

3ヶ月くらい前、突然身体にアトピーが出てきて全身がただれたような状態になってしまいました。

理由は忙しすぎたストレスと、それによる生活リズムの乱れと不摂生だと思います。アトピーだけでなく自律神経失調症のような症状も見受けられて、それはなかなかしんどい時間でした。
身体が痒くて眠れないし、起きたら物凄く疲れているし、何より顔にアトピーが出てげっそり疲れ切った自分の顔を鏡越しに見ていると、自分が10

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Essay day4. 小説を読むときに情景が浮かぶか否か

Essay day4. 小説を読むときに情景が浮かぶか否か

今日は、言葉とイメージについて考えてみようと思います。

タイトルにあるトピックを提供してくれたのは、去年の秋にロンドンで出会ったアートディレクターの村口麻衣さん。お互い似た仕事やロンドンでの自己内観を繰り返していて、出会ってからよく美術館に一緒に行ってもらったり、話の壁打ちになって貰ったり、刺激を沢山いただいています。

そんな彼女から聞いた興味深いハナシが、小説を読みながら、そこに綴られている

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Essay day3. 小さな幸せ(グリマー)を積み重ねて大きな幸せを得る生き方

Essay day3. 小さな幸せ(グリマー)を積み重ねて大きな幸せを得る生き方

最近友達が教えてくれた言葉「glimmer」(グリマー)。ポリヴェーガル理論という、自律神経の機能に関する新しい理論に出てくるコンセプトで、直訳すると「かすかな光」みたいな意味になるようなのですが、心理学における単語としては2018年に定義された言葉なのだそう。

心理学上の訳としては少し意訳になってしまっているかもしれないけれど、「心が喜ぶ小さな幸せな出来事」って感じで私は理解しています。

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Essay day2. 空白の時間を恐れるのは現代病なのか

Essay day2. 空白の時間を恐れるのは現代病なのか

7月1日から毎日一投稿と目標を立てたにもかかわらず、さっそく2日も穴を開けてしまいました。予期せぬトラブルに見舞われて、そのことで文章を書く気持ちの余裕が全くなかったのです。

この文章を書くことと、書いた文章を将来読み返すことは自分自身のためになるので引き続き、立て直して書いていこうと思います。

さて、自分の人生に予期せぬ出来事が起こると必然的に生活を一時停止することになります。
具体的に起き

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