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#リフレイン 22




「はるちゃん!」


伊吹が部屋に飛び込んできた。

「…」

伊吹は目を丸くして辺りを見渡している。

「何これ…」

「…どうやって入ってきたの?」

「え?どうやって?」

「鍵」

「ああ、フロントで。ちょっと揉めちゃったけど。プライバシーがうんたらって」


「…そう」


「でもそんなこと言ってる場合じゃないって言ったら貸してくれたよ」

「…」


「はるちゃん」

「…」

「あの人でしょ?」

「…そう。」


「はるちゃん?」


伊吹が近づいてきた。
もう怒られるんだと思った。
何かしらの
私を絶望させる言葉を
言われるのかなって
もう疲れたよ、とか
呆れたわ、とか。

だから、近づいて、来ないで、

「…っ」

伊吹は私の顔を覗き込んで
笑顔で言った。


「オレを呼んでくれてありがと。頑張ったね。怖かったよね。もう大丈夫。」

「伊吹…」

「とりあえず服着よっか!ね!これらはオレが処分するから安心して」


写真を拾い集める伊吹のケータイが鳴る。

「もしもし、え?何?なんだよ志摩さん今立て込んでて、
…は?ツブッターに?写真が?…」

伊吹はケータイを耳から離して
慌てて何かを操作している

「クソが…あの野郎…!」

「伊吹?どうしたの?」

「志摩さん今すぐプリンスホテル来て!1215!飛んできて!!!緊急事態!!!」

「電話、志摩…?」


「はるちゃん、落ち着いて聞いてね。今志摩さんがネットではるちゃんの写真が出回ってるのを見つけた。今から志摩さん来るから、一緒にいてね。オレは奴を追う」

「追う?!えっ!ちょっと、」

伊吹は凄い勢いで出て行った。
追うって、そんな、そんな…


ツブッターに写真。奴を追う。
まさかネットにも垂れ流したというのか


そんなことを考えながらとにかく服を着た。

忙しないノックに、慌てて着替えを終えてドアを開ける。

「え?志摩?…」

「大丈夫ですか?…大丈夫じゃないですよね。すいません」

「何?どういうこと?」

志摩を中に入れドアを閉める。

「あの人が写真を撮ってネットにばらまいたってことでしょうね。一応ツブッターと警察には連絡しておきましたけど、…」

「…ネットに…
志摩も見たってこと?」

「…えー、見てません。あ、よくは、見てません。ふんわり。」


「最悪。サイテー。どこの誰かわからない人に見られたならまだしも、志摩に見られるとか。恥ずかし」

「いや、そんなこと言ってる場合じゃないですよ。追いかけましょ」

「志摩…」

「はい」

「伊吹に嫌われちゃったらどうしよう」

「はあ?まだそんなこと言ってんすか」

「またかよ!って。思われたんじゃないかなあ」

「今回はついていったんじゃなくて、襲われたんじゃないですか。同意の上じゃないし。無理矢理だし。犯罪ですよ」

「でもさあ。ダサいじゃん。手がかかるじゃん。歳上なのに?なんか…もう嫌ってならないかな」

「あーあ。あとでこっぴどく伊吹に叱られてください。そう言ってたって伊吹に言いますから」

「…」

「はるかさん!しっかりして!仕返ししなくていいんですか?!伊吹が捕まえに行ったんですよ!」

「…」

「終わらせるんでしょ!新しい自分になるんでしょ!!」


新しい、自分


「…自信がないよ」

「もー!なんで仕事にはあんなにガツガツいけんのに、伊吹のことになると弱々なんですか!」

「だってさあ」

「なんですか」

「失敗してるから。失敗したんだよ2回も。」

「失敗?」

「怒られるんだよ失敗すると。同じことを2回もしてしまった。伊吹を困らせた。心配させた。怒らせた。」

「…はるかさん、伊吹ですよ?伊吹。伊吹は、怒らない。怒鳴ったりしない。親じゃないんだから。

…そういうことでしょ?」


「…」

「伊吹のこと助けにいきましょう。あいつ暴走してるかもしれません。それに、はるかさんもあの人に言いたいこと言った方がいいですよ。仕返ししなきゃ」


「…」


「わかりました。仕返しはいい。伊吹のために。伊吹が無事かどうか。ちゃんと確認しましょう。オレと一緒に。ね。」


「志摩?」

「はい?」


「ありがとう」

「…なんですかその広げた腕は」

「ハグ、して?」


「オレ勘違いしますよ?」


「お願い。」


志摩はゆっくり抱きしめてくれた。


「…はるかさん。もう、こんなことは起きないと思いますから。安心して。…オレも、絶対にそばにいるから。」


「…志摩、もういい、苦しい」

「あ、すいません」


「頑張る。頑張れそうだよ」


「ずるいっすよ」

志摩の顔が歪んでた。

「よし、行こうか」


わかる。わかってるけど。
少し

甘えた。

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