#リフレイン 14
「志摩」
「はい」
「この前は…ごめん。なんか卑屈になっちゃったよね。せっかくタクシー呼んでくれたのに…ごめん。志摩のことが嫌とかそういうのではないから。ほんとに…ただちょっと、感情的になっちゃって。ごめん」
「いえ。オレも勝手にいろいろ言って。すみませんでした。」
「ふふ。大丈夫。」
「あ、これ。約束してたやつ。お誕生日プレゼントです」
「ありがとう。開けていい?」
「もちろん」
「…これ、…色違いだ」
「え?」
「実はね、ストラップ壊れた次の日に、伊吹がこれの色違いをくれたの。でも…志摩が新しいのくれるって言ってたから、なんか先にそれつけるのもなあと思って、今までつけなかったんだけど…ていうか伊吹にカギについてるとかなんとか言ったの志摩でしょ。なんで知ってるんだろーってあとから考えて、」
「あいつ…」
「ちょっと、聞いてる?」
「え、あ、はい、すいません」
「でも。ありがとう。両方つける。一緒に。」
「伊吹のほうが気に入ってるならそれはそれで…」
「ほらね。絶対志摩そう言うと思って。違うの。2人分あったら、なんか、…強くなれそうでしょ」
「…オレってダメですね」
「どうして?何が?」
「また負けた。今度はスピードが。」
「何?伊吹にってこと?勝ち負けだったの?」
「…」
志摩うなだれた顔は何回か見たことがある。
「志摩は自分を責めるのをやめないとね」
「はるかさんに言われたくないです」
「…私はいいのよ。でも志摩は未来ある若者」
「2個しか違わないのに?」
「2つは大きいわよ」
「はるかさんは優しすぎるんだよな」
「そんなことない。」
「…肝心なのは、望んだり生きたりすることに飽きないこと、だそうですよ」
「…難しいわね。…望むこともなければ生きようとする気もどんどん失ってる気がする」
「たぶん、伊吹なら?そんなのダメだって言うんだと思うんですよ。でも、オレは少しわかります。なんか。思ってたのと違うっていうのはあります。」
「志摩は毎日楽しくないの?」
「んー。楽しくないわけじゃないですよ。はるかさんはいい先輩だし、伊吹は…まあ手がかけるけど根はいい奴だし。
ただ、割と世の中というか、社会っていうのは、真っ黒だなっていうのは、…思いますね。期待しても無駄っていうか。」
「私もね?もう少し若い頃は、どこに行きたいとか、あれが欲しいとか、そういう欲もあったんだけどね。なんかだんだん無くなっちゃって。恋愛したいとかはほんとになくなっちゃったし、…なんで生きてるのかわからないのよね。朝起きて仕事して夜寝るそのルーティンをこなすだけで精一杯。」
「はるかさん忙しいですもん。仕方ないですよ。上から降ってくるでしょ、仕事が。」
「まあね。女だからっていうアレなのかな。降ってくる仕事はふるいにかけられて落とされた雑務よ。
まあ、別に上と張り合おうとか、絶対に出世しなきゃ、とかもないから。いいんだけどね。」
「でも、仏教的に言うと、何にもないことが幸せ的な見方もあるから、欲がないのはいいことなんじゃないですかね」
「んー。そうなのかな。なんか、人間としてどうなんだろうとも思うけど」
「別にいいじゃないですか。強欲な人間よりマシですよ」
「…志摩は私を責めないよね。いつも。」
「どうして責める必要があるんです?」
「…いや。なんでもない。」
私は責められるのを待ってるのかもしれない。
あの人に言われなかった言葉を
飲み込んだであろう文句を
お前のせいだ
お前が悪かったんだ
だから嫌いになったんだって
そう言ってもらいたかったのかもしれない
そう言われていたら
今は何か違う現実があっただろうか。
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