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#リフレイン 7

「はい、これ」

「ん?どうしたの伊吹」

「あげるね。キーホルダー。ラルフローレン、好きなんでしょ?」

「あー、…この前のストラップのこと?」

「そう。なんか…。悲しそうだったから。同じのはなかったけど…。カギと一緒につけるならこっちの方が長さ合うかなあって。」

「え、わざわざ…ありがとう。本当にいいの?もらっちゃって」

「うん。先輩のために買ったから。」

「ありがとう」

「志摩さんがね?記憶の奴か…ってボソって言ってたんだけど、それってなんのことですか?なんの隠語?」

「志摩…余計なことを…。別にね、志摩に教えたわけじゃないし、伊吹にも関係ないことだから。気にしないで」

「忘れられない人とか?」

「忘れなきゃいけないし忘れたい人。」

「元彼?」

「さあ。どうだろ。」

「忘れるには…新しい彼氏作るとか?」

「伊吹さあ。…まあ私変人だから、言うけどさ、そもそも彼氏を作るっていう行為自体意味不明っていうかさ。彼氏を作るために生きてるわけじゃないじゃん?お互いが好きだなーってなって、初めてそういう肩書ができるわけなのにさ、作るのが目的ってなんかおかしくない?」

「そういうことを言いたいんじゃないけど。」

「じゃあもっと現実的に言おうか。新しく彼氏ができていたらもしかして忘れたのかもしれない。だけどできてもないし、好きな人もいない。そもそも恋愛に興味がない。」

「えー?うふふりたいじゃん?」

「人を信じるってのはエネルギーがいるでしょ。私にそんなエネルギーはもうない。」

「もっと楽しく生きたらいいのに。肩の力を抜いてさ?」

「別に楽しくないわけじゃない。記憶が邪魔なだけ。私表情乏しいからわからないかもしれないけど、結構幸せに生きてるから。心配ご無用」

「ふーん。まあ、それならいいけど。」

「私が悪いの。だからいいのよ。」

「悪い?」


もっと聞きたかったけど志摩さんが怖い顔で来てデスクまで引っ張られた。

「伊吹何してんだよ。お前終わったのか書類作るの」

「はいはーいもうちょっと〜」

「ったく、はるかさんにいちいち干渉すんなよ」

「なんで?普通に喋ってただけじゃん」

「仕事終わってないのにうろうろすんな」

「でもさー、私が悪いから、って言ってたんだよね。なんだろ。悪いからって」

「…さあな。」

志摩さんもはるかさんも
何も言わない人たちだった。


2人ともめっちゃいい人だしおもしろいけど

その話になると口を噤んだ。


でも、なんとなくはわかる。
暗い雰囲気。
何か悲しげな、
そしてやるせなさ。

難しいことを
たくさん考えてる。


だからきっと2人は

優しいんだろうな、とも思う。


たくさん考えてから言葉にするから
きっと優しくなる。

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