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#リフレイン 24

ビルの屋上は人がいない。
風が吹いて心地よい。


「志摩さんさあ」

「なんだよ」

「ほんとに、オレでよかったのかなあ。」

「…」

「志摩さんじゃなくて」

「お前までそんなこと言ってんのか」

「…はるちゃん、会社やめたじゃん?」

「…」

はるかさんはあの事件の後会社を辞めた。
やはりネットに上げられてしまったのは痛かった。
何も悪くないのに、怪しい危ない人になってしまった。それをオレたちはどうすることもできなかった。
上司に呼び出され咎められたことと、
本人がこのままここにいても、と思ったことで
結果退職ということになってしまった。

「なんか、あんなに仕事頑張ってて、できる人なのにさあ、あんなことで辞めなきゃないなんてさあ。」

「…社会ってのはそういうもんだ。クズで出来上がってんだよ」

「…オレ、なんか合ってるのかなあって。これで。これでいいのかなあってさ。思うの。本当は、はるちゃんは志摩さんのことが好きなんじゃないのかなあって」

「アホか。…はるかさんはな、一生懸命お前と向き合ってんだよ。怖くて怖くて、怖いけど、だけど、お前と一緒に歩くって、新しい自分になるんだって、オレに言ったんだあの人は。ちゃんと、決めて、覚悟を持って、お前のところに行ったんだ。」

「…うん…」

「なんだよ」

「でもさー。なかなか近づけないっていうか。まだ手も繋いでないんだよ?」

「お前今までのトラウマ考えてみろよ。普通にさっさと行けるわけないだろ。そういう行為にわんさかトラウマあるんだぞ?」

「んー…そっか。なんか不安になっちゃって」

「それはちゃんと意識されてるってことだろ。男として。彼氏として。」

「そっかあ。ゆっくりいけばいいよね。」

「はるかさん元気なの?家にいるってこと?」

「うん。働かなきゃって言うんだけど、別に働かなくたっていいっちゃいいんだよね。今回のことも精神的にかなりキツかったと思うし、身体のこともあるから、家にいてほしいんだけどさ。元気には一応見える。ただ、何かを言わないだけだったら、って思うと怖い。」

「遠慮するからな〜あの人」

「志摩さんには連絡くる?」

「いや?全く」

「そっか」

「何ほっとしてんだよ。」

「…いや、志摩さんには相談してたりして…とか思ったの。」

「言っとくけど、オレに相談してくるとしたら、それはオレのことが好きだとかじゃなくて、どうでもいいから相談すんだぞ?なんとも思ってないから、なんでも言えるってこと。」

「えーそうなんだ。そっかあ…難しいなあ」

「お前からガンガン行ったほうがいいと思う。あの人受け身だから。どんどん引っ張っていかないと。」

「うん。…わかった。」

空はどこまでも青くて
伊吹もどこまでも青かった。

素直な心が
なかなか混ざりあえなくて
恥ずかしがってるこのカップルは
どこまでも青い。
青くて透き通っていて
こっちが恥ずかしくなるくらいだ。
ふたりが幸せになればいいと
オレはいつまでも願っている。


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