東京生まれ東京育ちの30代。
太と環は、それぞれの東京で生まれ育ち、二十歳の時に東京で出会いました。
2人が見てきた東京の景色、東京での物語を、紹介していきます。
ぼくらが育…
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#エッセイ
五反田で捕まえたタクシーの中で
社会人になって間もない頃の同期入社が集まる研修で、本当にどうしようもない一日を過ごしたことがあった。
研修自体はもちろん、そのあとの飲み会が更に居心地が悪かった。
何の実績もないのに研修でも飲み会でも自信満々に話す同期と対照的に、僕は何の実績もないからこそ研修中は自信なく話し、飲み会では話す言葉を失った。
謙虚というよりは卑屈な態度をとって、何か話さなきゃと放った言葉は誰も得しない言葉で、あまり
多摩川のカラオケで拳を突き上げた
「お、アジカン好きなんだ!ソラニン聴いた?めっちゃ良くなかった?」
「あー。聴いたと思うけど、印象に残ってないってことはあんまり良くなかったんだと思う」
「おー、まじか。今度また聴いてみて。オレ漫画のソラニンが好きなんだよね」
ソラニンが劇場上映された2010年。
大学に入学して軽音楽サークルに入り、人生ではじめて組んだコピーバンドのメンバーと、東急の多摩川駅でお昼過ぎに待ち合わせをして、スタジ
鮫洲駅の停車時間のような日々で
鮫洲駅と聞いて多くの人が連想するのは、教習所か、または京急線の停車時間なのではないないだろうか?
各駅停車しか泊まらない鮫洲駅は、急行の時間調整のために、長めの停車時間がある。
小さい頃、横浜方面から家に帰るとき、または向かう時に鮫洲で電車が停まると、少しイライラした。
早く家に帰りたいのに。目的地に行きたいのに。電車の中で退屈しているのに。
止まっている時間以上に、長く感じたものだった。
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