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音で画く、音を編む。

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その日の夜、僕は「音画」を目指しているのだとはっきり解った。数年考え続けていた事への解答だった。 だから何をしても許されるし、現実に何をしても良いのだと思う。 自分の中で制約をつ…
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#エッセイ

中古レコード店スタッフが一生ものの音楽と出会ったはなし

中古レコード店スタッフが一生ものの音楽と出会ったはなし

誰もが<一生ものの音楽>に一度は出会うことでしょう。

大学1年生のある日、筆者はヒップホップに恋をしました。体育の授業でエアロバイクを漕いでいるとミニコンポから音楽が流れてきて。ノリノリで爽快、それでいてお洒落でもあり。その頃の私にはあまり耳馴染みのない雰囲気の音楽でした。それはどうやらFMラジオ番組だったようで、曲が終わると女性のMCが「お聴きいただいた曲はLL・クール・Jで『パラダイス』でし

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2012 to 2022~ガールズポップの行方

2012 to 2022~ガールズポップの行方

ガールズポップの定義?滅多に言及されなくなったジャンルの1つに"ガールズポップ"というものがある。ガールズバンドという呼称にも違和感を持つようになった今の感覚からするとその名称にも何だかなと思うし、まずもって概念が広すぎる気がする。ただ10年前から南波志帆を形容する際に"ガールズポップ"という言葉が使われてきたのは妙にしっくりきたし、YUKIがガールズポップの確立に貢献した、と起源不明の歴史がwi

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「クインテット」「マツケンサンバⅡ」など数々のヒット曲を生んだ作曲家“アキラさん”が音楽と歩んだ紆余曲折の半生とは――

「クインテット」「マツケンサンバⅡ」など数々のヒット曲を生んだ作曲家“アキラさん”が音楽と歩んだ紆余曲折の半生とは――

「パパのようにヒット曲をたくさん作って有名人になりたい」。幼い頃のぼくはそう思っていた。『シャボン玉ホリデー』に映る父のように、飛び跳ねて指揮をして身をよじってピアノを弾く。そんなことをぼくもやってみたかったし、自分の作った曲を誰もが知っているなんて凄いと思っていた。通りすがりの他人が振り向くなんてこともあり、そんな父のやることなすことがぼくを魅了した。いつかぼくもああなりたい、と思ったものだ。

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最近のお気に入りBGM

最近のお気に入りBGM

少し前に、Twitterで音大の先生とやり取りをした際に、「どのような作曲家の音楽を聞かれますか?」という質問があったので、

椎名豪 氏
佐藤直紀 氏
服部隆之 氏

のお三方の名前を挙げさせて頂きました。

恐らく、お三方とも「名前は知らないけれど、音楽は聴けば分かる」というくらい、あちこちに楽曲を提供されているのではないかと思います。

まずはイチオシなのは、椎名豪氏作曲の「鬼殺隊」。

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LovelyComposerで遊んでた話

LovelyComposerで遊んでた話

 『LovelyComposer』はいちまるまるゲームズ開発の、音楽作成ツールだ。かつて『デザエモン』というゲームを作るソフトがあったが、そんなゲーム機向けのゲームクリエイトソフトに搭載されていた音楽作成ツールにも似た、楽しげなソフトである。

 開発履歴を見ると、今年の初めぐらいに初期バージョンがichi.toに登場しているようだが、僕がその存在に気づいたのはつい先日である。

 このゲームライ

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オーケストラの「花形」それは・・・オーボエ!

オーケストラの「花形」それは・・・オーボエ!

新日本フィルnoteではダントツの情報量「岡田友弘《オトの楽園》」。《たまに指揮者》の岡田友弘が新日本フィルの定期に絡めたり絡めなかったりしながら「広く浅い内容・読み応えだけを追求」をモットーにお送りしております。今回は9月24日、25日に開催される「第1回・すみだクラシックの扉」から、演奏会でフィーチャーされる「オーボエ」についてのよもやま話。今回は作曲家の膨大な情報をお伝えするスタイルではなく

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開会式とゲームミュージック

開会式とゲームミュージック

 オリンピックが開催された。

注目された開会式、僕は後になって知ったが、選手入場の際に幾多のアンセムゲーム BGM が使われたとのこと。

別の用事があったのでリアルタイムで観てはいないのだが、SNS のタイムラインが相当賑わっていたので「そういうことか」と思った。

まず率直に、これまでの歴史において元来マイノリティとして存在し続けた「ゲーム」という文化が、多くのクリエイターの方々により認知さ

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音大の作曲専攻に入学したら、「ピアノを真面目にやるまで、作曲教えません!」と言われた話

音大の作曲専攻に入学したら、「ピアノを真面目にやるまで、作曲教えません!」と言われた話

目の前にいるのは、劇伴の女王と呼ばれたお方。

Wikipediaを見れば、とんでもない経歴がズラリ。

スマホの電話帳にオダギリジョーさんがいた時には、びっくりした。

音大に入学し、いざレッスンが始まる。

こんな素晴らしい先生に音楽が学べるなんて。

一瞬足りとも無駄に出来ん!目一杯、作曲の術を一杯、学ぼう!

緊張しながら、レッスン室に入る。失礼のないように挨拶や礼儀をしっかり。

「おは

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得意技を捨て、一から技を作り、磨く。

得意技を捨て、一から技を作り、磨く。

高校2年生の冬に独学でピアノと作曲を始めた僕は、

例えば

「J POPを作る!」とか「ロックを作る!」とか「オーケストラを作る!」とか、そういう「◯◯を作る」という概念が無い状態で曲を作り始めました

僕は周りと同じように邦楽やJ POPを聴いて育ってきたし、青木琴美先生の「彼女は嘘を愛しすぎている」の漫画に絶大な影響を受けて「俺もアキみたいになりてぇ〜!!」と憧れを持っていたので、

授業中

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農業高校から音楽大学に進学した話

農業高校から音楽大学に進学した話

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ピアノを始めたのは高校2年生の冬でした

当時の僕は、農業高校で花や野菜を育てていました

勉強というよりは、学校が所有している農場に皆バスで移動して、そこで農作業の日々でした

(朝から夕方まで、もうあれは、仕事でしたよ笑)

他には、【販売実習】といって先生抜きで(生徒二人ペア〜五人ペア)

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LAUSBUBの良さについて野暮を承知で全力の言語化を試みる。

LAUSBUBの良さについて野暮を承知で全力の言語化を試みる。

LAUSBUBのTelefonがアホみたいに良い。

僕は楽譜も読めないズブの音楽素人なので、技術的なことは何もわからない。加えてこういうジャンル(テクノポップ?っていうの?なんなの?)をどうも好きになれない。そんな僕がハマった、というのはちょっとした事件なので、なぜこの曲だけは良いと思ったのか、野暮を承知で全力の言語化を試みる。

※以下圧倒的な個人的見解ですのでお手柔らかに。。

Telefo

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「大塚直哉レクチャーコンサート オルガンとチェンバロで聴き比べるバッハの“平均律” Vol.5 フーガの身体性」へと向かう車内で

「大塚直哉レクチャーコンサート オルガンとチェンバロで聴き比べるバッハの“平均律” Vol.5 フーガの身体性」へと向かう車内で

「大塚直哉レクチャーコンサート オルガンとチェンバロで聴き比べるバッハの“平均律” Vol.5 フーガの身体性」のために、彩の国さいたま芸術劇場へ向かっています。

稽古日程が決まる事前に切符を購入してしまっていたので、俳優たちには申し訳ありませんが、今日だけはとくべつに稽古を早抜けさせてもらいました。

ジャズRiversideのオリジナルとは?その鑑定法を伝授します

ジャズRiversideのオリジナルとは?その鑑定法を伝授します

Bill Evans諸作品でも有名な米ジャズレーベル、Riverside(リヴァーサイド)。オリジナルのレコードとなると、その貴重さ故にとても高額になるものがあります。RiversideはBlue Note、Prestigeと並んでジャズ3大レーベルに数えられ、非常に高い評価を与えられています。稀少でしかも人気のオリジナル盤であれば、レコードのどのような点に着目して鑑定すべきか知りたい方も多いはず

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