宮澤大和

作家、演出家。ぺぺぺの会メンバー。『信仰、未知と差異のデマゴーグ』(呆然戯曲賞自由部門…

宮澤大和

作家、演出家。ぺぺぺの会メンバー。『信仰、未知と差異のデマゴーグ』(呆然戯曲賞自由部門)、『信号』(朝日新聞・あるきだす言葉たち掲載)、『No. 1 Pure Pedigree』(こりっち舞台芸術まつり!最終審査ノミネート)、『夢の旧作』(SAF vol.14優秀賞)など。

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    「創作」と「生活」をつなげることをコンセプトにしたマガジンです。週1回以上の記事更新。エッセー・小説・感想文・戯曲……多種多様なジャンルの文章が収録されています。マガジンを購読すると、2018年から現在までに、宮澤大和がnoteに投稿したほとんどすべての記事をお読みいただけます。

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  • 【演劇】 ぺぺぺの会「夢の旧作」ダイジェスト…
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最近の記事

意味を喪失した人間はナンセンスな言葉しか発することができないのかもしれない

どのように書くのかを問い続ける日々だった。そういう期間が定期的に自分のもとに訪れる。瑣末な圧力が重なって、変化をもたらそうとしてくる。変化しないと生き残れないではないかという強迫観念と、そう簡単に自分らしさを捨てるべきではないという頑固一徹さが闘いを繰り広げる。 時によって、その場合場合によって、様々な結論に達することがある。強迫観念がこれまでの方法を打ち崩すこともあれば、頑固一徹さが強迫観念に打ち勝つことだってあるにはあるのだが、どちらにせよ方法は大なり小なり変化はしてい

    • 自分ばかりを頼りにしていたらいつの間に孤独になっていた

      一日がかりで本を読んで過ごす日がある。月に一度くらい。 以前まではいっしょに付き添ってくれる人がいたけれど、今はそんな人もいないので、少々さびしい。だからといって、誰か、別の人を誘って行く気にもならない。なぜなら、本を読んでいるときはほとんど喋らない。たまに目があったら微笑しあったり、どちらかが空腹を感じ始めたら昼飯はどうしようか? と話しだしたりするだけだ。 そんなでいっしょに行く意味はあるのかと、大部分の人に訊かれるのだけど、いっしょにいる意味は確かにあったのだ。その

      • ジャーマンポテト

        もう5日も経ったのかと私たちは電話で言いあった。私たちが離れ離れになってからもう5日も経ったのか。この分だと、あなたが一時帰国する11月までもあっという間かもしれませんね、と言うと苦笑された。電話越しだから表情は見えないのだが、苦笑しているのが確かにわかった。 今夜は何を食べるのと、聞かれてそういえば今夜は何を食べるのかを考えていなかった、と気がついた。家にある食材で何かしら料理をしようとは考えていた。 ちゃんと自炊をしていて偉いですね。 いいや、自炊をしないと食べてい

        • ウィンストン・チャーチルの映画を通じて、技術の進化と歴史の繰り返しに思いを馳せる

          チャーチルがタイピストに自分の言葉をタイプさせた時代と、現代の音声入力技術の進化を比較してみると、歴史の繰り返しを感じます。 音声入力技術が進化することで、私たちは再び手でタイプするのではなく、話すだけでテキストが生成される時代に戻るかもしれません。 このように考えると、技術の進化は過去の手法を新たな形で復活させることがあるのだと気づかされます。 チャーチルのように、タイピストに言葉を伝えていた時代を経て、今ではスマートフォンやPCでの入力が主流となっています。音声入力

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        • 2023/03/08

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        • 2023/03/07

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        • 手段の目的化

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        • 「いつもはいない人がいる」ことによって振る舞いが変わる

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        • 2023/03/08

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        • 2023/03/07

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        記事

          本物の詐欺師

           一生懸命、ていねいに喋ろうとする人の姿には胸を打たれる。  その姿を目の当たりにするときに、ぼくはいつも思う。じょうずに、器用に喋る必要なんてないのだと。  対して、じょうずに、器用に喋る人を目の当たりにしたときに、どんな感情をいだくのかというと、噓くさい、って思ってしまう(ことがある)。  詐欺師には、じょうずに、器用に喋る、というイメージがある。  たどたどしく喋って人をだます詐欺師がいるのだとしたら、いち度会ってみたいものだ。  けれども、もしかすると、真の詐欺師の

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          本物の詐欺師

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          間違いを起こさない人間はかえって悪人だと思う。起こした間違いに対して、くよくよと悩むからその人は善人なんだと思う。

          「遠くなかった?」  と、きみは訊いてきた。  3時間の道程だ。  遠くないはずはないけれど、ぼくは首を振った。 「移動時間が苦じゃないんだ」 「よかった」  と、きみは言った。 「移動時間には何をしていたの」 「いろいろだよ。本を読んだり、あとは、きみから勧められた通り日記を書いている」 「ちゃんと続いているんだ」 「続いているよ。内容はついてきているか、いまいちわからないけれどね」 「いいんだよ、内容なんて、気にしないでも。日記っていうのは、書くこと自体に

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          間違いを起こさない人間はかえって悪人だと思う。起こした間違いに対して、くよくよと悩むからその人は善人なんだと思う。

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          光の煌めき

          「理想」——理想を持っているっていうのはすごいことだ。 それを実現できるかどうかはわからないし、そのうえ「あなたの「理想」を言葉で説明してみてください」と言われても、それはそれで難しい。 もし、説明できたとしても、そこからは「大切な何か」が損なわれているのではないか。 要するに、性急に言葉にしようとしなくてもいい。ゆっくりと時間をかけてもいい。性急に言葉にしようと焦ると他人の言葉を借りざるを得なくなる。 他人の言葉は他人の理想だ。 自分の言葉を醸成させる。 焦らな

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          こんなに神経をすり減らすくらいなら本音を隠して、当たり障りのないポジティブなものを書くほうがどれだけ楽だろう

          多くの劇作家にとって、戯曲は単に対話の文体を容れるための器であるかもしれない。 けれども自分にとっては文体の総合芸術である、という高すぎる理想を掲げているために戯曲を書くのを困難にしている。 転職をして、多忙になってからのほうが、いきいきしている。 多様なタスクに囲まれていたほうが、かえって精力的に多岐にわたる物事を処理できる、自分にはマルチタスクのほうが向いているのだろう。 もちろん、タスクに取り組むときは、ひとつひとつに集中して取り組んでいく。けれども30分くらい

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          浪曲・掛川宿から考える文体

          広沢菊春の浪曲・掛川宿をカセットテープで聞いてから眠った。 翌朝、浪曲で何がおこなわれていたのかを把握するために、昨夜の記憶をたどりながら手帖に書き起こした。 冒頭の話はイントロデュースのようなもの。本でいえば前書き、音楽でいえばプレリュードのようなもの。要約とまではいかないが、簡単に全体を紹介するような役まわり。観客に期待を持たせる。 次に対話が起こる。ここは謡にはなっていない。落語のようなまわし。しばらくすると、またもや謡が入る。 謡はト書きのような役割を果たした

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          フィードバックの適切な取捨選択

           冴えない頭で物を考えようと試みている。  昨夜飲んだウイスキーのせいだ。  頂き物のクリスタル・ダルクに琥珀色のそれを注いでみたくなって、うっとりと眺めたあとでちびちびと啜りながら飲んでいた。仔猫がミルクを舐めるみたいに。 *  ラフロイグを飲んでいる。  鼻から抜ける独特の薫りが好ましい。  まるで薬品のようなその薫りのせいで好き嫌いがきっぱりと分かれる。  それっくらい個性の強いものを私は愛好する。ある種の信念さえ感じられるからだ。 *  なにより大切な

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          作家の創造力を拡張するための生成AI活用法

          こんにちは。宮澤大和です。 先週日曜日のエッセーでは、事務的な文書を作成する際にChatGPT等の生成AIをどう活用しているのか、についてを記事にして投稿しました。 今週は、創作(クリエーション)の分野で、具体的にどんな活用を試みているのかについてご紹介できればと思います。 小説を書くときのAI活用方法創作分野でのAIの利用方法は多岐にわたりますが、今回は【小説】を例にお話を進めていきたいと思います。 文学や脚本をAIと共創していく、というと、 物語や脚本のアイデア

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          【2024年】宮澤大和のかんたんなアーティスト・プロフィール/ステートメント

          Profile 宮澤 大和 Yamato Miyazawa 詩人・作家・演出家 1995年生まれ。千葉県出身。 早稲田大学入学時から演劇活動を始め、 2018年11月にぺぺぺの会を結成。 戯曲の枠にとらわれない上演台本のフォーマットを用いて、 エンゲキ的表現の探求を継続的におこないます。 2020年には呆然戯曲賞自由部門を受賞。 近年は、朝日新聞「あるきだす言葉たち」に 詩「信号」が掲載されるなど、活動の場を広げています。 Writer宮澤大和は、鋭い洞察力と繊細

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          【ChatGPTの使い方】ClaudeやCopilotと比較するのではなく、3者にチームプレーをさせるためのコツ

           こんにちは。宮澤大和です。  生成AIをつかって文章を書くために、編み出した小技のようなものがあるので、自分の記録のためにもnoteに書き留めておきます。  この方法では、ChatGPTとClaudとCopilotを使います。 ここまでのおさらい 昨年2月に書いた記事『乗り物としての文体、あるいはChatGPT(AI)と書き手の問題』では、以下のようなことを生成AIの問題として指摘していました。  そのうえで前回の記事『AIが生成してくれた文章に100パーセントの納得が

          【ChatGPTの使い方】ClaudeやCopilotと比較するのではなく、3者にチームプレーをさせるためのコツ

          AIが生成してくれた文章に100パーセントの納得がいっているわけではない. けれども, 近い将来にAIは人類にとって欠かすことのできないtoolになっているだろうから努めて使うようにしている.

          こんにちは。宮澤大和です。 現在は《日詩》というプロジェクトを進行させています。 《日詩》はnisshiと読みます。 毎日、日誌をつけるみたいにして、日に一篇の詩を書いています。だから1年後には366つの詩ができあがっていることに——単純計算すれば——なるのかもしれませんが無理をして書く必要も義務もないことから、実際は366つよりも少ない詩集ができあがることになりそうです(抜けている日付に趣を感じることもできるかもしれない)。 前回noteにアップロードした『百年

          AIが生成してくれた文章に100パーセントの納得がいっているわけではない. けれども, 近い将来にAIは人類にとって欠かすことのできないtoolになっているだろうから努めて使うようにしている.

          百年

           Ⅰ  この情景から、人生の旅路には時に誘惑があり障害があり、その都度乗り越えていかねばならないものが多いことがわかります。  しかし、愛する者と力を合わせれば、どんな逆境も乗り越えられるのではないでしょうか。  ふたりは親密な絆で結ばれ、互いに支え合いながら人生を歩んでいきます。雨雲の裏にも太陽があり、厳しい時もあれば穏やかな時もあります。  そんな移ろいの中を、二人三脚で歩んでいく姿が描かれているように感じます。  Ⅱ

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          「日本映画っぽい」と言う時、何をもってわたしたちはそれを「日本映画っぽい」と言うのだろう

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