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#毎週ショートショートnote
毎週ショートショートお題 「残り物には懺悔がある」
暗闇の中で目を覚ました。
酒を飲み酷く酔っぱらった記憶だけが頭には残っていて、今がまだ夜なのか、それとも昼間なのかも分からないまま、頭の下にある枕の手触りでここが自分の部屋なのだと認識する。
時間を確認しようとスマホに伸ばしかけた手を、そのまま眼前に広がる闇の中へ差し出してみた。
時間が抜け落ちてしまったこの空間は、まるで世界の終わりのようだ。この静かな世界の終わりに、なぜ僕は生き残ったの
毎週ショートショートお題 「ときめきビザ」
留学して間もない不安と緊張の中で、仲間達が開いてくれたパーティーが嬉しくて飲みすぎてしまった。
スマホも財布もバッグの中に入っていたが、その中に入れていたビザが見当たらない。昨日の服のまま目覚めたベッドの上で、私は酔ってバッグの中身を床にぶち撒けたことを思い出した。
このまま見つからなかったらどうしよう?悪用される可能性は?
一気に押し寄せる不安の中で突然インターフォンが鳴り、モニターを
毎週ショートショートお題 「モンブラン失言」
ショーケースいっぱいに並んだケーキを眺めながら、彼女はうっとりしている。
「ぜ〜んぶ美味しそうなんだけど、やっぱりもう秋ってことでモンブランかな!」
「うん、この店のはマロングラッセが上に乗ってて美味しそうだね」
「それってモンブランなんだから当たり前じゃない?」
「はははっ、日本では確かにそのイメージが強いけどね、モンブランは別に栗のケーキって意味じゃないんだよ。フランス語で『白い山』
毎週ショートショートお題 「黒幕甲子園」
「あれ?古田さん、ここで何してんすか?捜査の一環ですか?」
「阿呆、俺は休みで甲子園見に来ただけや。こう見えても昔は高校球児やったからな。てかお前こそ何してんねん?」
「いや僕は野球にはあんま興味ないけど、ちょっとおもろい噂を聞きましてね」
「なんやそれ?」
「今年の甲子園、えらい不可解な判定が多いと思いません?」
「…確かにそう言われたら、一回戦からそれ判定逆ちゃうかってシーンは多かっ
毎週ショートショートお題 「非情怪談」
タワーマンションの警備の仕事に就いてもうすぐ半年になる。
基本的には監視モニターのチェックや巡回警備と設備点検をするだけで、有事の事態が起こらなければ楽な仕事だ。ただ唯一の問題が、一緒に働く先輩である。
この先輩は三年ほどのキャリアがあり、僕に仕事を覚えさせるという名目でほとんどモニターの前から動こうとしない。
今日も夜になって突然エレベーターが壊れたのだが、住人が帰って来る度に僕は
毎週ショートショートお題 「見たことがないスポーツ・薔薇の決闘」
中世のヨーロッパでは頻繁に決闘が行われていた。
特にフィアンセを巡る男同士の決闘に至っては立会人もいないままに行われることが多く、無利益な決闘を禁止する法律が制定され、決闘の代わりにあるスポーツが生まれた。
正装をした二人の男の前には、白いドレスを着た意中の女性が一人シルバーのトレイを手に立っている。
男達の片方が赤い薔薇を、もう片方が青い薔薇を持って女性から三メートル離れた場所に並ぶ。
毎週ショートショート お題 「リベンジトリートメント」
また今日も全身が煙草臭い。髪の毛も、昨日買ったばかりの服も、全ては一日あの男の隣にいるせいだ。
毎回クリーニングに出すわけにもいかず、家に帰ったら洋服に大量の消臭スプレーを噴射して、部屋のどこにも体が触れる前にシャワーを浴びる。
けれどそんな毎日も今日で終わりだ。このトリートメントがあれば、私のいる空間全てが甘いバラの香りに包まれる。これは家の近くの小さな薬局で見つけて一万円もするその値段に
毎週ショートショート お題 「海のピ」
幸子は毎朝の日課として、海岸のゴミや漂流物を拾い清掃していた。
空き缶や空き瓶、お菓子の包装やペットボトルなど海岸に落ちた様々なゴミの中には、どこから流れ着いたのか外国の文字で書かれた洗剤の容器なんかもある。
海や海岸を少しでも綺麗にしているつもりが、幸子はゴミを拾えば拾うほど、日々この星が汚されていくのを実感するだけのような気がしていた。
砂浜の流木に幸子は腰掛け海を眺めた。
海は穏