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毎週ショートショートお題 「見たことがないスポーツ・薔薇の決闘」



 中世のヨーロッパでは頻繁に決闘が行われていた。
 特にフィアンセを巡る男同士の決闘に至っては立会人もいないままに行われることが多く、無利益な決闘を禁止する法律が制定され、決闘の代わりにあるスポーツが生まれた。

 正装をした二人の男の前には、白いドレスを着た意中の女性が一人シルバーのトレイを手に立っている。
 男達の片方が赤い薔薇を、もう片方が青い薔薇を持って女性から三メートル離れた場所に並ぶ。
 そこから一人ずつ薔薇を投げ、薔薇がトレイに乗れば一歩進むことが出き、相手の薔薇をトレイから落とせば一歩後退させることが出来る。
  相手よりも先に女性の前へ辿り着いた男が、トレイの薔薇を一つ手に取り愛の告白をする。
 告白が成功すれば二人はフィアンセとして認められることとなり、失敗すれば女性の持つ短剣によって胸を一突きにされる。

 女性自身に選択の権限を与え、愛する女の手によって最後を迎えることは無利益ではないと認定された。

 

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